タコとタイのまち、明石。観光客で賑わう「魚の棚商店街」近くの路地に、地元・明石の呑兵衛や漁師さんたちが吸い込まれていく一軒があります。『立呑み処 呑べえ』。昼網で揚がったばかりの「前もん(地魚)」を肴に、お昼から堂々と飲める。こういう場所があるから、明石通いはやめられません。
港町の日常、漁師さんが魚を持ち込むライブ感

観光客向けのきらびやかな海鮮丼の店とは違って、ここは地元に根付いた硬派な佇まい。

一見すると少し入りづらさを感じるかもしれませんが、勇気を出して暖簾をくぐれば、そこには明石の日常が広がっています。

店内のホワイトボードには、その日の昼網で揚がったばかりの魚介類がずらり。
漁師さんが直接魚を持ち込んでくる場面に遭遇し、びっくり!市場や仲買を通すよりもさらに早い、文字通り「獲れたて」がここにあります。

カウンターに立つ常連さんの会話もBGM。今日の魚の良し悪しや、明石の海の状況が聞こえてくる。飾り気のない空間ですが、魚好きにとってはどんな高級割烹よりも贅沢な時間だと思います。
明石海峡の荒波が育てた「筋肉質」なタコ

まずは大瓶のキリンラガーで乾杯。喉を潤したら、迷わず「タコのお造り」(500円ほど)をお願いします。

明石に来たならタコは外せないですよね。こちらのタコは、驚くほど味が濃いのが特徴。明石海峡の激しい潮流に流されないよう踏ん張って育つため、足が太く短く、筋肉質になるといいます。
口に運べば、単なる弾力とは違う、ぶりっと押し返してくるような食感。噛めば噛むほどにタコ本来の旨味と甘みが口いっぱいに広がり、醤油がいらないほど。これぞ本場の味。

濃厚なタコの旨味には、地元の酒を合わせたいところ。明石の酒蔵・茨木酒造の「来楽(らいらく)純米生原酒」(460円ほど)をもらいました。米のふくよかな旨味がありながら、後味はすっきり。魚の脂をきれいに流してくれます。

続いてはブリの煮付けを。脂がのった身はとろとろで、甘辛い煮汁が中まで染みています。骨の周りの一番美味しいところをせせりながら、冷やの日本酒をちびり。お昼から通し営業で、こんなに質の高い魚と地酒を楽しめるなんて、明石は酒飲みの天国です。
カレーやお好み焼き、関西らしい煮麺(にゅうめん)などの食堂メニューも揃いますが、やはり特筆すべきは店の規模に対して圧倒的に豊富な魚の品揃えでしょう。
明石の「前もん」を日常価格で楽しむ名店
これだけ食べて飲んで、お会計は2,000円ほど。もしも京阪神の繁華街にあれば行列が絶えないであろうクオリティですが、ここではこれが日常です。明石駅からすぐの好立地。旅行中の途中下車や、魚の棚での買い物ついでに立ち寄ってみてください。
店舗詳細

| 店名 | 立ち呑み処呑べえ |
| 住所 | 兵庫県明石市本町2丁目1−10 |
| 営業時間 | 12時00分~21時00分 水土定休 |
| 予算 | 2,000円 |
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