人形町『やきとん ひょっとこ』脳裏に残る格別なレバテキに舌鼓を打つ

人形町『やきとん ひょっとこ』脳裏に残る格別なレバテキに舌鼓を打つ

2022年3月17日

人形町の路地にある小さな酒場『やきとん ひょっとこ』は、常に満席近い賑わいになる評判の店です。創業は2005年と、近隣の名店と比べればまだ新しいものの、家族経営で真摯にモツ料理に向き合う雰囲気は、名酒場の風格そのものです。

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路地が楽しい人形町。路地裏の提灯に魅せられて

東京都中央区・日本橋人形町。

その歴史は古く、徳川家康が江戸を作り上げてていく過程で、城下の町として湿地を嵩上げし、下町を造成したことで誕生しました。やがて江戸歌舞伎がこの地で始まると、人形浄瑠璃や芝居小屋など、大衆娯楽が集まる一大エンタメスポットとなります。なかでも、庶民に愛された人形芝居に関わる人々が多く暮らすようになり、人形丁と呼ばれ始めます。昭和にはいり、「日本橋人形町」が正式な地名として制定され、現在に至ります。

歌舞伎・芝居の街は、明治以降は、芸妓の置屋御茶屋が立ち並ぶようになり、新橋、柳町と並ぶ一流の花街に姿を変えました。いまでも往時の面影は随所に残っています。

細い路地に立ち並ぶ中小の飲食店街もそのひとつでしょう。料理屋や割烹とともに、大衆的な居酒屋も立ち並びます。

外観

高級店から庶民的な酒場、角打ちまで飲む場所に困らない人形町ですが、その魅力は細い路地のほうが濃厚です。東京メトロ日比谷線の人形町駅からわずか1分も離れていない場所にも、幅2mの細い路地があり、そこにはびっしりと赤ちょうちんが灯っています。

ひときわ人々の注目を集めている一軒が、今回ご紹介する『ひょっとこ』です。

やきとん歴の長いベテランの大将がはじめた店で、現在は二代目が中心に切り盛りしています。

店内は口開けとともにスーツ姿のビジネスパーソンがどっと押し寄せ、あっという間に20席ほどの店内は満席になります。ひとり、ふたりならばタイミングよくカウンターの空席に滑り込めるかもしれませんが、4人・6人テーブルは予約必須です。

乾杯は「シャリキンホッピー」で

人気のお酒はホッピーです。指定しなくとも、キンミヤ焼酎をシャーベット状にジョッキごと冷凍庫で凍らせた「シャリキン®」で提供され、ここにホッピーをそっと注ぎ込みます。ホッピーのガスが抜けすぎないように、そしてキンミヤ焼酎がよく混ざるように、難しいステアが求められますが、それもまた楽しいです。

では乾杯!

品書き

お酒

樽生ビールはアサヒスーパードライ:660円。割材・ハイボール系は、ホッピーセット(白・黒):528円、抹茶ハイ:528円、バイスサワー:528円、角ハイボール:550円など。

料理

人気メニューでほとんどの人が注文するのは、レバテキ:880円、そして特製もつ煮込み:650円。

看板料理の串焼き(やきとん)は198円均一で、カシラハラミハツタンレバーチレバラコブクロなど。その他、つくね:220円、ピーマン肉詰め:330円、上タン串2本:770円など。まずは、おまかせ5本:850円が良さそうです。

隣の常連さんがつまんでいた、牛ハツ刺し:880円も、エッジがピンとして鮮度が良さそうでした。

量があっても、独り占めしたい美味しさ

お通し(300円ほど)

きゅうりとキャベツがお通しのお決まり。味噌の味がよく、冷水でバリっとさせたようなきゅうり、キャベツが心地よく進みます。

レバテキ(880円)

一般的なやきとん店のレバテキと比べれば、確かに少し値段は高め。でも、それは場所柄ということではないのがよくわかる、とても贅沢なレバテキです。レバーそのものも、二種類のネギにおろし大蒜といった薬味やごま油も、どれもたっぷりと豪快な盛り付けなのです。

鮮度の良さがわかる、プリップリの食感と、濃厚な旨味がクセになります。ちょっぴり濃い味で、これがホッピーをぐんぐんと進ませます。普段レバテキをあまり積極的に食べない人でも、きっと好きになるはずです。

ホッピーのナカ・シャリキン(275円)

ナカをおかわりしても、シャリキンが注がれます。

カシラ・タン(各198円)・ピーマン肉詰め(330円)

レバテキや刺しものが注目されがちですが、ここは串焼きもなかなかにいい味だと思います。串のバランス、モツそのものの鮮度の良さ、焼き具合、どれもレベルが高いように感じます。

とくに、特製のつくねをつめたピーマン肉詰めは秀逸です。予約が必要になるほど賑わう理由がよくわかります。

奥の松(1合495円)

チロリで提供され、蛇の目に注いで飲むというのがここのお燗酒のスタイルです。定番酒が合図の日本酒・奥の松というのも、特長があって楽しめます。

『ひょっとこ』のレバテキを食べると、これからやきとん酒場でレバテキを見つけたら食べ比べたくなるかもしれません。それだけ、記憶に残る味でした。シャリキンホッピーとともに味わってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名やきとん ひょっとこ
住所東京都中央区日本橋人形町3-4-8
営業時間17:00~22:00(土は21:00まで・日祝定休)
開業年2005年