神保町さぼうる。昭和30年の創業。
山小屋のような建物を鬱蒼と植物が覆っている不思議な建物は、本の街になくてはならない空間。書店で買った本を家まで我慢できずに、さぼうるで読んだことがある。そんな経験を語る人がたくさんいます。
さて、最近はランチタイムには行列ができるほどの人気店になっていますが、ここの魅力は夜にあると私は考えます。
多くの人の利用はコーヒーにジュースが目的となっているようですが、実はここ、バーとして利用すると入ったら抜け出せなくなるくらい居心地がいいんです。
もともと薄暗い空間なのでお酒が合うのですが、夜は電球色の照明がよりムードを増して、実にいい感じになります。
夜にいくと、「お酒をお飲みになりますか?」と聞かれます。
そんなに混んでいなくて、お昼時よりも緩い感じがお酒飲みにはちょうどいいです。
ビールはキリン、ほかにはブランデー、ウィスキー、カクテルも定番が揃っています。
今日はスーパーニッカをソーダでもらおうかな。
乾杯!
複雑な段差のある店内は、半地下と中二階、一階の3フロアからなり、どれも昭和中頃らしいコンパクトな作り。私が好きな中二階は、バーカウンターが見下ろせる席が一番。ここから酒瓶を眺め、お酒を作る様子を楽しみながら飲むのが楽しいです。
お通しは定番のピーセンがでてきますが、やはりさぼうるといったらナポリタンでしょう。
食堂にある太麺タイプではなく、文化の中心神保町らしく細麺でさり気なくアルデンテ。なのに、懐かしさがいっぱいなのはその味付けにあるようで。バター、ケチャップがたっぷり、マッシュルームもさぼうるナポリタンのアクセント。
フォークなどつかわずに、お箸でいただきます。
スーパーニッカ、サントリーオールド、ジョニーウォーカー。昭和の贅沢ウイスキーは、さぼうるで飲むと今も贅沢気分。
ゴードンでジントニックを。
自分でつくるタイプは最近あまり見かけませんね。トニックウォーターは半分くらいしか入れられない。だから、もう一杯、ジンだけおかわりすることになる。
だから、最後一杯だけね、なんて言われたときには、ジントニックを注文して二杯になることを考え、もう少し一緒にいる時間を伸ばそう。そんなことに使ったことも。学生の悪知恵ね。
穏やかな時間が流れています。
長年人の手に触れ続けてつやつやになったテーブル。流れる音楽とかすかな人の会話。暖色照明が木にあたるオレンジ色の空間。コーヒーやタバコの余韻が混ざった古き好き喫茶店に住み着く香り。そしていつものお酒。
はぁ、今日も一日よい日だったな。
お店を出るときにそう感じられるのが「さぼうる」です。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見なゆ)
さぼうる
03-3291-8404
東京都千代田区神田神保町1-11
9:00~23:00(日祝定休)
予算2,000円