吉祥寺『いせや北口店』こっちはソラチが飲める！並ばず入れる広い店

吉祥寺のランドマークといえば「井の頭公園」と『いせや』。多くの人々に親しまれてきた老舗やきとりです。2012年にオープンした北口店は、他店と比べ落ち着いた雰囲気で、普段使いなら選択肢に加えたい一軒です。

いせや北口店は、老朽化したいせや公園店の建て替えに伴う仮設店舗として、2012年に北口の吉祥寺パーキングプラザ地階にオープン。公園店の再開後も、北口店として営業を続け現在に至ります。

公園店や本店は、吉祥寺の飲酒シーンを象徴するようなスポットであり、休日になると行列ができることもありますが、北口店は比較的空いており、すんなりと入ることができます。煙もくもくで焼台前の立ち飲みを楽しむ本店や、井の頭公園を借景にできる公園店と比べれば情緒はないものの、北口ならではの魅力があります。

※比較的入りやすいお店ですが、混雑することもあります。

穴場！駅徒歩7分・北口いせや

JR吉祥寺駅北口。

駅前を南北に貫く吉祥寺大通りを北へ。五日市街道の手前にあるのが吉祥寺パーキングプラザです。ちなみにこのビルの裏手側にはディープな歓楽街があり、いせやのあとはそちらに梯子酒というのもいいものです。

階段を降りると目の前がいせや。佇まいは普通の居酒屋のようですが、まぎれもなく吉祥寺のいせやです。

大箱50席、地階でも開放感

天井が高く、視線の高さに障害物がないため広々と感じる空間。学校の教室2つ分ほどで、約50席が用意されています。本店では醍醐味ともいえる煙ですが、こちらはありません。匂いを気にする服装ならばこちらが安心です。

さあ、はじめましょうか。瓶ビールはサッポロラガー、赤星です。

東日本大震災の際、サッポロビール社の生産設備が被災し、一時的にサッポロラガーが休止になったことがありました。いせやはその時以外は、長年ずっとサッポロラガーが並び続けてきた「レジェンド」なお店。

それでは乾杯！

品書き

いせやのメニューは各店で同じように見えて、実は少しずつ品揃えが違います。

飲み物メニュー、ソラチが定番にあることに注目

いまどき大びん550円（税込）はリーズナブル。樽生ビールはサッポロ黒ラベル。生ビールは黒ラベルのほかに、珍しいSORACHI1984（ソラチ）が定番入りしています。卸値が高いプレミアムなビールですが1杯500円と大変太っ腹。

昔からいせやで飲んでいる人は、焼酎（250円）を注文し、裏メニュー的に置いてある「梅シロップ」をサービスでもらって、これで梅割りを楽しみます。甲類焼酎は珍しい「トライアングルインディゴ」。

ここだけの部位もある！北口店の献立

いせやの品書きはシンプルでいいですね。しかも何年もデザインが変わっていないから、見やすく目に優しい（笑）

精肉店として創業した経緯から、やきとり以外にも肉料理が多く、とくにシューマイ（360円）はやきとりと並ぶ名物料理です。

いせやで砂肝が食べられるのは北口店だけ。焼きトウモロコシ（300円）は、10年という単位で通うベテランさんにファンが多いロングセラーです。

串に悩んだらミックス焼き鳥（360円）でスタート。

プラスして壁面の案内もチェックしましょう。飲み物はバリキング（400円）などがありますし、料理は一人でも利用できる鍋メニューがあるからです。いせやの鍋料理は昔からあり、筆者は好物。鶏鍋・豚鍋は630円とリーズナブル。

このほかに、塩焼きそば（400円）、揚げナス（330円）、ポテトサラダ（330円）、まぐろぶつ（400円）などのサイドメニューがあります。

北口店らしい料理も楽しむ！

まずはおなじみのシューマイ

みんな大好き、いせやのシューマイ。ほんのり甘くて、焼き鳥のタレのようなニュアンスがあります。

肉がぎゅっと詰まっていて、旨味は濃厚。これに赤星をあわせれば、口の中は「あぁー、いせや来たー」ってなります。

野菜サラダ400円

大きめのお椀にたっぷりもられてくる生野菜。水菜やきゅうり、キャベツにトマトなど、いろいろはいっています。酒場の免罪符。

いせやでソラチ！？

SORACHI1984は、サッポロビールのクラフトビール事業の中で誕生した人気のエールビール。

北海道・上富良野にあるサッポロビール北海道原料研究センターでうまれた新種のホップは、1984年に品種登録がされ「ソラチエース」と名付けられました。ずばりホップの名前と登録年をブランドにした「SORACHI1984」。ソラチエースを100%使用し、従来のナショナルメーカーにはない、力強い味が特長です。

明治うまれの赤星、令和うまれのソラチ。いせやで時代を越えた飲み比べが楽しめます。

それでは改めて乾杯！

レモングラスを思わせる香りと、ホップのぐーっとくる苦味と旨味が心地いい。

濃厚なタレのやきとりが相性抜群

いせやの焼き鳥の負けていません。タレの旨さとコクはビールを誘う味。1本90円とは思えない、食べごたえのある串たちです。ソラチとの相性もなかなか！

いせやで紹興酒のボトル（1,200円）もいいもので

いせやでボトルだと、トライアングルを頼みがち。でも、北口店ならば紹興酒1本という選択もあります。手醸紹興花彫酒（てじょうしょうこうはなほりしゅ）。販売元はキリングループの永昌源。

1本1,200円とリーズナブル。二人で飲みに来たら、ビールのあとは紹興酒でちびりと飲み続けて空けちゃうくらいが丁度いいかもしれません。※お酒は適量で。

あぶらがたっふりついたカシラなどには、この紹興酒がよくあいます。

全国の炒飯飲み好きの皆さんに朗報です。なんと、いせや北口店には「豚焼飯」（スープ付き400円）があります。味付けしっかり、おつまみ系です。〆の一品に、ビールを1つ加えて満喫しませんか。

いせや北口店は、広くて比較的入りやすいお店。状況が改善し、多くの人が酒場に繰り出すようになった際、ぜひ思い出してください。そして、ソラチで乾杯を！

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見 なゆ）