沼津・伊豆の海の幸を揃えた、元漁師が営む酒場『海老や』。駿河湾や伊豆半島の魚介類を豊富に揃えており、地元の魚喰いが毎夜集まる人気店です。名物メニューのあじなめろうを肴に沼津の地酒・白隠正宗を飲めば、沼津の夜がきっと楽しくなるはず。
目次
漁師歴30年の大将を中心に、家族で切り盛りする酒場
全国有数の水揚げ量を誇る沼津漁港を中心として、港と東海道で栄えた街、沼津。最深部で2,500メートルに達する日本一深い湾である駿河湾に面した漁業拠点であり、近海から深海まで多種多様な魚介類が沼津市場に集まります。東京に近くて日帰りで行ける魚好きにはたまらない街なのです。
外観
駅周辺から市場にかけては魅力的な個人経営の酒場や食堂が点在しており、漁業関係者も利用する光景がみられます。今回ご紹介する『海老や』もそうした一軒です。暖簾に掲げられた『漁師のおかず』というキャッチコピーに誘われます。
内観
暖簾をくぐると、正面にあるカウンターに立つ大将が、愛想よく明るく迎えてくれます。続けて女将さんが席へと案内。実に心地の良いバトンタッチです。聞けば、大将は30年間、西伊豆で漁師をしていたそうです。
カウンター前の冷蔵ケースにはカンパチやマグロ、アジの丸魚などがびっしりと詰まっています。その日水揚げされた魚や、朝の市場を経由して夜には酒場の商品ケースに並ぶ。産地の酒場へ飲みに行きたい理由がそこにあります。
小上がりでは近隣企業の人たちでしょうか。ジャケットやワイシャツ姿の飲み慣れたお父さんたちや、ジャンパー姿で飲みに来た常連さんたちで賑わっています。
品書き
お酒
樽生ビールはキリン一番搾り生ビール:450円。瓶ビールはキリンラガー:550円。
日本酒は沼津の地酒、高嶋酒造の白隠正宗 純米辛口:1合600円、花の舞酒造(浜松)の花の舞 辛口:400円、花の舞冷酒ビン300ml:730円、八戸酒類(青森県)の五戸限定酒 純米吟醸 五醸:500円など。
ほかには、ハイボール:450円、ホッピーセット:480円、レモンサワー:450円、緑茶ハイ:450円など。
料理
刺身は、中トロまぐろ:1,250円、まぐろ赤身:980円、あかいか:950円、あじ:600円、あじなめろう:700円、しめさば:800円、かんぱち:950円、たこぶつ:730円、かつおにんにく:850円、本マグロ中トロすきみ:700円、あかざえび:480円など。
煮魚は、金目:3,800円~、くろむつ:1,500円、まぐろカマ:1,200円。
そのほか、あさり酒蒸し:550円、うなぎかば焼:950円、特大かきフライ:500円、エビフライ:450円、かさご唐揚:500円、めひかり唐揚:500円、自家製ポテトサラダ:390円、サザエつぼ焼:250円、さば塩焼:390円、漁師茶漬け(まご茶):650円、かつお塩辛:280円など。
駿河湾の魚種の豊富さを酒場で楽しむ
キリン一番搾り生ビール(450円)
ほぼ満席に近かったのですが、女将さんが「お一人?こちらへどうぞ」とカウンターの一番奥へと通してくれました。“入れてよかった”と安心した途端、のどが渇いていることを思い出し、カバンをしまうより先に生ビールをお願いしました。
銘柄はキリン一番搾り。美味しいものを食べる前に、嬉しいビールです。それでは乾杯!
お通し
お通しは日替わりで、今回はしらすおろし。ここは沼津、地物のしらすが嬉しいです。ほかにも、あん肝やイカやタコの味噌和えなど、お通しから魚介類がでてきます。
あかざえび(480円)
深海の魚介類が揃う沼津で、冬のごちそうといえば、深海の海底に生息する「あかざえび」でしょう。水揚げされてとびきり新鮮なものがでてきました。驚くほど爽やかでクセのない香りと旨味です。プリプリの歯ごたえが心地よく、特長的な爪まで割って食べ尽くしたくなる美味しさです。
それにしても、高級食材のあかざえびが提供価格で500円未満とは、さすが産地の酒場。
サザエつぼ焼(250円)
海底のあかざえびを満喫したら、つぎは磯の魚介といきましょうか。これがまた素晴らしくいい味です。海の旨味をシンプルに楽しむ、漁師料理らしい一品です。
花の舞冷酒ビン180ml(390円)
お酒は地元の白隠正宗や、女将さんの出身地である青森の地酒などが揃っています。定番酒は花の舞で、静岡県産米でつくる本醸造生貯蔵の冷酒瓶が一人飲みには丁度よさそう。バランスのとれたフレッシュな味で、食中酒にぴったりのお酒です。
かさご唐揚(500円)
深海の魚であるメヒカリ、金目、甘鯛など、深海系の魚が品書きに並んでおり、目移りしてしまいます。その中から選んだのはカサゴの唐揚げです。普通のカサゴよりも全体が赤くて喉は黒い「ユメカサゴ」という沼津では知られた魚。比較的小ぶりですが、こちらも高級魚です。
骨が柔らかく、まるごと唐揚げにしたら、頭やヒレ、骨までお煎餅のようにバリバリと食べられます。全体的に甘味があり、皮やヒレは特に味が濃いめ。間違いなくお酒が進みます。旬は冬のようなので、食べどきを逃したくない魚です。
港町沼津にある元漁師が営む家族経営の酒場と聞けば、もうそれだけで行きたくなる人もいらっしゃるはず。ここは魚好きならば一度は訪ねてほしい名店です。
ごちそうさま。
関連リンク
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 漁師料理の店 海老や |
住所 | 静岡県沼津市高島町15-9 |
営業時間 | 17:00~22:00(日定休※月曜日が祝日の場合は日曜日営業で月曜日が休み) |
開業年 | 約20年前 |
公式サイト | https://e-ebiya.e-heda.com/ |