蓮田「せきね」 明治38年から続く鶏の店。知る人ぞ知る老舗の酒場。

蓮田「せきね」 明治38年から続く鶏の店。知る人ぞ知る老舗の酒場。

さいたま市に隣接するベッドタウン『蓮田』。江戸時代、荒川の完成によって旧荒川沿いを開拓した蓮田の田園地帯は、1885年(明治18年)、上野と宇都宮を結ぶ日本鉄道(現在のJR東北本線)がこの地に新駅として「蓮田駅」を開設したことで、街の開発が進みました。

駅を中心にコンパクトな商店街があり、それを囲むように整備された住宅街が広がっています。

蓮田といえば、お酒好きにとっては「神亀酒造」(1848年創業)の町です。また、東京で飲む酒場好きには「清龍酒造」(1865年創業)の蓮田としても有名です。

そんな蓮田で最も古い酒場をご紹介します。蓮田駅の開業から20年後、1905年に「とりや せきね」として創業し、昭和に入り焼き鳥の店となり、4代目が暖簾を守るお店です。

 

蓮田駅は、大宮から宇都宮線で10分。目指す「せきね」は線路沿いにあり、上り電車からは「うん、今日もやってる!」と蓮田に着く手前で確認ができます。

駅から線路沿いの小道を歩くこと3分。せきねに到着です。

 

渋い、かっこいい!

飲食店がさほど多くない蓮田駅周辺で、「せきね」は毎晩大賑わい。お店の外まで酒場の熱気が漂っています。

 

いらっしゃい!と迎えてくれる女将さん。家族経営の酒場ならではのあったかい接客が心地よいです。「どうもお邪魔します。」と席につき、ほっと一息。9席ほどのカウンターに並ぶ常連さんとお店の方との会話や、店先を走る列車の音がBGMです。4人テーブルがふたつと小上がり、奥には座敷というつくり。

いぶし銀に染まったメニューが、飲みたい気持ちを高めます。

 

まずはビールから。今日は飴色ビンを傾けたい気分なので、瓶ビール(キリン『レギュラー』ラガー・大ビン620円)でスタート。では乾杯!

 

お通しに焼きそばがでてきました。珍しい!

肉団子やきんぴらなどお通しは日替わりですが、焼きそば(単品450円)は常連さんに人気のメニューでもあります。

 

樽生ビールはアサヒスーパードライ(中600円)、日本酒は郡山のお酒「笹の川」(1合370円)、酎ハイ類は390円から。ホッピー(セット440円)もあります。

 

一世紀をこえて続く鶏の店。看板料理の焼鳥(130円~)だけでなく、若鶏網焼きやチキンカツ、冬季限定の親子鍋などの鶏料理が豊富です。モツ煮込みは、牛、豚、鶏の三種のもつが使われているそうです。

 

プレーンの酎ハイ(380円)が飲みたいときってありますよね。すっきりした味に、しっかりしたアルコール感。濃いめが好きならばおすすめです。

 

ナンコツや鳥モツなど様々な部位を使った、コリコリ食感のつくね。タレは長年漬け続けてきた濃厚な味のもの。老舗の焼鳥屋を”やっぱり旨い”と感じる瞬間です。

 

チキンカツ(520円)はみぞれを載せて。これでビールが進まないはずがありません。

 

はんぺん焼き(350円)。ほっとする味。七味をささっとふりかけて。

 

飲み物は梅サワー(390円)。梅酒風の味つけに梅干をひとつ落として出来上がり。こういう酒場で酎ハイを前にしていると、時間が経つのが早いのはなぜでしょう。気がつけばおかわりもしています。

 

もろきゅう(250円)をつまみながら、のんびり良い時間。

野球帽姿の常連さんも、若い家族連れのグループも、仕事終わりの皆さんも、老若男女みんなが楽しんでいるこの空間が好きです。

蓮田の貴重なとまり木です。お近くにお越しの際は立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

やきとり せきね
048-768-0161
埼玉県蓮田市東5-1-3
17:00~23:00(土祝は~22:00・日祝定休)
予算2,500円