小岩駅から徒歩20分。葛飾区奥戸6丁目にあるレトロな個人系スーパー『新町ストアー』は、店内の一部が角打ちと化しています。惣菜をつまみに、小売価格に近いリーズナブルな缶酎ハイやビールを飲めば、いつもと違った街歩きになるはずです。
スーパーで飲むという日常のような非日常
正統派の老舗酒場もよいですが、まだまだ東京にはおもしろい酒場はたくさんありますので、今日はちょっと違ったタイプのお店をご紹介します。
城東エリアには、「ストアー飲み」とも言えるカテゴリー的なものがあります。どういうことかというと、個人経営や非チェーン店のスーパーマーケットで飲むということ。広義的には角打ちになりますが、レトロな雰囲気や、惣菜の豊富さなど、「角打ち」とは別ジャンルのおもしろさがあります。
東四つ木や立石2丁目などの”ストア飲み”は比較的アクセスしやすいですが、小岩駅から20分歩く新町ストアーも非常に興味深い一軒です。
外観
店の名は『総合食品新町ストアー』。JR小岩駅から都道60号市川四ツ木線を歩き、新中川を渡ってすぐの住宅街にあります。近くにはJRの貨物線があり、ここに駅さえあれば便利なのですが、現状は小岩駅北口から京成バスで乗車5分が最もスマートです。
店はかなり年季の入った建物で、ファサードもディープさを醸し出しています。昔からある、いくつかの商店が集合した長屋商店街型の物件です。
内観
一番広い面積をとっているのが酒販店を兼ねた雑貨屋で、すべてあわせて『新町ストアー』です。大資本のスーパーにはない、昔ながらの味わいたっぷりの店内が、一周回って新鮮に感じられます。
お酒の品揃えは大手に負けていません。缶酎ハイはほぼ一般的な量販店小売価格程度で売られており、なんとこれを店内のテーブル席で飲むことができるのです。
お菓子売り場の上段は、なんとボトルキープのコーナー。お昼間からご近所さんたちが井戸端会議場的に集い、焼酎を飲んでいました。
おつまみはスーパー部門が用意した惣菜コーナーから選べます。コロッケやイカフライ、野菜炒めなど、どれも当然ですがスーパーの値段です。
品書き
さらに、店内に貼られたメニューから本格的な料理も注文可能となっています。
- 生ビール アサヒスーパードライ中ジョッキ:380円
- 生レモンハイ:380円
- ウーロンハイ:298円
- 角ハイボール:380円
- ジャージャー麺:380円
- 牛たたき:500円
- 鮭のマヨネーズ焼:480円
- さば文化干焼:470円
- かつ煮:490円
- 牛すき焼鍋:990円
- 鶏鍋:650円
- 餃子:300円
常連さんとテーブルを囲んで、缶酎ハイとお惣菜
宝酒造 焼酎ハイボール500ml缶
大手スーパーのフードコートでは飲む気に全くなりませんが、なぜかここだと飲みたくなってきます。冷蔵庫や商品棚に囲まれたテーブルが『新町ストアー』の特設フードコートです。好きなお酒やお惣菜を選び、温厚で親切な店主さんに「こちらで!」とお伝えしたら、そのままテーブルでカシュッと始められます。
なんだかいけないことをしている気分。でも、左も右もベテランの皆さんが同じように酒盛り中なのです。郷に入っては郷に従え、乾杯!
惣菜コーナーから焼きイカを。店主さんがしっかりレンジ加熱までしてくれました。
意外なことに、平日の日中ながら若いお客さんの姿も多かったです。いまはいろんな飲み方が許される時代、スーパーで飲みたいというニーズもあるのですね。実際、飲んでいる私もすごく楽しんでいます。
缶酎ハイの品揃えは、全国区のスーパーのそれ以上かもしれません。珍しい酎ハイをみつけ、いろいろと飲み比べてみました。
店内飲みの場合はさすがに小売価格と同額とはいきませんが、わざわざジョッキを用意してくれるなど、サービスもあるので十分にお得感があります。
ごちそうさま
奥戸は、中川の奥にある「戸(=港)」が街の由来。いまは町工場が点在する住宅街ですが、新町ストアーでお昼から飲んでいると、横須賀や追浜、横浜などの港町の角打ちで飲んでいるような気分になってくるから不思議です。
和気あいあいとした雰囲気で、みんなとテーブルを囲んで飲むお酒は日常のような非日常。気になる方は、散歩がてら訪ねてみてはいかがでしょう。
近くの角打ち
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 新町ストアー |
住所 | 東京都葛飾区奥戸6-16-10 |
営業時間 | 営業時間 9:00~19:30 定休日 日曜日 |
開業時期 | 半世紀以上前 |