渋谷『渋谷更科』センター街で80年！知る人ぞ知る老舗町蕎麦の名店で昼酒と〆カレー南蛮

100年に一度の再開発が進む渋谷。そのまん真ん中、スクランブル交差点を渡ったセンター街すぐの場所に、80年も続いてきた家族経営の蕎麦屋があることをご存知でしょうか。店名は『渋谷更科』。喧騒が嘘のような静寂に包まれた地下の店内で、ヱビスビールと名物のそばがきを嗜み、〆にはカレーそば。そんな大人の昼酒時間を過ごしてみませんか。

渋谷センター街の地下に広がる昭和の聖域

センター街（バスケットボールストリート）に入ってすぐ左手、ビルの地下へと続く階段を降りると、そこには地上とは別世界の空気が流れています。

創業は終戦の年、1945年（昭和20年）。渋谷川がまだ暗渠ではなく、恋文横丁が賑わっていた頃から、この店は渋谷の変化を見守り続けてきました。

店内はテーブル席が並ぶ、昔ながらの「町のお蕎麦屋さん」の風情。壁には短冊の品書きがずらりと並びます。 高級店のような堅苦しさはなく、かといって立ち食い蕎麦のような慌ただしさもありません。昭和の駅中食堂にも似た、どこか懐かしく安心感を覚える空間です。

「更科」といえば、麻布永坂に起源を持つ信州蕎麦の名門。その名は多くの弟子たちによって暖簾分けされ、広まりました。ここ『渋谷更科』もその系譜に連なりますが、気取った雰囲気はありません。あくまで、お腹を空かせた人々のための食堂として営業を続けています。

利用する人は通い慣れた方が中心の様子。デパートの紙袋をもって、買い物帰りの休憩がてらお蕎麦とビールを楽しまれていました。

ヱビスビールと珍しい「そばがき」で昼酒を

まずはヱビスと板わさで乾杯

席につき、まずはビールを注文。こちらの生ビールはサッポロのヱビスです。ヱビスビール発祥の地も、ここ渋谷区ですもんね。渋谷の歴史ある店で飲むヱビスはホッとします。

突き出しをつまみながら、品書きを眺める至福の時間。

蕎麦屋酒の定番「板わさ」も頼みましょう。厚切りの蒲鉾にわさびを少しつけていただけば、ビールの苦味と相まって、箸が進みます。

大衆価格で楽しむ本格「そばがき」

ここに来たら味わってほしいのが「そばがき」です。手間がかかるため、老舗の高級店以外ではあまり見かけなくなりましたが、ここでは手頃な価格で提供されています。

運ばれてきたそばがきには、甘辛く煮た椎茸がちょこんと乗っています。

箸を入れると、もちっとした弾力。口に含めば、蕎麦の香りがふわりと鼻に抜けていきます。椎茸の旨味と一緒に味わうと、これがまたお酒に合うんです。

センター街の真ん中で、これほど本格的なそばがきを気軽に楽しめるのは、知る人ぞ知る贅沢。まだまだ渋谷はおもしろい。

締めはカレー南ばんとたぬきそば

締めには「カレー南ばんそば」を。

丼から溢れんばかりのカレーつゆは、強めのとろみが特徴。出汁の効いた和風カレーが蕎麦によく絡み、熱々のまま胃袋に収まります。

豚肉の脂と玉ねぎの甘みが溶け込んだつゆは、飲み干したくなるほどのコク。

シンプルな「たぬきそば（温）」も捨てがたい。揚げ玉の油が出汁に染み出し、ほっとする味わいです。

80年の歴史を紡ぐ、渋谷の良心

『渋谷更科』は、年始以外は基本的に無休で、中休みなしの通し営業。ランチタイムを逃した遅い昼食や、明るいうちから一杯飲みたいときなど、使い勝手の良さは抜群です。

再開発で街がどれだけ変わろうとも、この階段を降りれば、変わらない味と空間が待っています。それは、渋谷にとってひとつの奇跡。買い物のついでや仕事帰りに、ふらりと階段を降りてみてください。都会の喧騒を忘れさせてくれる、温かい一杯が待っています。

店舗詳細