酒屋さんでお酒を飲む角打ちという楽しみ方。
最近はますますファンが増えているみたいで、飲みに行く先々で「角打ちデビューしました」という方と出会います。
安く飲むだけが角打ちの良さではありません。お酒のプロとの会話や、ストイックなまでのお酒好きたちとの交流、そこに流れる穏やかな時間こそが魅力です。
居酒屋と違っておつまみは期待できませんが、その代わり、お酒の品揃えだけは界隈のどんな酒場よりも上。飲みたいお酒がそこにあるから、角打ちを今夜も目指すのです。
杉並に角打ちはないの?と質問されたことがありますが、一軒だけあるんです。結構貴重な存在。だって、中央線沿線の人が酒屋で飲もうと思ったら、今までは四ツ谷の「鈴傳」や新宿の「根本酒店」までいかなければならず、ちょいと一杯というノリではいけなかったのですから。
三ツ矢商店さんは阿佐ヶ谷駅から南に伸びるアーケード「パールセンター」を10分ほど南下したところにあります。
ちょうど杉並区役所の裏に位置するので、住民票の写しを取りに行ったときなんかに帰り一杯飲んでいくなんていうのができます。
表向きは普通の酒屋さん。名門酒会系の地酒と珍しい世界のビールが並ぶのが特長ですが、店内で飲めるような気配はありません。金髪の店番男性に「中で飲ませて」という合言葉を伝えると、システムを説明してくれます。
コップの一杯売りあり、ビールは国産はサッポロラガー、そのほか、何でも買って飲んでいい。缶詰・乾き物がおつまみで、電子レンジも有るよ。先払いでね。
といった感じで教えられます。
まずはビールから。サッポロラガーは角打ちの顔としてふさわしいですね。
秋刀魚の蒲焼缶をおつまみに、お店のバックヤードを抜けた先の6畳間の立ち飲み空間に移動します。
乾杯です。
先客はイギリスから仕事で来ているバーテンダーさん。今日が誕生日なのだそう。ハッピーバースデー♪
世界のビールが揃っているから、ご出身の地のビールもあるそうでガンガン飲んでいました。
もう一方、ご近所にお住まいの男性は毎日のように通われているそう。ここはお昼から夜までずっと飲めますし、いろんなお酒が飲めるので楽しいですよと笑顔でお話してくださいます。
ワイン250円、日本酒も景虎や浦霞など飲兵衛の心をくすぐるラインナップはほぼ小売価格で並びます。赤星を飲みきったので、坤滴を一杯いただきましょう。
店長さんがポップコーン食べてーと持ってきてくださり、皆さんとわいわいお酒の時間。
店長さんが選んだ度数9%近いアメリカのビール、うーん、どっしりしていてちびちび飲むのに最適です。
酒屋の店長になったのはそんなに長くないそうで、ずっとアメリカに行かれていたのだそう。英語がペラペラで、イギリス人のお客さんと談笑されています。お酒のチョイスも旧態にとらわれない豊富な品ぞろえ、こういうお店も楽しいですね!
これだけビールが揃っているのは、このへんだと両国のポパイさんか三ツ矢商店さんぐらいじゃないかな、と話す常連さん。確かに♪
あちらは樽詰めが色々ありますが、瓶の揃い方はここが一番じゃないでしょうか。
もちろん酒屋の歴史は長いのでお酒の品揃えは実に豊富。ずらーっと並ぶお酒は大手系やミーハー系ではなく、珍しい酒蔵が多い感じ。
杉並という場所柄、ワインも売れるのだそう。ずらりと並ぶ棚を見ているとうっとりしませんか?
お酒好きならば、何時間でも滞在できそうなほどの品揃え。買って帰るもよし、奥で飲むも良し。
角打ちは酒好きのテーマパークのようなもの。
333(バーバーバー・ベトナムビール)を飲む人もいれば、隣では「八海山」をテイスティングしつつ、奥ではカベルネ・フランで宴会をしている。ここには地球上のあらゆるお酒が集まっているのです。幸せで仕方がありません♪
女性のお一人様は滅多にいないそうですが、店主さん・店員さん皆さん親切ですので安心して立ち寄れると思います。
常連さんも杉並人らしい和気あいあいな感じがあってすぐに馴染めるはず。
さぁ、今夜は阿佐ヶ谷で途中下車だ♪
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
酒ノみつや
03-3314-6151
東京都杉並区阿佐谷南1-13-17
平日11:30~22:30・土祝は20:00まで・日は15:30~19:30(無休)
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