シカゴ「Exchequer Restaurant & Pub」 壮絶な歴史を持つダイナーで、地ビール片手にディープディッシュピザ

シカゴ「Exchequer Restaurant & Pub」 壮絶な歴史を持つダイナーで、地ビール片手にディープディッシュピザ

アルコール好き、そして地理・歴史が好きな筆者は、どうしても訪ねてみたい場所がありました。それは、アメリカ禁酒法時代の面影を残すシカゴの「スピークイージー」と呼ばれる隠れバーたちです。

今回ご紹介するお店は、「Exchequer Restaurant & Pub(エクスチェッカー レストラン&パブ)」。ここはかつてアルカポネ率いるギャング集団「シカゴ アウトフィット」が仕切っていたスピークイージーやクラブがあった場所で、現在も同じ建物がパブとして営業しています。

1920年代に建てられたこの建物には、いまも地下にアルカポネが使っていたという巨大な倉庫があるのだそう。レストランのマネージャーの話によると、金庫の扉は厚さ6インチ近くもある鋼鉄製なのだとか。アールデコ調の装飾やシャンデリア、ギャンングが脱出用に使った秘密の地下通路もあると聞きましたが、残念ながら一般公開はされていません。

そんなアメリカ禁酒法時代の歴史を今に残す特別な場所で、名物のディープディッシュピザをつまみに、シカゴビールといきましょう。

 

イリノイ州・シカゴ。ミシガン湖畔に誕生した農作物取引で成長した都市です。約260万人が暮らす全米3位の街。

 

街のほぼ中央に建つウィリス・タワーは、アメリカで二番目に高い超高層ビルで、高さは527mもあります。103階に設けられた展望室からは、広大なシカゴの町並みやミシガン湖を一望できます。眼下に建つ小さく見える高層ビルも地上から見ると相当な高さで、ニューヨークと並ぶ摩天楼の街・シカゴの垂直方向への発展は凄まじいです。

 

コンクリートジャングルのように思えて、それでいて自然豊かな一面もみせるシカゴ。公園が広く整備されていて、街中に彫刻や現代アートがあふれています。都市と緑とアートのコントラストは、ただ街を歩くだけでも一日楽しめるほどです。

 

シカゴのアイコン的存在は、シカゴ美術館近く、ミレニアムパークにある二種類のアートでしょう。全面が鏡のようになっている豆のような形のアートは「Cloud Gate」。シカゴの人には「ザ・ビーン(The Bean)」と呼んでいました。

巨大な顔が映された謎のふたつのモノリスは、クラウン噴水(Crown Fountain)。シカゴ市民の顔が埋め込まれた巨大なディスプレイで映し出され、時折口から水を吹き出します。

 

さてさて、探索を楽しんだあとは、お待ちかねのビールタイム。「Exchequer Restaurant & Pub」は、ミレニアムパークから徒歩5分ほど。街の中心部にあります。また、営業時間も11時から23時まで通しで営業しているので、お腹の空き具合に合わせて利用できる便利なお店です。

 

禁酒法とギャングの時代が終わり、この建物はバー、ダイニングと姿を変え、1969年に現在のピザを看板料理にしたアメリカンダイナーとして営業を開始。以来、シカゴを訪れるミュージシャンも足繁く通う人気店となったそうです。

 

重々しい内装に、店の壮絶な背景が重なるような錯覚をうけます。

現在は、自由にお酒が飲めることを満喫するベテランの紳士淑女が、お昼からウイスキーやビールを傾けています。

 

まずはビール。シカゴはお隣ミルウォーキーと並び、全米を代表するビール名産地のひとつ。同時に、ニューヨークなどと並ぶ巨大消費地でもあります。パブ、レストラン、バー…どこへ行っても、まずはビール。

 

一杯目は、ウエイトレスさんのイチオシ、店名を関した「Exchequer Amber」。

キャラメルのような甘い香り。それと対比するかのような最初に感じる苦味。続けてロースト麦芽のコクが舌の上を心地よくくすぐるような味わいです。余韻の抜けが早く、ちびりちびりとずっと飲んでいたくなる一杯です。

 

取り扱うビールはドラフトだけで20種類(うちひとつは月替り)。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアのレストラン全般に言えることですが、とこのお店もドラフトビールのラインナップが日本とは桁違い。これだけあれば、日本ならばクラフトビール専門店を名乗るレベルです。

 

ワイン、ウイスキー、カクテル、そして1パイントビールはいずれも10ドル前後。フルサービスのダイナーで、しかも名所のひとつでもあるのに、価格は良心的です。

 

フードは、サラダから始まり、スープ、ハンバーガー、サンドイッチ、リブステーキ、バッファローウィングなど。看板メニュへのピザは、パーソナルと書かれた8インチからファミリーの16インチまで選べます。一人用のパーソナルでも直径8インチ(約20cm)というのは、これぞアメリカンサイズ(笑)

 

しばらくすると、ビール選びでオススメを教えてくれたりと親切にしてくれたお姉さんが鼻歌交じりで持ってきてくれました。思わず「Wow!」と言ってしまう、インパクトあるピザ($13~・トッピングによって値段が変わります)の登場です。

 

アメリカは、長年シカゴのディープディッシュピザ(生地が深く、まるでプールにチーズを溜めたようなピザ、ナイフとフォークで食べる)と、ニューヨーク風ピザ( New York-style pizza:薄い生地を大きく広げたもの、手で食べられる)で、「ピザ論争」が続いていて、決着のつかない戦いは今も続いている”らしい”です。

 

ディープディッシュピザの魅力は、なんといってもこの光景。流れ出すチーズを写真に収めるために、ウエイトレスのお姉さんが持ち上げてくれたのですが、「Niagara Falls!(ナイアガラの滝)」と笑っていました。

 

いくら食べても減らないチーズとイタリアンビーフは、まるで夢のよう。例えそれがカロリーモンスターだとわかっていても、理性を消して楽しみたいときがあるものです。

 

ビールは「Exchequerラガー」へ。軽い酸味がありつつ、ドライな飲み心地。コテコテのチーズを流してくれるその味でリセットしたならば、また再びピザをつまみたくなります。

 

近くの席で食べていた常連風のお姉さんは一人で完食されていたけれど、流石に厳しい…。

アメリカの飲食店は食べ残した料理を「ドギーバッグ(doggy bag)」と呼ぶ袋やお弁当箱に入れて持ち帰る習慣があり、量が多いお店は持ち帰ることもある程度想定済。ピザは半分食べただけでもう大満足。

帰って、ホテルで缶ビールを片手につまむ冷えたチーズも美味しかったなぁ。

 

アルカポネがつくったスピークイージーの名残を残すレストランで、シカゴ名物のディープディッシュピザとクラフトビールを楽しむひととき。大変に満足しました。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

Exchequer Restaurant & Pub
+1 312-939-5633
226S Wabash Ave, Chicago, IL 60604 アメリカ合衆国
11:00~23:30(基本無休)
予算$35