新子焼きと並ぶ旭川を代表する肉料理『塩ホルモン』。内陸の酪農都市らしい酒の肴で、ビールと相性ぴったり。1986年に創業した『炭や』は特に人気のお店で旭川だけでなく札幌にも支店を構えています。看板料理の塩ホルモンは330円と大変リーズナブル。札幌を訪ねた際は見逃せないホルモン酒場です。
目次
歩く価値あり!すすきのから徒歩7分
外観
旭川に本店を構える炭やは、札幌市内では繁華街に近い「炭や 中島公園店」とJR札幌駅から徒歩5分の「炭や札幌駅西口店」、JR琴似駅近くの「炭や 琴似店」の3店舗を展開しています。
今回は、すすきのからも徒歩圏にある『炭や 中島公園店』にやってきました。以前は札幌の繁華街のまん真ん中である狸小路でも「炭や」は営業していましたが、2019年に札幌駅西口店へと移転し、現在は中島公園店が札幌市中心部の歓楽街すすきのに最も近い店となっています。
札幌市中心部の目抜き通りである札幌駅前通に面しているものの、店はビル内店舗ではなく3階建てすべてが『炭や』という大箱の店舗です。黄色い看板に木炭をモチーフにしたキャラクターがかなりのインパクト。札幌在住の人にとってはお馴染みの店だそう。
日曜日を定休日に設定している居酒屋・飲食店が多い中、同店は休まず営業しています。日曜祝日の夜にすすきので食事することもある、“前日入りの出張者”にも嬉しい店です。
内観
店構えからわかる通り、店は非常に大きく、カウンター席、テーブル席、入れ込み座敷がずらりと並んでいます。家族連れや飲み会で利用するグループの姿が多いものの、カウンター席では一人飲みを楽しむ使い慣れた雰囲気のお客さんの姿も目立ちます。
次々と予約していたお客さんが流れ込んでいき、広い店でも満卓状態です。1~2人ならば飛び込みでも入れますが、数人で利用するならば予約は必須でしょう。
「全国的な展開はしていないけれど、その街では誰もが知っていて、静かな街でもここだけ満席になっている」
こういう強烈な地域密着の繁盛店を稀に見かけますが、同店がまさにそうです。満員御礼状態なのに空間は不思議な余裕があるのもそういう店の特徴のひとつです。首都圏発の酒場だと詰め込むのでこうはいきません。
品書き
お酒
樽生ビールは札幌市白石で製造されたアサヒスーパードライ。500mlジョッキ:506円。瓶ビールも同じく白石のアサヒスーパードライ(大ビン):600円。アサヒ黒生(小ビン):418円もあります。
日本酒は燗酒:330円、合同酒精 北の誉親玉にごり:385円、越後酒造場(新潟)越乃八豊:418円、合同酒精 大雪乃蔵 純米吟醸 絹雪:528円など。
焼酎はアサヒビールの金黒 芋:495円、合同酒精 紫蘇焼酎 鍛高譚:385円など。
ハイボールはブラックニッカフリージングハイボール:495円など。サワー類は樽ハイ倶楽部レモン、午後の紅茶ハイなどが341円、男梅サワー:385円もあります。
珍しいニッカ製原酒でつくる度数低めのジンソーダハイボリー:385円もあります。
全体的に北海道色が強いお酒の品揃え。合同酒精(オエノン)のハイクラスな銘柄がグラス売りされています。
料理
北海道らしく、豚、牛、鶏だけでなく、羊や魚介、野菜類も大変充実しています。しかも総じて一回り安い価格設定です。
豚は、塩ホルモン(豚の胃袋・ガツ):330円、サガリ:462円、ナンコツ・スライスナンコツ:330円、豚タン:495円など。
生ラム:594円は塩ホルモンを看板に掲げる同店らしく塩味です。魚介類は、イカ+ホッキ塩焼きセット:550円など。
煙いけど美味しい!新鮮ホルモンと炭火の力
アサヒスーパードライ中ジョッキ:506円
店名の通り、七輪をつかった炭火焼きが同店のこだわりです。一人客であっても、テーブルひとつに使い込まれた七輪がひとつセットされ、網の下に赤く光る炭がみえています。
冷房が効いていても七輪が来るとやっぱり暑いです。「炭やで暖を取る」なんて話を聞きましたが、なるほど。となればビールがグングンと進むわけです。北海道で醸造されたアサヒスーパードライで乾杯!
アサヒの製造現場のこだわりは、国内外のどの工場でつくっても同じ味にすることと聞きました。ですので、札幌市白石の工場でつくったこのスーパードライも、普段東京で飲むアサヒビール茨城工場(守谷)などと変わらない味のはずなのですが、やはり北海道で飲むビールは格別の美味しさです。
塩ホルモン(330円)
これが名物の塩ホルモン。ホルモンが苦手な人でも好きになると評判の一品。ホルモン特有のクサミは皆無で、まったく別物に思えるかもしれません。
カリカリになるまで焼いてガーリックパウターをかけて食べるもよし、適度な焼き具合でもちもち・しゃきしゃきの歯ごたえを楽しむもよし。
上ホルモン(462円)
こちらは上ホルモン。上といっても、塩ホルモンとは使っている部位が異なり、こちらは豚の直腸、いわゆるテッポウです。捌き方や下ごしらえがよっぽど特別なようで、テッポウ特有のアブラはほとんどが落とされています。
炭火の風味をまとうことで、より一層豊かな味わいと香りになっています。安価に正肉が手に入る時代ですが、あえてホルモンを選ぶ理由を改めて実感しました。
レモンサワー(341円)
『炭や』のサワー類は、一部を除き大きめな中ジョッキを使用しているところが嬉しいポイント。脂モノが多い店でもグラス類の洗浄が完璧で、しかもよく冷えたジョッキに注いでだしてくれます。ガス圧強めのサーバーから注ぐ樽ハイをスイスイと飲めば、口の中はリセットです。
サガリ(462円)
サガリは内臓系が得意ではない人でも安心の部位、横隔膜です。固くスジの多いイメージのサガリですが、この通り独特な包丁の入れ方で、焼いてみると適度にモチモチとしている程度で実に食べやすいです。
添えられた玉ねぎなどの野菜類も美味しい。さすが北海道です。ゴウゴウと煙をたてながら、もくもくと焼き、定期的にビールやサワーをごくりと。
グラスワイン赤(308円)
サガリとハウスワインで感じる手頃な幸せもあるんです。
お通しや席料もなく、お肉もお酒も低価格な酒場値段なのですから、お財布事情を気にすることなく好きなだけ満喫できるわけです。
有名観光地のBBQももちろん旅の楽しみのひとつですが、地元の人たちが家族でやってくる日常の店で、ただひたすらもりもり食べて飲むというのも大変良いものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 炭や 中島公園店 |
住所 | 北海道札幌市中央区南9条西3-10-39 |
営業時間 | 17:00~23:30(土日は16:00~・基本無休) |
開業年 | 1986年(旭川の1号店の開業日) |