沖縄・八重山諸島にある石垣市は、日本最南端の市であり、同時に最西端でもあります。美しい海が広がるリゾート地で年間を通じて多くの観光客が訪れます。
海水浴やダイビングもよいのですが、夜の飲み屋さんも十分に魅力的で、南国の魚介類をはじめとした郷土料理で一献を楽しめます。
ただ、何泊もしているとどうしても食べたくなるのが本土の味。そんなときには、市役所近くにある日本蕎麦の「ひらのや」です。
石垣島は訪れる前に思っていたイメージよりも遥かに大きく、沖縄県内では本島、西表島についで3番目の面積があります。ただ、街の中心は南部にあり、全体的にはのどかな南国の自然が広がっています。
石垣島には日本最南端の国道が通っていて、中心街の美崎町には、1978年7月30日に実施された交通方向が現在の左側通行に改められた記念碑が立ちます。
さて、そんな美崎町を散策しているとみえてくる「日本そば・うどん ひらのや」。最南端生蕎麦処の文字もあります。
沖縄本島でも日本そば店は数えるほどしかなく、石垣ではここ一軒だけの貴重なお店です。逆に八重山そば(沖縄そば)を食べさせてくれるお店は、かなりの軒数があります。
店内の雰囲気は、まるで暖簾をくぐるとワープしたかのように、思いっきり街の日本そば店です。
お昼から夜まで通しで営業しているので、飛行機や離島連絡船の兼ね合いでお昼を逃した人や、お昼からずっと飲み続けていたい人に嬉しい一軒です。
お客さんは地元の方がほとんど。蕎麦やカツ丼などを短時間にたいらげていく人に混ざって、そば焼酎でお昼から宴会を楽しむグループもいらっしゃいます。こんな雰囲気も普通の蕎麦屋さんそのもの。
もり・ざるは600円とリーズナブル。暑い地域なので冷たいお蕎麦がメインかと思いきや、案外鍋焼きうどんなどしっかり熱い料理も揃っています。ゴーヤを蕎麦に練り込んだゴーヤそばは興味深いですね。
「ステーキざる」というインパクトある料理もあります。〆にステーキを食べる人がいる沖縄県ならでは。
お酒はオリオン瓶ビール(600円)、そば焼酎300ml(900円)、日本酒(500円)、島酒600ml(1,500円)。
今日も暑かったので、まずはオリオンビール。三つ星かざして、あり乾杯!
蕎麦前は、ゴーヤチャンプル、ソーキ、おでん、ステーキなど沖縄色が強いです。ここはあっさり冷奴でちびりといきましょうか。
島豆腐(300円)の冷奴は、しっかり固くもっちりとした食感です。たっぷり盛られた薬味を載せて頬張れば、南国の太陽で疲れた体が癒やされます。
さて、お待ちかねの日本そばです。そば粉は信州産、しっかりコシがあり、つるっとした食感の正統派。
つゆは東京の老舗ほど濃くはなく、浸して食べてちょうどいいくらい。出汁の味もよく、本土の味を求めていた心を満たしてくれる味わいです。
八重山諸島にはたくさんの日本最南端・最西端がありますが、お蕎麦の南西端「ひらのや」は、間違いなく王道の街の蕎麦屋です。何泊か滞在される間に、ぜひ立ち寄られてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
日本そば・うどん ひらのや
0980-82-8013
沖縄県石垣市美崎町13-5
11:00~22:00(基本無休)
予算1,500円