北千住「天七」 本場仕込みの味でもうすぐ半世紀、串かつの名店

北千住「天七」 本場仕込みの味でもうすぐ半世紀、串かつの名店

2016年9月2日

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北千住の駅周辺は、一種独特な飲み屋街が広がっています。そこはまるで小さな東京。オシャレなビストロや、下町らしいもつ焼きや煮込みの酒場、庶民派価格の海鮮立ち飲みまでなんでもござれ。路地裏には不思議なバーやスナックが立ち並び、新宿っぽさも感じられます。

不思議と早い時間からやっているお店は少ないのですが、17時を過ぎてから一斉に灯る赤ちょうちんで街は一気に夜の色へと変わります。

そんな北千住でもうすぐ創業50年を向かえる名物串かつ立ち飲みがあります。「天七」は、初代が大阪で修行し、まだ串かつが浸透していなかったころの東京に、本場のスタイル、本場の味をもってきた、東京での串かつ専門店の草分けとも言える存在です。本場、関西でも串かつ酒場にも負けない、ちゃんと関西的で、ちゃんと美味しい串かつを楽しめることから、筆者もよく立ち寄っています。

店先のスーパードライの暖簾がかっこいい。この店先だけを切り取れば、とても足立区とは思えません。

 

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店は多きなコの字型。暖簾をくぐり、ガラス戸をガラガラと空けて入れば、威勢のいいお兄ちゃんが「いらっしゃい、ここへどうぞ」と声をかけてくれます。元気のいい掛け声が嬉しい。

混んでいても、ちょっとした隙間をつくってくれて大抵は入れてくれます。常連さんも多く、混んでいるとささっと切り上げて場所を作ってくれるような粋な店との関係もみられます。

揚げ場と巨大なアサヒのサーバーと大関の酒燗器を囲むようなつくりで、小学校の教室ほどの大きさです。

 

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ビールは生(中生530円)も瓶(大びん530円)もスーパードライ。酸味のある辛めの特製ソースの余韻にドライがよく合います。それでは乾杯!

 

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串かつは2本単位での注文で、160円と190円の2つの価格に分類されています。品書きのかかれた札にあるものだけでなく、手書きで追加されているちくわやつくね、たこなどのネタもあり、バリエーションは25種類ほど。

まずはハムカツとうずらを注文。オーダーが飛んだら揚げ場担当がさっと投入、揚がったらすぐにもってきてくれ出来立てが味わえます。

 

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本場同様2度浸け禁止のソースにたっぷり根本まで潜らせて、いただきます。きめ細かく薄い衣はかりっと揚がっていて香ばしい。ソースとあいまって、口の中は美味しさでいっぱいになります。そこにビールをぐいっと。

 

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いっぺんに頼みすぎずに、数回にわけて頼むのがポイント。揚げたてを放置しないで、すぐにソースに潜らせて熱いうちに衣にソースをあてることで、サクサクとした食感を損なわずにいただけます。

 

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玉ねぎは新玉の季節に限らず、いつもホクホクでとっても甘い。ソースの酸味や香辛料とマッチしています。

 

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ソーセージや豚かつといった定番のほか、若どりを目当てにやってくる常連さんも多い。チューリップと呼ばれている骨付きの鶏で、好きな人はそればかり食べているほど。

 

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ビールはアサヒ、日本酒は大関(280円)、チューハイは樽ハイ倶楽部と、ドリンクメニューもとことん大阪的です。500ジョッキでドーンとでてくるレモンハイ(350円)は、まさに関西の串かつ屋のそれと同じです。

 

駅から徒歩1分場所、飲み屋街の入り口で賑わう名物酒場「天七」は、一軒目のまえにふらりと立ち寄るもよし、しめの一杯として最後にやってくるもよし、用途の幅が広い酒場です。大衆立ち飲みがお好きな方でまだ未訪問でしたら、北千住界隈飲み歩きの一軒として立ち寄られてみてはいかがでしょうか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

天七 本店
03-3882-2879
東京都足立区千住2-62
16:00~22:00(日祝定休)
予算1,600円