【仮設市場開業期間】
2019年7月1日(月)~2022年3月31日(木)
酒は泡盛、ビールはオリオン。個性豊かな郷土料理に満ちた沖縄は、世界中のお酒好きを惹きつけます。国際通りで夜中まで飲んだ翌朝は、市場酒といきましょう。
那覇市の中心街、国際通り周辺にあって、昔ながらの市場の雰囲気を色濃く残す「牧志公設市場」。地元の飲食店や一般家庭向けの食材が並ぶ地域密着の場所です。それだけに地元の肴で一献傾けたい人には天国のような場所。市場で売られている食材は、そのまま食堂で調理してもらえるので旅行者も安心です。もちろん朝からお酒が楽しめます。
那覇の中心街は、旭橋の那覇バスセンターから市庁舎、県庁、そして観光客で賑わう国際通りから牧志駅周辺にかけての界隈。コンパクトなので、お散歩がてらぶらりと歩くのにちょうどいいです。
牧志公設市場へのびる商店街。戦後、ガーブ川沿いにできた闇市が起源です。
アーケードが縦横に大きく広がります。国際通り付近はお土産屋さんが多く、奥へ進むと地元向けの食材店や小さな食堂が軒を並べています。最近は立ち飲み屋も誕生し、ノンベエも注目したい場所です。
中へ入ると、そこはどことなく海外のマーケットのような雰囲気。1972年築と半世紀近い歴史を持つ建物です。
肉、魚、野菜や乾物店がびっしり立ち並ぶ一階は、地元の人々が日常の買い物にやってきます。二階は複数の食堂が並ぶ市場の食堂街で、こちらは噂を聞きつけたインバウンドの方にも人気です。
牧志公設市場の魅力をひとことで言えば「食べられる沖縄勢揃い」。本州の市場では見かけない沖縄ならではの食材が所狭しと並んでいます。
南の海の魚はカラフルです。赤いミミジャー(ヒメフダイ)や青いイラブチャー(ブダイ)、グルクンやオジサンなど、見ているだけでも楽しいです。
沖縄でアバサーと呼ばれるハリセンボンも、ハリを抜かれて出番を待ちます。アバサー汁は泡盛の友。
貝だってインパクトがあります。ヤコウ貝は1個1キロほどに成長する巨大巻き貝で、もちろん食べられます。
そんな沖縄の海鮮の王様ともいえる存在が「ニシキエビ」です。巨大なイセエビで、色はやや青みがかっています。沖縄に来た目的のひとつです。
その場で魚を選べば、二階の食堂で調理してくれるのが牧志公設市場の魅力。広い空間にたくさんお店が並ぶので、どこで購入しようか迷いますが、皆さん親身になって予算やボリュームを考えてくれますので、気になったお店で声をかけてみましょう。
長く続く家族経営の鮮魚店で魚を選び、お姉さんといっしょに二階へ。吹き抜けになっている空間は、南国レトロ感いっぱい。
食べるお店もどこにするか悩みます。鮮魚店のお姉さんと相談しながら、市場の人達がご飯を食べている落ち着いたお店へ。
簡単なパーテーションで区切られただけの食堂たちは牧歌的。ここでのんびり飲みながらお料理を待ちましょう。まずは、お店のビールサーバーから注がれたおじー自慢のオリオンビールで、あり乾杯!
生ビールは400円、泡盛は350円からと良心的です。
今回は魚の持ち込みをしましたが、もちろんそれぞれのお店で食堂メニューが用意されています。酒場の価格が比較的安い沖縄は、おつまみ2品とビールがついて千円と、ノンベエに嬉しいです。
持ち込み調理料は500円ほど。まずはイラブチャーをお刺身でいただきます。トロピカル感たっぷりの真っ青な魚で、その味を知らないとお刺身で食べるには勇気が必要かもしれません。ただ、これがなかなか美味でして、シークァーサーをしぼって味を引き締めたりと食べ方次第で抜群の肴になります。
味はブダイというだけあって鯛に似ています。
大きい魚なので半分は刺身に、アラはイラブチャー汁にしてもらいました。淡白な味のイラブチャーは、味噌で味を整えると不思議なほどにコクがでてきます。泡盛残波のロックをもらって、午前中からちびりと良い時間です。
まだまだイラブチャーがあるので、沖縄家庭料理の定番、マース煮で残りをいただきましょう。食堂のお兄さんが親切で、いろんな味で楽しませてくださいました。
マース煮は白身魚を泡盛で煮て塩で味を整えたもの。沖縄流の酒蒸しといったところです。
ほくほくの身は箸の入りがよく、それでいて食感はしっかり。これもまた、言うまでもなく泡盛のための料理です。
もう一品は、ニシキエビの塩焼きです。青緑の甲羅も火を入れればキレイな朱色に早変わり。伊勢海老のような見た目同様、味も近いです。
リーズナブルに巨大なエビが楽しめるので、エビ好きの筆者にはたまりません。ぷりっぷりの歯ごたえは大きなエビならでは。
酎ハイだって沖縄流。ベースは甲類ではなくもちろん泡盛です。こちらはさんぴん茶割りで、ポピュラーな飲み方の一つです。
開放感ある空間で、南国気分に浸れる個性的な肴で一献。全国の市場のなかでもひときわ個性的で、最高に楽しい牧志公設市場。那覇を訪れた際にはぜひ時間をつくって覗いてみてください。
きっと非日常の体験が楽しめるはず。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
第一牧志公設市場
公式HP
098-867-6560
沖縄県那覇市松尾2丁目10−1
9:00~21:00(毎月第4日曜日定休・旧正月旧盆休ほか休みあり)
予算2,000円