西荻窪「サレカマネ」 それは西荻以上に、杉並らしい。

西荻窪「サレカマネ」 それは西荻以上に、杉並らしい。

2017年1月21日

西荻窪は昨今、飲み屋の新店が相次いでオープンしています。もともと、飲みの街としての歴史は長く、南口の闇市の名残が色濃くのこる柳小路をはじめ、戦後の杉並の復興と発展とともに歩んできた半世紀酒場がいまも昭和のムード全開で暖簾を掲げています。

お昼から飲めるお店が多く、街そのものも熟成してきていることもあって、ご隠居さんたちがお昼から顔を火照らせメートルをあげているような街です。

昨今は立ち飲みが増え、激安系から個性派まで選択肢が豊富で、昼酒酒場と合わせれば赤羽や立石にも負けないくらい大人の楽園となっています。

ここ「サレカマネ」は、そんな西荻の新店のなかで、もっとも杉並らしく感じる立ち飲み屋です。

 

上品だけどキレイすぎない。サブカルの香りが微妙にありつつも中野っぽくない。インテリにみせないようでいて、どこか知的好奇心を刺激する仕組みがある。「どうだ、おれの酒場は!」という押し付けは一切ないのに、店主のコンセプトが随所から滲み出ているように感じる。

そして、なにより心地良い。杉並区の酒場が好きな人にはきっとわかっていただけると思いたい。

 

立ち飲みですが、椅子席も用意されています。すでに大変な人気店となっていて、老若男女、幅広い層が集い、1人酒から仲間との乾杯まで様々に、賑わっています。

 

ビールは大樽がキリン一番搾り。瓶はハートランドとクラシックラガー(CL)。甲類はキンミヤでレモンサワーが人気。焼酎いろいろと、日本酒は初孫が定番。あえて、ここからカイピリーニャを選びたがるのが私です。

 

とはいえ、まずは乾杯をキンミヤレモンサワーで。果汁たっぷりの酸っぱさ際立つレモンサワーは、絶品。これを求めて通う常連さんも多いと聞きます。

 

量が少なく450円は…と最初は躊躇するも、飲んでみたらとりこになる味。そして度数。飲みすぎると梯子できなくなっちゃう。

 

日替わりの料理といっしょに、今日の日本酒が並ぶので和酒好きの人にもおすすめ。国権純米生原酒を久しぶりに味わいたい。

 

おつまみは冷やしトマト(250円)、ポテサラ(350円)などの定番から、タラコのからすみ、パステウなどの不思議メニューまで頼みたくなる内容です。飲み深まっているタイミングで「チャーシューサンド」の誘惑はキケン。

 

もちろん自家製のポテトサラダ。たまねぎ、卵、胡瓜が入った具だくさんタイプ。ブラックペッパーがかかっています。ポテサラにはソース派なので、かけちゃいました。

 

クラシックラガーをチェイサーに、日本酒が進む進む。

 

高級な550円もするカニ味噌グラタン。こういう空間で食べるグラタンのお酒との相性の良さはすごいです。

 

日本酒はセンスのいい徳利・お猪口を用意してくれます。お燗の温度などもきっちり管理してくれるので安心です。

 

大鍋で煮込む料理(500円)が名物。今日は酒粕豚汁でした。1人でつまみにするのなら、これで十分過ぎるほどのボリュームです。どの料理も味付けがノンベエ好みでお酒が進みます。

 

酒燗器「燗すけ」に浸るお燗酒徳利、その隣はドブ漬で冷やされる瓶ビール。この画が好き。

 

ここ数年で選択肢がかなり増えた西荻窪。杉並らしい個性豊かなお店が多く、それゆえに住み分けができているような印象です。

気分や予算によって、今日はどの暖簾をくぐろうか選ぶことができる街。久しぶりに西荻窪で途中下車してみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

サレカマネ
03-6915-0400
東京都杉並区西荻北3-20-9
17:00~24:00(土日祝15:00~・水定休)
予算2,000円