三河島を代表する老舗大衆割烹『春駒駅前店』が移転オープン。老朽化に伴う閉店から2年半の歳月を経てのことでした。開店初日から満席になるほど賑わい、地元の注目度の高さがわかります。丁寧な刺身をはじめとした魚料理を良心価格で、移転しても魅力は変わりません。
目次
三河島に誕生して50年余年
(春駒 駅前店 旧店舗 2018年撮影)
春駒の創業は1968年(昭和43年)。三河島駅の北口で創業し、数年後には三河島駅前に『駅前店』をオープン。新宿に一時期出店したこともあるそうですが、約半世紀にわたり三河島の2店舗を創業者家族で営んできました。
駅前店は尾竹橋通り沿いにあった巨大な店舗で、界隈の酒場のランドマーク的な存在でした。天井は広く、奥へと長い構造で、ずらりと並ぶテーブルにたくさんの呑兵衛さんたちが思い思いに過ごしていたものです。筆者も同店が好きで、年に何度か飲みに行きました。
そんな駅前店ですが、2020年春、パンデミックの中で休業中からの閉店が決まり、常連さんたちの間で衝撃が走りました。
それから2年。かつて店舗があった場所に真新しいマンションが建った頃、なんと復活の話が届いたのです。
春駒駅前店、復活
外観
2年半の歳月をかけて、春駒駅前店は復活しました。移転再開は2022年10月31日。場所は移りましたが改札から徒歩1分の距離にあり、間違いなく「駅前」です。今度の店はJR常磐線のホームからもみることができます。
内観
旧店舗ほどではありませんが、東京の個人店としては最大級といえる規模で宴会にも対応しています。以前から宴会でよく使われている印象がありましたが、新しくなっても宴会で賑わっている様子でした。
もちろん、一人から少人数の利用が中心で、ずらりと並ぶテーブル席は開店から一ヶ月たっても賑やかです。カウンター席はありませんが一人飲みも歓迎してくれます。
旧店舗から店を見守ってきた”千社額”は新店にも堂々と掲げられています。
さて、春駒本店と春駒駅前店の関係ですが、現在は創業者の2代目がそれぞれ別々に営んでおり、料理などに多少の違いがあります。どちらも家族で切り盛りしており、あたたかい雰囲気は変わりません。
品書き
お酒
春駒は長年サッポロビールを扱ってきたお店で、移転しても変わりません。
樽生ビールはサッポロ生ビール黒ラベル中ジョッキ:550円、大ジョッキ:800円。瓶ビールはサッポロラガービール大瓶:600円。
チューハイ類は、チューハイ:380円、レモンサワー:400円、緑茶ハイ:400円、生グレープサワー:450円。ハイボールはサントリー角ハイボール:380円、デュワーズ12年ハイボール:580円など。
日本酒は清酒一献:400円、樽平:500円、住吉:500円など。
本日のおすすめ品
取材時は、刺身三点盛 マグロ・スズキ・サワラ:850円、カツオタタキ:650円、しめさば刺:550円、こはだ刺:550円、くじら刺身特上:700円、白子ポン酢または天ぷら:600円、生カキ殻付き:300円、カキフライ:650円、ふぐ唐揚げ:600円、ギンダラ西京焼:650円、蛤どびんむし:700円、きんき煮魚:1,700円など。
寒い季節は鍋もあり、トラフグ刺・ふぐ唐揚げ・トラフグ鍋・雑炊セット・ひれ酒付きのフグセット:4,000円。
定番メニュー
刺身盛り合わせ:1,500円、中とろ刺:1,500円、赤身刺:750円、フライ盛り合わせ:900円、とり唐揚げ:500円、きす天ぷら:600円、やきとり:400円、もつ煮込み:450円、厚焼き玉子自家製:400円、うなぎかば焼き:1,300円、海鮮丼ミニ:650円など。
移転しても変わらず、美味しい料理がお手頃価格
サッポロ生ビール黒ラベル(550円)
まずはビールから。大瓶の赤星が600円は、今の時代は安いと感じる値段ではないでしょうか。生ビールもおすすめできます。昔ながらのしっかり入る寸胴型のサッポロジョッキで提供される、キンキンに冷えた生ビールが運ばれてきました。
それでは乾杯!
お通し(300円)
「春駒の名物は?」と聞かれたら、ふぐ、刺身、天ぷらなどの割烹料理がありますが、私としてはお通しをご紹介したいです。移転前から変わらない3点盛り合わせのスタイルで、一品以上は海鮮料理が盛られています。この日は穴子、あん肝ポン酢、そして自家製の厚焼き玉子です。これだけで一杯目のビールはあっという間になくなります。
こはだ刺(650円)
刺身も安定した美味しさ。カツオのように厚切りが美味しい魚はしっかり分厚く、サバや小肌はきれいな下ごしらえや包丁さばきが感じられ、大衆とはいえ「割烹」の名に恥じないクオリティです。
清酒一献 お燗(400円)
優しい締め具合の小肌に誘われて、お燗酒を1合。酒燗器で瞬間的にあたためるタイプで温めます。しみじみ美味しい一杯です。
カキフライ(650円)
旬の味ということでカキフライを注文しました。みてください、この丁寧な盛り付けを。きつね色に揚がったカキフライはもちろんのこと、自家製のポテトサラダに、プチトマト、キャベツや人参の千切りをあわせたキャベツの山も嬉しいです。
プリッとジューシーさを残しつつサクサクに揚がったカキフライは絶品。香り豊かで牡蠣そのものの良さが感じられます。
緑茶ハイ(400円)
濃い緑色が嬉しい、老舗酒場でおなじみの玉露茶をつかった緑茶ハイ。刺身やフライとも相性はとても良いので気にいっています。
ピザレストランからの居抜きのためどこか和洋折衷な雰囲気ですが、料理は間違いなく人気老舗酒場の味ですのでご安心を。明るく清潔感もあり、日常的に酒場に行かないような友人・家族との会食でも喜んでもらえると思います。
ごちそうさま。
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三河島「春駒 駅前店」 これぞ大衆割烹!豊富な海鮮料理を肴にのんびりと飲む。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 春駒 駅前店 |
住所 | 東京都荒川区東日暮里6-24-19 |
営業時間 | 17:00~23:00 日曜営業 定休日 木曜日 |
開業年 | 2022年10月31日現在の店舗で移転再開(創業は1968年) |