関内『天婦羅 登良屋』胡麻油香る、昭和33年創業の正統派。昼から通しで粋なひとときを

関内『天婦羅 登良屋』胡麻油香る、昭和33年創業の正統派。昼から通しで粋なひとときを

横浜・関内。伊勢佐木町と野毛という二つの個性的な街に挟まれた吉田町は、昔ながらの店が点在する大人のエリアです。この地で「天ぷらといえば登良屋」と、食通たちが信頼を寄せる一軒があります。1958年(昭和33年)創業。暖簾をくぐれば、ごま油の芳醇な香りに包まれる、まさに正統派の名店です。

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世代を超えて愛される、吉田町の顔

堂々とした老舗の佇まい。料亭のような入りづらさはありませんが、それでも背筋が伸びる店です。

JR関内駅から歩いてすぐ。きらびやかな歓楽街のすぐそばにありながら、吉田町の一角は落ち着いた空気が流れています。近年、すっかり若い世代で賑わうようになった野毛の喧騒から少し離れて、じっくりと美味しいものを味わいたい。そんな気分の日に、足が向くのが『天婦羅 登良屋』です。

創業者のご実家は、横浜を代表する牛鍋の老舗『荒井屋』。「肉の荒井屋ならば、うちは魚で」と天ぷらの道を選び、祖父・登良吉氏の名を冠してこの地に店を開業。その歴史は60年以上。現在は二代目のご兄弟が、阿吽の呼吸で店を切り盛りされています。

引き戸を開けると、使い込まれたカウンター席が迎えてくれます。一見こぢんまりとした印象ですが、奥にはテーブル席や座敷も広がり、様々な場面で利用できる懐の深さも魅力です。

世代を超えて通うご家族や、近隣企業の方々の会食など、この店が地元でいかに愛されているかが伝わってきます。BGMはなく、耳に届くのは天ぷらが揚がる心地よい音と、お客さんたちの静かな談笑の声だけ。これもまた、老舗ならではの贅沢でしょう。

香り立つ天ぷらと、鮮度抜群の刺身を

サッポロラガー 赤星中瓶

まずは瓶ビール(サッポロラガービール)をお願いして、喉を潤します。丁寧に注がれたビールを一口。さて、何からいただきましょうか。

それでは乾杯!

天麩羅一人前盛り

メニューの主役は、もちろん天ぷら。この店の天ぷらの香りの源は、同じく横浜の老舗「岩井の胡麻油」がつくるごま油を100%使っているから。店内を満たすこの香ばしい匂いだけで、ビールがどんどん進んでしまいます。

盛り合わせにいつも入っているイカ

定番の盛り合わせは、白ぎす(仕入次第)、穴子、イカ、そして季節の野菜が4品。注文を受けてから、ご主人が一品ずつ丁寧に揚げていく。

薄く軽やかな衣は、サクッとした食感のあとに素材の旨味をしっかりと伝えてくれます。天つゆに浸しても衣の小気味よい食感が残るのは、熟練の技の証。ごま油で揚げているのに、食後感が驚くほど軽いのも特徴です。

不思議と海老は単品のみで用意されている

そして、『登良屋』を語る上で外せないのが、もう一つの看板であるお刺身です。

ご主人の弟さんが横浜の中央市場で目利きした、天然ものだけを仕入れています。なんでも、現店主のお母様が三重県の漁船団の網元の娘さんだそうで、魚に対するプライドと愛情が、この店のもう一本の柱を築いたのだとか。

胡瓜古漬け

今回は注文しませんでしたが、厚切りで提供されるお刺身は鮮度抜群で、手切りされた「つま」まで瑞々しく美味しいと評判です。お刺身の盛り合わせは事前の予約が必須というのも、品質への自信の表れでしょう。

天ぷらとお刺身。この二枚看板を前にすると、お酒も自然と進みます。美味しい肴に、ゆったりとした時間が流れる。これぞ大人の酒場の醍醐味ではないでしょうか。

野毛から一足のばして、本物の味を

創業から半世紀以上、変わらぬ場所で、変わらぬ味を守り続ける『天婦羅 登良屋』。ごま油の香りと職人の丁寧な仕事、そして昭和から続く落ち着いた空間は、訪れる人を優しい気持ちにさせてくれます。

お昼から通しで営業されているので、少し遅めの昼食や、早い時間からの昼飲みにも利用できるのが嬉しいところ。桜木町や野毛からも歩ける距離ですから、少し落ち着いた場所で飲みたいと思ったときに、ぜひ思い出してほしい一軒です。本物の味は、いつ訪れても素晴らしいと改めて感じさせてくれました。

店舗詳細

お酒のメニュー
料理のメニュー 値段は書かれていませんが飲んで食べて4,000円ほど
店名天婦羅 登良屋
住所神奈川県横浜市中区吉田町2−3
営業時間11時00分~20時00分
日月定休
創業1958年