ここは横浜寿町。山谷、釜ヶ崎、寿町で日本三大寄せ場のひとつです。山谷の角打ち、釜ヶ崎の酒場もいいお店があり、寄せ場はいまやお酒好きのひとつのユートピアかもしれません。ユートピアという響きも含めて、昭和な感じがいいでしょ。
寿町には角打ちがいくつもありますが、この街で飲みなれていない方には「丸竹商店」を導入編としておすすめ。昔ほどの勢いはなくなったといえ、いまも独特な町並み、雰囲気が街を包んでいて、その中にある「丸竹商店」は別世界のよう。
JR石川町駅から北へ。東へ降りれば横浜中華街に山下公園と横浜らしい観光地。南側もJR根岸線と垂直交差する中村川の南側は横浜元町商店街。日本有数の観光地と隣接するようにひっそりと存在するのが寿町です。
横浜の街は通りや川を境にして、1ブロックとなりは全く異なる町並みが広がる海外のような町並み。寿町も戦後、米軍の接収があった場所ですから、ある意味、”リアル”なのかも。
寄せ場、つまり簡易宿泊所が並ぶドヤの街。そんな寿町も今や「ヨコハマ・ホステル・ヴィレッジ」と呼ばれるバックパッカーの街。山谷と同じように、この街にも外国人を含む多くの旅行者が集まるようになったと横浜で何十年とハンドルを握るタクシーの運転手。
それでも路地裏には懐かしい町並みが残り、ドヤとは別にノンベエの触手をくすぐる街へとも変化しつつあります。
丸竹商店はそんな寿町の酒販店。自販機に囲まれた正面。もちろん現在も小売を続ける街のお酒屋さん。ここは裏側に別の入口があり、明るいうちから角を打っていくことが可能です。
店に一歩踏み入れれば、ここが寿町ということを忘れさせる明るくぴしっとした角打ちスペースが広がります。笑顔で迎えてくれる女将さんと、清潔感のある店内にホッとします。
丸テーブルとカウンターが並ぶ店内。お酒は酒販店なので一通り揃いますが、料理は缶詰・乾きものだけでなく、たこ焼きやピザ、しゅうまいといった簡単な加熱料理を提供してくれるのが嬉しいお店。
日本酒飲み比べセット700円など、お酒へのこだわりが感じる内容と銘柄の数々。
ビールは大びん400円、サワー類は300円、石川町駅から少しあるくもののリーズナブルな価格設定で足を運ぶか価値を感じるのでは。界隈には角打ちが多いので、梯子酒で飲み歩くのも楽しいです。
お店の方がしっかりとコントロールされているので安心して飲める場所。女性のお一人様も歓迎とのことで、中華街や横浜元町観光の合間に、ちょっとだけディープ横浜を探検し、ここで給水されてみてはいかがでしょうか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
丸竹商店
045-681-1186
神奈川県横浜市中区寿町4-15-1
9:30~19:30(日祝定休・土曜は18:30から)
予算1,000円