一ノ関『和風レストラン松竹』永六輔も愛した百年食堂、名物の鰻丼を目指して途中下車

一ノ関『和風レストラン松竹』永六輔も愛した百年食堂、名物の鰻丼を目指して途中下車

東北新幹線が停車する岩手県南の玄関口、一ノ関。世界的なジャズ喫茶『ベイシー』が目的地という音楽ファンも多い、独特の文化が根付く街です。駅前に佇む『和風レストラン松竹』は、そんな街の歴史を見つめてきた老舗。永六輔も愛したという名物のソースカツ丼と、伝統の鰻料理に惹かれ、暖簾をくぐりました。

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鉄道の要衝で、旅人たちと紡いだ一世紀の物語

JR一ノ関駅の西口ロータリーのすぐ目の前。一見すると、地方都市の駅前によくあるような、ひなびた風情の和食レストランです。ですが、この店が刻んできた歴史は1920年(大正9年)からと、実に一世紀以上に及びます。

一ノ関は古くから鉄道の要衝であり、多くの鉄道員や旅人たちが行き交う街。そんな人々の胃袋を満たしてきたのが、この『松竹』でした。店内へ一歩足を踏み入れると、壁一面を埋め尽くさんばかりのサイン色紙に圧倒されます。作家、音楽家、俳優…錚々たる文化人たちがこの店を訪れた証です。

旅好きで知られた永六輔が「ここのソースカツ丼が食べたくて東北新幹線に乗った」と色紙に記したエピソードは、この店が持つ引力を物語っています。

11時の開店と同時に訪ねましたが、正午を前に次々と客が訪れ、あっという間に満席に。

その人気ぶりは今も健在です。活気ある広い厨房では大勢の職人さんが腕をふるい、女将さんは初めての客にも親しみやすく声をかけてくれます。この温かい雰囲気も、多くの人に長く愛される理由なのでしょう。

昔から鰻が根付いていた街の名物鰻丼

サッポロ生ビール黒ラベル

サッポロ生ビール黒ラベル 700円

まずは樽生のサッポロ生ビール黒ラベルで喉を潤します。丁寧に注がれ、理想的なコンディションで提供される一杯は、それだけで店の仕事の丁寧さが伝わってきます。それでは乾杯!

うな丼

数多の食通が紹介してきたソースカツ丼があまりにも有名ですが、今回はもうひとつの名物、地元の人が太鼓判を押す鰻を「うな丼」でいただくことにしました。かつて店の近くを流れた北上川では天然うなぎが豊富に獲れたといい、鰻はこの土地の食文化に深く根ざしています。『松竹』のうなぎ蒲焼は、三代目が東京・銀座の名店で修行し、本格的な和食の技術を持ち帰ったのが始まりだそう。

うな丼 3,700円

駅前ロータリーを行き交うバスや車をぼーっと眺めてビールを飲んでいるうちに、焼き上がったようです。

丼ぶりの蓋をあけると、甘く香ばしいタレの香りがふわりと立ち上ります。

鰻はこぶりながらも、身はふっくらと柔らかく、上質な脂がのっています。タレは東京の辛口とは異なる、コクのある甘め。このタレが染みたご飯との相性は抜群で、夢中で箸を進めてしまいます。

実は、瓶ビールではクラフトビールも取り扱い。岩手・一関産の山椒を使ったクラフトビールを置いているあたりにも、鰻と山椒へのこだわりが感じられます。

夜は天ぷらなどを肴に、揃えられた地酒で一献というのも実に良さそうです。

途中下車してでも訪れたい、一関の魂の味

創業当初はカレーライスなどを出すハイカラな洋食店として始まり、二代目が洋食メニューを盤石にし、三代目が天ぷらや鰻などの和食を東京で学び、そして四代目がそのすべてを受け継ぐ。その時代ごとのニーズを大切に積み重ねてきた結果が、和風レストランという懐かしい言葉につながっています。

新幹線「はやぶさ」ならば一瞬で通過してしまう一ノ関ですが、ここには途中下車してでも味わう価値のある物語があります。駅の改札から徒歩1分。旅と食を愛する方に、ぜひ立ち寄っていただきたい名店です。

店舗詳細

品書き

名物のカツ丼ランチメニュー 1,280円
お酒とおつまみメニュー
うな丼メニュー
丼物・皿物メニュー
店名和風レストラン 松竹
住所岩手県一関市上大槻街2−1
営業時間11時00分~14時00分
17時00分~19時00分
火水定休
創業1920年