後楽園『遠州屋』悩むことなかれ、そこに素敵な居酒屋があるじゃない

後楽園『遠州屋』悩むことなかれ、そこに素敵な居酒屋があるじゃない

2016年9月25日
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後楽園の周辺はなかなか個人経営の居酒屋がなくて、いつも神田や新宿にでるんだ。なんて話を耳にしまして、いやいや、そんなことない!悩む必要なんてないんです、というお話をしていました。

文京区小石川、歴史ある街ですが、確かに飲む街としてのイメージは周辺の区と比較すれば薄いかもしれません。ですが、だからこそ土地に根付いた「いつもの飲み屋」がいい感じで残り、ほどよい賑わいがいまに続いているように思います。

後楽園で悩んだら、まずは「遠州屋」で間違いありません。昭和55年より創業の焼鳥と煮込みをメインとした居酒屋で、居酒屋を始める以前は歴史ある米屋だったと聞いています。三代目が米屋から転身し、現在の焼き場は四代目が守っています。

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店の入口付近に焼き場があり、奥にテーブル席が広がり、さらにその向こう側に厨房を置くという典型的な昭和焼鳥系酒場のつくり。焼き場と厨房がはなれるのでオペレーションは手間がかかりそうですが、焼き場の香りが道に広がり、ついつい吸い寄せられてしまうので、やはりこの配置はよく考えられています。

鮮度の良いモツを注文を受けてからやきあげる「もつ焼き」や築地仕入れの海鮮がオールシーズンの定番ですが、寒くなったらここはちゃんこ鍋やおでんが人気です。

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谷中しょうがをつまみに、老舗のテーブルと同系色がほっとするキリンラガーの組み合わせ。生ビールもありますが、やはりビアタンで少しずつ飲み進めるゆっくりとした時間がある瓶ビールの魅力も大きい。

とととっと注いで、では乾杯。

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遠州屋のもつ煮込みは、煮込み好きならばぜひ食べておくべき一品です。シロのぷりぷりの脂がそのまま入っているのですが、特有の匂いもなく塩気と旨味の組み合わせが舌を心地よく刺激します。

もつの味をしみこませた豆腐とあわせて、これで瓶ビールが1本、いや、もう一本いけるのではないでしょうか。長くやっているからこその仕入れルートだと思われ、いいモツでないと、こういう脂たっぷりのものは美味しくなりませんが、これぞ遠州屋の看板料理といったところ。豆腐なし(500円)もありますが、ぜひこの組み合わせをお試しあれ。

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やきとりは1本120円から、料理は500円前後という価格設定。昨今の控えめ価格の酒場と比較すると、やはり昔ながらの立ち位置のまま、ひとまわり上の値段という印象を受けるかもしれません。ですが、だからこその客層も家族経営の居酒屋でくつろぎたいという人が中心で、それが騒がしくなくてのんびりできるという魅力になっています。

そっとくぐった藍色の暖簾の向こうで、こういう癒やしの世界がある。居酒屋に行きたくなる原点がここには残っているように思えます。派手ではない、しっぽり飲める酒場をお探しの方はぜひ覗いてみてください。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

遠州屋
03-3812-5678
東京都文京区小石川1-9-6
16:00~23:00(日祝定休・土曜は15:30から)
予算2,300円