浅草の喧騒から少し離れた観音裏。そこに佇む『喜美松』は、半世紀以上愛され続けるモツ料理酒場の老舗です。特徴的な樽型の入り口をくぐると、温かな家族経営の空間が広がります。名物はゆでもつ刺しや串焼き。今回は、知る人ぞ知る下町の奥座敷で、静かに杯を傾ける大人たちが集う名店をご紹介します。
目次
観音裏で半世紀、ふぐ屋から転換したもつ焼き店

浅草駅から北へ10分ほど歩いた浅草寺の裏手エリアは、通称「観音裏」や「奥浅草」と呼ばれています。雷門周辺の賑わいとは打って変わり、落ち着いた空気が漂う大人の街並み。
『喜美松』の創業は1959年。当初はふぐ料理店として暖簾を掲げましたが、しばらくしてもつ焼きを中心とした現在の業態へ転換したそうです。

巨大な樽を輪切りにしたようなアーチ状の入り口が目を引く造り。

店内に入ると、年季の入った木製の看板や短冊メニューが壁を彩り、歴史を重ねた酒場ならではの重厚感に包まれます。

店主さんらご家族が中心となってお店を切り盛り。もつ焼きの要である焼き台はお姉さんが担当されていました。皆さんの料理のレベルはとても高く、昔からの地元の常連さんが大勢やってきます。

以前は、モツ刺しが評判で予約必須でしたが、規制などにあわせメニューを変更。現在はモツマニア相手というよりは、地域密着の美味しい肉料理が楽しめる落ち着いた居酒屋といった雰囲気です。
鮮度と技が光るもつ料理の数々
丁寧な仕事が際立つ絶妙な火入れ

まずはキリンラガービールの大瓶(750円)を注文しました。しっかり冷えたグラスに注ぎ、喉を潤します。

料理は看板メニューのゆでもつ刺しから。一人で訪れた際にも頼むのに丁度良いハーフサイズ(各450円)が用意されているのが嬉しいポイント。今回は「しろ刺し」と「タン刺し」を注文。すると、大将の心遣いで「はつ刺し」も追加していただき、立派な三点盛り(900円)で提供されました。

徹底した温度管理のもとで丁寧に加熱処理されており、見た目にも美しい仕上がりです。

“ゆで”とはいえ、刺しを名乗るだけあって、みずみずしい食感と素材の旨味が口いっぱいに広がります。
コク深い味わいと爽やかな一杯

ビールを飲み終え、次のお酒は「すっぱ酎あんず(600円)」を選びました。

程よい酸味がもつの脂をすっきりと流してくれ、次の一串へ自然と手が伸びます。

もつ料理の定番、煮込み(500円)も頼むべき一品。ベースはコクのある味噌味。

しろだけでなく、様々な部位が煮込まれており、ネギの風味とともに深い味わいを堪能できます。

炭火が引き出す部位ごとの個性

続いての肴は、串焼きです。もつ焼きは備長炭中心の炭火で丁寧に仕上げているため、外は香ばしく中はふっくらとした焼き上がり。

名物の「おやじだんご」はタレ(180円)でもらいました。「おやじだんご」とは、おやじ好み?ということで、豚ミンチに、にんにく、ピーマン、唐辛子が混ぜ込まれたもの。フワフワとした食感に甘辛いタレがよく合います。「かしら」は味噌(160円)、「こぶくろ」は塩(160円)を選択。

それぞれ鮮度の良さがわかるジューシーさです。
世代を超えて受け継がれる下町の粋

モツの仕入ルートや鮮度の良さにかなりこだわりが感じられるお店です。下処理も大変だと思いますが、それらの丁寧な仕事が実際に食べてわかるほど違うのが『喜美松』。確かな味の土台を守りながら、ハーフサイズの提供やオリジナルメニューを増やしているのも、長年支持される理由だと感じます。
ひとりでも大人数でも受け入れてくれる、浅草寺裏の頼れる酒場。浅草の夜を静かに深く楽しむなら、観音裏まで足を延ばすのも良い選択ではないでしょうか。
店舗詳細







| 店名 | 㐂美松(きみまつ) |
| 住所 | 東京都台東区浅草4丁目38−2 |
| 営業時間 | 17時30分~23時00分 土日定休 |
| 創業 | 1954年 |
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