創業19年目。まだ老舗とはいえませんが、店の雰囲気は風格たっぷり。コの字カウンターに集う人々は毎日通う酒場好きの常連さんです。
目黒駅前で明るいうちから飲みたいならば、「蔵」で間違いない。土日祝日は14時にオープン、しかも閉店は朝4時(ラストオーダーは午前3時)と大変心強い飲み屋です。
JR目黒駅前と目と鼻の先にあるサンフェリスタ目黒は1994年に建てられた再開発ビル。再開発系といえば古くは新橋の駅前ビルにもみられるように、不思議と小箱の雑貨屋や飲食店が横丁のごとく入居しています。ここもそのひとつ。広域チェーン店のネオンが手招きする脇をするすると地階に潜り、飲み屋が連なる通路の先に「蔵」はあります。
店は中心にコの字カウンター。それを取り囲むようにテーブル席が配置されています。ビルもさほど古いわけではないのに、ここは戦後すぐに出来たような味わい深さがあります。そして、その雰囲気を一層活き活きとさせる黒帯ノンベエの常連さんの姿が素敵。
ビールはずっとサッポロ黒ラベル。なんと大びんはいまどき珍しい430円。黒ラベルのほか、赤星(サッポロラガー)も置いています。樽生は黒ラベル。435ジョッキで390円と、立ち飲み屋よりも安いような値段で楽しめます。
常連さんが通う日常酒場にはナショナルビールがよく似合う。乾杯!
メニューはA4ペラ一枚とホワイトボードの本日のおすすめ。とってもわかりやすい。そしてお酒だけでなく料理もそのほとんどが300円から400円とふところ想い。別業態で中華料理店を運営されているので、蔵のメニューには突如として「北海道みそラーメン」などが加わります。餃子も自家製なのでおすすめ。
お通しはなし。お手軽メニューからお通し代わりに小鉢を頼むのが基本の流れ。話がそれますが、会社勤めの頃から通っていますが、蔵にたどり着くときはフラフラでお手軽メニューだけで帰ってしまったこともありました。その節はゴメンナサイ。
飲んだあとにマカロニグラタンが超美味しい。だけど、痩せたいなぁ(笑)
330円の浅漬けも自家製。いい具合にくたっとしたナスがビール・酎ハイをくいくいと進ませます。
バンバンジー風のサラダ(本日のおすすめから)など、ちょっぴり中華寄り。働いているお姉さんたちも海外の方ですが、学生アルバイトさんはミャンマー出身。多国籍だけれど、なんとなくいい塩梅に「蔵」はまとまっている感じがあります。お客さんも店員さんも明るく、何度か通うと「ただいま」って言いたくなるかも。
グランドメニューには入っていませんが、だいたい本日のメニューにかかれている自家製コロッケは1個150円。お店でつくり、注文を受けてから揚げてくれます。
衣はさくっと、芋はちょっぴり柔らかくとろっとしています。見た目は熱くないので安心して口に入れると、ほくほくで大変なことに。ソースをたっぷりかけて、ビールと合わせればいい気分。
わるならハイサワー。ここの割り材は目黒の会社・博水社のレモンサワー、大田区の割り材メーカー・こだまのバイスと山手系の酎ハイが揃っています。320円のレモンサワーでソトが別ででてくるのはありがたく、激安なナカ110円をもらって二杯も飲めばきっといい気分。
目黒のコの字カウンターで酒場の魅力に浸ってみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
居酒屋 蔵
03-3491-1098
東京都品川区上大崎2-27-1 サンフェリスタ目黒 1F
15:00~28:00(土日祝は14:00~・無休)
予算1,600円