豊洲市場『やじ満』 市場のプロが愛する町中華で、朝から名物焼売で赤星を

豊洲市場『やじ満』 市場のプロが愛する町中華で、朝から名物焼売で赤星を

すっかり東京の観光名所となった豊洲市場。ゆりかもめを降りれば、真新しい巨大な建物が迎えてくれます。豊洲市場に来る多くの人のお目当ては、やはり新鮮な魚介を使ったお寿司という方が多いでしょう。週末ともなれば、人気店には国内外からの観光客で長い行列ができています。

ですが、市場の魅力はそれだけではありません。ここで働くプロたちの胃袋を長年支えてきた「職域食堂」こそ、市場の真の姿を映す鏡。今回は、築地から市場と共に移転してきた老舗町中華『やじ満』をご紹介します。市場の活気を肌で感じながら、朝から一杯楽しみませんか。

豊洲市場の場内にある食堂エリアに『やじ満』はある
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築地の魂を豊洲へ運んだ、市場人のための町中華

『やじ満』の創業は昭和24年(1949年)。

戦後のすぐの築地市場で産声をあげ、以来70年以上にわたり、市場で働く人々のお腹と心を満たしてきました。2018年、市場機能が豊洲へ移転するのに伴い、この店も長年親しんだ場所を離れ、新しい暖簾を掲げました。  

築地時代の歴史が染み込んだ混沌とした雰囲気とは対照的に、豊洲の店舗は近代的で明るい空間です。ですが、壁に貼られた手書きのメニュー札や、威勢のいいやり取りは昔のまま。旧店舗で何回も朝から飲んできた私は、昔と変わらぬ「やじ満」らしさを感じられて嬉しいです。

ここは観光客のためだけでなく、深夜から働く市場関係者がつかの間の休息をとるための場所。その活気ある空気こそ、最高の調味料なのです。

まずは赤星で、市場の朝に乾杯

朝から飲めるのが、市場食堂の醍醐味。午前中からビール瓶を傾ける深夜勤務の市場関係者の姿も珍しくありません。

ならばこちらも、郷に入っては郷に従え。まずは瓶ビール「サッポロラガービール」をお願いしましょう。ラベルの赤い星から「赤星」の愛称で親しまれるこのビールは、日本のビール史を語る上で欠かせない存在。老舗の食堂で味わう一杯は、格別です。  

ラーメンや炒飯が人気。でもまずは「焼売」から

ラーメンや炒飯ももちろん人気ですが、『やじ満』でまず頼むべきは「焼売」です。メニューには「半個(はんこ)」という不思議な単位がありますが、これは通常の1人前(4個)の半分、2個で提供される常連符牒のようなもの。  

運ばれてきた焼売は、その大きさに驚かされます。餡は豚肉と玉ねぎのみという潔さで、肉がミチミチに詰まった食べ応えは圧巻。しっとりとジューシーで、肉の旨味が口いっぱいに広がります。一人ならば、これとビールだけでも十分に満足できるかもしれません。  

実はソースをかけてもとても美味しい

魚河岸の男たちが求める、温かい肉料理

さらにおすすめしたいのが「チャーシュー」です。意外に思うかもしれませんが、毎日新鮮な魚を扱う魚河岸の人々は、食事に肉料理を選ぶことが少なくありません。また、通年でひんやりと空調が効いている豊洲市場では、体を温める料理へのニーズも高いのです。  

『やじ満』のチャーシューは、そんな市場人の心と体を温めてきた一品。しっかりとした歯ごたえがありながら、噛むほどに旨味が染み出してきます。これを肴にビールや日本酒をやるもよし、ラーメンに乗せて頬張るもよし。市場のプロたちが愛してきた味には、確かな理由があるのです。  

寿司だけじゃない、豊洲の楽しみ方

豊洲市場に来たら、寿司店に並ぶのももちろん良い体験です。しかし、市場の歴史と共に歩み、プロたちの日常を支え続けてきた老舗の味に触れてみるのはいかがでしょうか。赤い暖簾をくぐれば、そこには観光地とは違う、働く人々のための温かい空間が広がっています。

店舗詳細

  • 瓶ビール サッポロラガービール中瓶:650円
  • 名物シュウマイ:半個(2個)360円・1人前720円
  • 若鶏の唐揚げ:ハーフ540円・1人前880円
  • 中華そば:800円
  • チャーシュー定食:1,250円
  • あさりラーメン:1,350円
  • チャーハン:840円
  • 牡蠣ラーメン:1,400円ほど
旧店舗時代の牡蠣ラーメン。築地時代から冬の名物料理
お知らせとお願い

臨時休業から営業を再開したばかりと聞きました。少し期間をあけて落ち着いてからご訪問いただけますと幸いです。また、営業時間も変更になっているとのことです。2025-07-01 塩見なゆ

店名やじ満
住所東京都江東区豊洲6-6-1 7街区管理施設棟 3F
営業時間06:00 – 13:00
休市日(水・日・祝日※例外あり)定
創業1948年