高円寺「七面鳥」 自分でビール取り出し、コの字で瓶を傾け餃子を頬張る

高円寺「七面鳥」 自分でビール取り出し、コの字で瓶を傾け餃子を頬張る

地名の由来となった宿鳳山高円寺を中心に、大小様々な商店街が入り組む杉並区高円寺。若者向けのカルチャー、アンティーク、アパレルなどを扱うセレクトショップや、昔ながらの家族経営の飲食店が多く、ほっとする町並みが広がっています。

南口から徒歩7分ほどにある中華料理の「七面鳥」は、1959年(昭和34年)創業の個人店。いわゆる街の中華屋さんです。

中華屋さんながら、名物料理はオムライス。二人に一人が注文すると聞きます。リーズナブルな価格と種類豊富なメニューを求め老若男女幅広い層が集う人気店です。そして、同時に中華屋さんで飲みたい「酒場好き」にも親しまれている一軒でもあります。

 

大衆割烹を思わせる白木のコの字カウンターを大きく配した作りは、中華屋さんとしては独特な構造です。テーブル席では家族連れやカップルが食事を楽しみ、カウンターではテレビを眺め一人客が瓶ビールを傾けています。

 

入って左側に冷蔵ショーケースがあり、そこに瓶ビールや紹興酒、缶酎ハイが冷やされています。これを自分で取り出し飲み始めるのが七面鳥の流れ。ベテランさんはなれた手付きで席に座る前にお気に入りの銘柄を取り出して、流れるように定位置へと着きます。

アサヒスーパードライ、キリン一番搾り、キリンラガー、サッポロ黒ラベルの4銘柄があります。今日は一番手前にあった黒ラベルで…、それでは乾杯!

 

お酒を飲むとお通しが3品でてきます。大葉が載った爽やかな冷奴、枝豆、お漬物と頂きましたが、これはなんと無料。なんてお酒飲みに優しいことでしょう。

 

ラーメン450円、今どき珍しい優しい値段設定。上海麺などに加え、カツ丼、カレーライス、話題のオムライスと洋食の選択肢が多いく、街に寄り添う優しい印象です。

 

お店のおすすめと定食メニュー。定食は本格中華のような豊富なラインナップ。ベテランご主人の中華の技が楽しめます。

 

肉汁あふれる大きい餃子(380円)。皮と餡の間にたぷたぷな汁が溜まっていて、熱さに耐え頬張れば余韻にビールが進むこと間違いなし。

 

昨今のこだわり餃子の専門店のような個性はありませんが、ほっとできる、そしてしっかり美味しい七面鳥の餃子。特製のラー油も味の決め手です。

 

お腹いっぱいになってしまいますが、やっぱりチャーハンはおつまみだと思います。七面鳥の焼飯(チャーハンという表記もあり・580円)は、珍しい小判型をしています。味は少し濃い目で、むしろビールや酎ハイなしに食べるほうがもったいないくらい。

 

添えられたレタスと千切りキャベツは、後半、焼飯と一緒に口に運ぶのも楽しいです。

 

冷蔵庫から缶チューハイを。用意されているグラスに注いで飲めば、家で飲む氷結も、立派な中華屋のチューハイに。

 

爽やかなお兄さんと、厨房から笑顔で挨拶される元気なご主人の接客も七面鳥の魅力。夕食のピークを外して20時くらいから小一時間。中華屋飲みは良いものです。

昭和から時間が止まったような空間で一献いかがですか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

七面鳥
03-3311-5027
東京都杉並区高円寺南4-4-15
11:30~15:00・17:30~21:00(土曜・不定休日曜)
予算1,800円