街の食堂、中華、そして寿司店と、老舗の個人店で一献傾けながらお酒を楽しむランチはどれも格別ですが、忘れてはいけないのは洋食店の存在。ガイドブックで大々的に紹介されるようなお店ではなく、地域に根づき長年の常連さんに支えられてきたお店は特に良いものです。
今日は小倉で半世紀近く続く老舗洋食店「ニュー東京」をご紹介します。
昭和レトロなカウンターで、名物のハンバーグやステーキをおつまみにして、キリンラガーを傾けませんか。
博多からJR鹿児島本線で約1時間、山陽新幹線ならば20分で着ける、福岡県第二の都市、小倉。明治以前から交通の要衝として人と文化が集まり、近代は重工業で栄えた街です。小倉はその歴史背景から、福岡市とは全く個性の異なる、独特なパワーを感じます。
駅前から伸びる魚町銀天街のその先に、気にしていなければ通り過ぎてしまいそうな間口の狭い横丁の入り口があります。
ここは鳥町食道街。1945年(昭和20年)に出来たこの横丁は、多くの老舗飲食店が軒を連ねています。
目指すお店「ニュー東京」もその一軒。隣の老舗食堂や中華料理店も名店と評判ですが、今日は洋食で一杯楽しみたいのです。店名の響きや店構えは、きっと酒場好きの心もくすぐるはずです。
店先に置かれた食品見本がいい味をだしています。子供の頃から食品見本をみるのが大好き。
いらっしゃいとご主人。家族経営のお店です。背もたれの低い回る椅子と飴色の空間で迎えてくれます。一階は調理場とカウンター6席。
ビールはキリン。樽生はなく中ビン(550円)のみ。トトトと素早くビアタンを満たしたならば、はい、乾杯。
メニューは見開きの内容で以上。シンプルですが、だからこそ悩ましい。アルコールはビールと月桂冠(400円)のみ。
あれもこれも食べたいので、ここは奮発して特製ランチ(1,600円)を注文。
洋食屋さんで飲むのは久しぶり。カウンター席でもきっちりセットされるシルバーがなんかちょっぴり照れくさいです。でもなんだかワクワク。
コーンポタージュを飲んで待ちます。準備を眺めるのも楽しいです。
ご主人は豚ロースと海老にパン粉をつけ、ステーキとそのソースを準備、さらにハンバーグも焼き始めます。時間差で調理が始まり、そしてすべてが同時に出来上がります。お皿に盛り付けて、出来上がり。
トンカツのソース、ハンバーグのデミグラスソース、エビフライにつくタルタルソース、長年続けてきたお店の味。味のことなるソースを途中で別のものにつけたりしても、また楽しいのです。ビールをもうひとつ頂けますか。
居酒屋のハンバーグが好き。でも、やっぱり洋食屋の本格的な味わいも別格です。ステーキ、とんかつ、ハンバーグにエビフライ、洋食屋の看板役者を全部集めた大作といった内容でした。
旅先のランチ、こんなチョイスもよいものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)
ニュー東京
093-521-4317
福岡県北九州市小倉北区魚町1-4-17
11:30~15:00・17:30~20:30(金定休)
予算2,000円