約50年前に魚屋の大将が大岡山で創業した『潮さい茶屋 つかさ』。現在は二代目が店を受け継いでいます。毎日豊洲市場へ通い、新鮮な魚介を仕入れるのは初代から続くこだわりです。再開発された大岡山駅前に残る奇跡の酒場です。
東工大関係者御用達の店
外観
大岡山(東京都大田区北千束及び目黒区大岡山)は、東急大井町線と目黒線が交差するターミナル駅を中心に開発されてきた街です。駅前には約243,000㎡もある広大な敷地を持つ東工大大岡山キャンパスが広がっています。学生街ですので、庶民派の飲食店が多く、駅前から南北へ伸びる商店街はいつも賑やかです。
東急線の大改造計画で、いまや大手町や海老名までも乗換なしで行ける便利な駅なった大岡山駅ですが、駅舎そのものも大変身。全国でも珍しい病院一体型の近代的な駅舎に建て代わり、東工大正門横に建つロボットのような建物「百年記念館」も相まって未来都市のような雰囲気を醸し出しています。
そんな大岡山駅前の広場を見渡すと、一軒だけ非常にレトロな酒場があることに気が付きます。店の名前は『つかさ』。お昼は学生で賑わい、夜は教授たちが宴会をする、東京工業大学関係者御用達の酒場です。
内観
店の創業は1976年で、初代は魚屋で相当な目利きと評判があったそうです。毎日築地市場(当時)に仕入れに出かけていたとのこと。現在は二代目が大将を務め、先代のこだわりを引き継ぎ、豊洲市場で新鮮な魚介類を買い付けています。
店の一階は調理場とカウンター席、そして数卓のテーブルがある造りで、二階は畳敷きの座敷となっており、民宿の座敷で飲んでいるような気分を味わえます。障子の向こう側には海があるのでは?と錯覚するほどの雰囲気です。
品書き
お酒
- 樽生ビール アサヒスーパードライ:658円
- 瓶ビール アサヒスーパードライ中瓶:658円
- レモンサワー:487円
- 日本酒お燗:487円
- ガリ酎:458円
- 八海山:792円
- 久保田千寿:798円
- 〆張鶴:880円
- まつもと:798円
- 黒霧島 ボトル:3,069円
料理
- 活じめサバ:1,188円
- 活じめカンパチ:997円
- 活じめ本タイ:997円
- 活ツブ貝:997円
- しめさば:997円
- まぐろ納豆:777円
市場の街に負けていない抜群に美味しい刺身
お通し
『つかさ』は1品が比較的多いため、数名で利用する方が楽しめると思います。みんなでワイワイと魚を囲んで盛り上がる、ここはそういうお店です。私たちの隣のテーブルでも、刺身と日本酒を並べた常連さんグループが技術系トークで盛り上がっていました。
浦霞本醸造
日本酒はコップだけでなく4合瓶も用意されています。1本頼んでみんなで杯を重ねていけば、ますます漁港の民宿で飲んでいるような気分になれます。
刺身盛り合わせ
ドーンとでてきました。店の看板料理はお刺身です。このボリュームで3人前。刺身のエッジがピンとしていることはもちろんのこと、盛り付けも丁寧で非常に価値を感じる内容です。
活締めのサバ、コリコリの活締めカンパチ、活ツブ貝、真鯛もぷりっぷりです。マグロは腹側のようで中トロに近い脂ののり具合です。当然ですが、魚は季節や天候に左右されますので、魚種は仕入れ次第でかわります。
大岡山で魚を囲んで宴会するなら『つかさ』。長年そう言われ続けてきたのでしょう。期待に応えてくれる豪快さがたまりません。
しっとり、ねっとりとしたマグロ。活締めものが輝く中、王道のマグロもしっかりとした美味しさです。
サーモンはらす焼き(787円)
刺身以外は比較的シンプル。刺身ばかりでも大変なので焼魚からサーモンはらすをいただきました。日本酒が進むこと間違いなし!
ごちそうさま
ランチタイムでは、刺身定食(950円)やまかない丼(850円)が人気です。1,000円以下でお刺身が食べられることもあり、東京工業大学の第三学食状態(第二食堂は学内にある)で行列することもあります。夜は飲んで食べて4,000円ほど。東京工業大学関係者でも、昼とは違って先生方が中心に利用されているため、落ち着いた雰囲気です。
最先端の街にありながら、昭和の雰囲気が漂ういぶし銀の大衆魚料理店。ぶらり飲みに行ってみてはいかがでしょうか。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 潮さい茶屋 つかさ |
住所 | 東京都大田区北千束1-49-3 |
営業時間 | 営業時間 月曜~土曜11:00~14:00 17:00~22:00 (L.O.フード21:30 / L.Oドリンク21:30) 定休日 日曜日(祝日は不定休です) |
開業した年 | 1976年 |