川部『駅前食堂』で絶品津軽ホルモンを味わう!地元民に愛されて半世紀の名店

川部『駅前食堂』で絶品津軽ホルモンを味わう!地元民に愛されて半世紀の名店

青森県田舎館村、奥羽本線と五能線が分岐するJR川部駅の駅前には、半世紀続く焼肉食堂があります。店の名はシンプルに『駅前食堂』。津軽焼肉の定番であるホルモンとサガリをつまみに、お昼から乾杯しましょう!

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津軽富士を眺めながら津軽焼肉を

新青森駅で、東北新幹線からJR奥羽本線の弘前行きローカル列車に乗り換えました。津軽富士の異名を持つ霊峰岩木山に見守られながら、林檎畑の中を列車は軽快に西へ向かいます。

目的地は津軽の中心都市・弘前市ではなく、その隣にある津軽平野の農村・田舎館村です。田舎館村には村唯一のJR駅である川部駅があり、その駅前にある老舗食堂を目指します。

川部駅は最近無人駅になったようですが、駅舎は古き時代の国鉄ムードを色濃く残す立派な建物です。同駅は五所川原、深浦方面へ伸びるJR五能線の接続駅で、街の規模に比べれば列車の本数は多いと言えます。

駅に隣接してJR子会社の保線事務所があり、駅前からは路線バスも出ています。昭和の鉄道全盛期には、大勢の旅行者や鉄道マンで賑わったことでしょう。

現在の川部駅は、駅前には営業していない商人宿が1軒と、タクシー会社の営業所が1つしかありません。今では静かな駅前ですが、この街には常連さんが集う人気の『駅前食堂』があります。

外観

創業から半世紀。一度移転をしているそうですが、現在の店舗もかなり味わい深く、旅情たっぷりの一軒です。

北国らしい二重扉の広い玄関。お酒などの在庫を店先においておくと冬季は凍ってしまうからでしょう。倉庫を兼ねた入り口がさらに期待を高めてくれます。

内観

店内の様子は食堂というよりもスナックです。L字のカウンターにはスナックで見かけるような小さな背もたれ付きの回転椅子が並んでいます。

かと思えば、壁側には板張りの小上がりが。夜営業では居酒屋代わりに使う人々で賑わうのでしょう。お昼営業でも、すでにガスロースターがセットされています。

品書き

お酒

  • 生ビール アサヒスーパードライ:500円
  • 瓶ビール(大ビン) アサヒスーパードライ・キリンラガー・サッポロ黒ラベル:700円
  • 冷酒 高清水 特別本醸造生貯蔵酒:650円
  • 樽ハイ 樽ハイ倶楽部:450円
  • ハイボール:500円

一品料理(夜限定)

  • イカ下足揚げ:500円
  • 甘えびのから揚げ:500円
  • とうもろこしの天ぷら:500円
  • ギョーザ:380円
  • 海老ニラまんじゅう:650円

焼肉鉄板類

  • ホルモン:500円
  • レバー:550円
  • 豚トロ:550円
  • サガリ:600円
  • こぶくろ:600円
  • 豚タン:600円
  • 焼野菜:850円

サガリとホルモンが津軽の定番

サッポロ黒ラベル大瓶(700円)

旅程の都合で、昼間から贅沢なホルモン焼肉とビールを楽しんでいます。まずはサッポロ黒ラベルの大瓶をもらって乾杯

ホルモン(500円)

津軽地方の食文化を語る上でホルモン焼きは欠かせません。「津軽ホルモン」と呼ばれ、津軽地方には多数のホルモン肉を販売する精肉店や持ち帰りホルモン専門店があります。ホルモンを看板メニューに掲げる飲食店も多数あり、ここ川部の『駅前食堂』もそうした津軽ホルモンが楽しめる一軒です。

もともとは各種定食のひとつとして提供していたホルモン焼肉が人気となり、やがて看板料理となったようです。

みるからに新鮮なホルモン。熱々のプレートに載せると心地良い音とともに芳ばしい香りが広がります。

丁寧な下処理と、お店独自の下味が決め手。

ホルモンといっても、部位は様々で、ミノやシロなどがミックスで盛られています。よく脂を落としてカリカリに焼いていただきます。

オリジナルの甘いタレにくぐらせて一口。濃いめの味付けがビールをグンと進ませます!

関西や九州でも同様のスタイルのホルモン焼きが存在しますが、それらとは味付けは異なります。パンチの効いたタレと意外なほどあっさりとしたホルモンの絶妙なバランスで、ぺろりと一皿完食してしまいました。

サガリ(600円)

ホルモンとともに人気なのが「サガリ」です。田舎館村の南に位置する平川市(岳南鉄道 平賀駅周辺)では、昔から焼肉の定番はサガリだったそうで、最近では「平川サガリ」としてご当地グルメとしても注目を集めています。

土地に根付いた味と聞けば食べたくなるものです。まだ食べられそうなので、2皿目は「サガリ」を頂くことに。ハリ、艶、そして発色の良さ。これまた見るからに新鮮ですね!

特製タレに漬け込まれたものを焼くのでどうしても焦げてしまいますが、その香ばしさまでもお酒のお供です。漬け込みなのに大変ジューシーで、広がる甘味とコクに思わず一人頷いてしまいました。

高清水 生貯蔵酒(650円)

ホルモンと日本酒の組み合わせは意外といいものです。冷酒はお隣秋田県の大定番・高清水。ワイルドなホルモン焼きの脂を、スッキリとして後味の軽い特別本醸造生貯蔵酒がすっと流してくれます。ホルモンが進むしお酒も進む!

ごちそうさま

昔ながらの温かい雰囲気の家族経営の食堂です。

周囲に飲食店が少ないからでしょうか、途切れることなくお客さんがやってきます。定番のラーメン(縮れ麺)を食べていく近隣の農家さんや、定食を食べていく会社員風の人たちが多いです。地元にしっかり根付いていることがわかります。

夜は酒場利用する人で混むようですので、『駅前食堂』目当てに川部へ向かう方は、事前に予約しておくことをおすすめします。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名駅前食堂
住所青森県南津軽郡田舎館村川部上西田25-5
営業時間11:00~14:00・17:30~22:00(日祝定休)
開業した年1970年頃