有楽町駅から新橋へ続く赤レンガの高架下。通称「けむり横丁」と呼ばれるディープなエリアで、ひときわ活気を放つのが1953年創業の『登運とん(とんとん)』です。頭上を走る列車の音と振動を感じながら、備長炭で焼かれた名物の「串焼き」や「焼きそ」が味わえる大衆酒場。世代や国境を越えて愛される魅惑のガード下飲みをご案内します。
明治生まれの煉瓦アーチに抱かれた昭和の洞窟空間

明治43年に開業した有楽町から新橋へ続く歴史ある煉瓦造りの高架橋。ベルリンの都市鉄道がモチーフになっています。アレクサンダー広場近くのSバーン(DBベルリン市街線)高架の建設に関わったドイツ人鉄道技師、お雇い外国人だったフランツ・バルツァーが、この有楽町の高架の設計に携わっており、言わば『登運とん』のウワモノはドイツに縁があるわけです。

ベルリンの高架下には飲み屋がびっしりと入り、そこら中でビールが飲まれているのですが、ここ有楽町でも高架下は酒場街となっていて、遠く国は違っても酒好きの行動は同じなんだなぁと嬉しく思います。

そんな歴史あるアーチ橋の中。日比谷側と銀座側をつなぐアーチの穴にへばりつくように店を構えています。創業当時の姿を残す壁と天井がアーチ状に迫る独特の造りで、端の席から立ち上がると頭をぶつけてしまうほど。
頭上をひっきりなしに通過する電車の重低音と振動も、この空間の非日常感を盛り上げます。
昔ながらの赤提灯やレトロなポスターが並ぶ店内は、かつては近隣で働くノンベエたちのオアシスでした。それが最近、だいぶ客層が変わってきたんです。

20代の女性のグループや若い一人飲みのお客さん、国内外を問わず遠方からやってくる酒場ファンの姿も。隣り合わせたお客さん同士で自然と会話が弾む和やかな雰囲気です。
いまとなっては、再開発されていないこういう本当のレトロがそのまま残っている場所のほうが貴重ですから、ニーズが高まっているのでしょうね。
備長炭で焼き上げる名物串焼きとハーフ&ハーフ

まずはキリンクラシックラガーの大瓶で喉を潤し、名物の串焼きを待ちます。
とり串・豚串は早朝から仕込むほど大量に売れているらしいです。こうみえて、備長炭でじっくり焼き上げる本格派。

火を通しすぎない絶妙な加減で、外は香ばしく中はふっくら仕上がります。味付けはタレと塩と一部ニンニク味噌があって3種類。味はおまかせもできますが、私はとろみのあるタレがオススメ。創業時から継ぎ足しているという醤油ダレは、まろやかな醤油味と品のある甘みが後を引く美味しさがクセになります。
脂身の甘みとタレのコクが絡み合いお酒が進む味わい。心地よい弾力があり、噛むほどに肉の旨味が溢れ出します。

グラスが半分空いたところでアサヒ黒生の瓶を追加し、ハーフ&ハーフを作るのがここの楽しみ方。

アサヒとキリンを混ぜたって大丈夫。楽しくて美味しいです。そんな香ばしいビールに合わせるのは、味噌ベースの牛もつ煮込みがオススメです。

シメには数量限定・ソース焼きそばを注文。ガード下で味わうもちもち麺の焼きそばは、家庭の味とは一線を画す仕上がりです。ウイスキーハイボールを連想させる、戦後復興期に流行った炭酸割り「ホイスサワー」もあり、これとあわせても楽しい。
活気あふれる高架下で楽しむ一期一会の夜

70年以上にわたって有楽町のガード下で愛され続ける『登運とん』。一人でふらりと立ち寄ってカウンターで喧騒に囲まれて東京に浸るもよし、友人と賑やかにテーブルを囲むのもよし。煙がまっているので普段着でどうぞ。
美味しいもつ焼きと心地よい電車の音に身を委ね、有楽町の夜を満喫してはいかがでしょう。元旦を除き、毎日お昼から通し営業しているので、いつだって使いやすいです。
店舗詳細




| 店名 | 登運とん |
| 住所 | 東京都千代田区有楽町2丁目1−10 |
| 営業時間 | 12時00分~22時00分 |
| 創業 | 1953年 |
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