鐘ヶ淵『愛知屋』祭り好きの親子で切り盛りする下町の名酒場。名物はシャリ酎ハイ

鐘ヶ淵『愛知屋』祭り好きの親子で切り盛りする下町の名酒場。名物はシャリ酎ハイ

創業から48年、親子二人で切り盛りする酒場『愛知屋』を訪ねます。焼鳥、煮込みをメインに、刺身、どじょう料理、鰻まで揃う、品数豊富な名酒場です。墨田区という場所柄、色付きの酎ハイがありますが、これが実に美味。

スポンサーリンク

料理一筋の親子で守る老舗暖簾

東京都墨田区墨田。東武伊勢崎線(アーバンパークライン)の鐘ヶ淵駅があることから、鐘ヶ淵という名で呼ばれることが多いエリアです。地名の由来は、江戸時代初期、隅田川を船で運んでいた寺の鐘を川底へ落としてしまったことから来ていますが、この地を有名にさせたのは、かつて日本を代表する企業であった鐘淵紡績・カネボウでしょう。

明治20年に鐘ヶ淵で創業したカネボウは、最盛期には4000人が働く巨大紡績工場をこの地に構え、下請けの町工場を含めるとカネボウに関連しない人のほうが少なかったと言われる企業城下町でした。働く人がいる場所に酒場あり。鐘ヶ淵には数多の酒場が開業し、1969年以降、段階的にカネボウが撤退した現在も名酒場が比較的多く残っています。

鐘ヶ淵をはじめ、墨田区の酒場にはある共通点があります。それは、色付きのオリジナル焼酎ハイボールです。洋酒に憧れた時代に甲類焼酎をハイボールテイストで飲むように考案したとか、純度が今ほど高くなかった甲類を飲みやすくシロップを入れたとか、様々な説がありますが、どれも正解なのだと思います。

今回ご紹介する『愛知屋』も、そんな鐘ヶ淵の色付き酎ハイを出す老舗酒場のひとつです。

創業は1969年。現在も店に立つ女将さんが一人で始めました。料理の道一筋で研鑽を積んだ息子さんは1990年より店に戻り、修行経験を活かした割烹料理を下町酒場価格で提供しています。

店舗はまだ新しいようにみえますが、これは2012年に建て替えたため。それでも千社額などから店の歴史が伝わってきます。掘りごたつの小上がりに使われているどっしりとした一枚板の机は、ここで何時間でも飲んでいたいと感じさせるものです。

入ってすぐは、厨房に面したカウンター席で、こういう造りも下町の個人店らしいです。

品書き

お酒

  • サッポロ生ビール黒ラベル:小450円・中550円・大800円
  • サッポロラガービール 大瓶:800円
  • サッポロ氷彩サワー:430円
  • 下町の酎ハイ:350円

料理

  • 手羽先焼:300円
  • 自家製鶏つくね:250円
  • ねぎま・すきみ・かわ・れば・はつ・砂肝・ぼんじり:170円
  • だし巻卵焼:480円
  • 自家製コロッケ:470円
  • 創業時からの料理 牛豆腐(和牛すじ肉):740円
  • 若鶏たたき:850円

日替わり

  • まぐろぶつ:720円
  • 活ヒラメ刺身:720円
  • 活ほっき貝刺身:880円
  • ぶりあら煮:420円
  • 水なす漬け:420円
  • 湯で落花生:480円
  • 南蛮漬け:580円

和食修業をされた大将の丁寧な料理と、シャリ酎ハイ

それでは、飲み始めましょう。最初は悩むことなく樽生ビールは、ピカピカに磨かれた2タップのディスペンサーから注がれるサッポロ生ビール黒ラベル。大生もあります。乾杯!

下町の酎ハイ:350円

ビール好きの筆者ですが、ここでは2杯目からは悩むことなく「下町の酎ハイ」を選びます。城東エリアの酒場を訪ね歩く方にはおなじみの、飴色でレモンスライスを浮かべた、いわゆる「ボール(焼酎ハイボール)」です。

ですが、ここのボールなんと甲類焼酎がシャーベット状になっているではありませんか。たくさん飲み歩いてきましたが、こんなボール、他で飲んだことがありません。

レシピはどうやら天羽飲料のマルAと瓶入のローカル強炭酸、アズマ炭酸のようです。

日替わりメニューにはマグロやブリ、ヒラメなどの魚介類が並びます。かなり魚介類に力を入れているように思います。清涼感ある盛り付けの水なすも美しい!

品書きにある味じまんの一品目であるだし巻き卵は、これまたかなりの大きさ。一般的な卵焼きのフライパンでは作れない20cm以上あるかなり立派なもの。ほんのり甘くて出汁の美味しさも感じられる一品。

100品近く料理がありますが、次回も卵焼きは注文したいと思わせる美味しさです。

大将は家業を継ぐ前は鰻も提供する焼鳥の名店で修行されていたそうで、下町では一般的な豚モツの「やきとり」ではなく、鶏肉の「焼鳥」にこだわっていらっしゃいます。

引き締まったモチモチとした肉にマーブル状の脂が美味しい、すきみ(170円/本)。塩で焼いてもらうと甘さを感じるピリ辛味噌が添えられてきます。

次回のつくねはタレにすると黄身がついてくる。こういう一手間がそれぞれにあるから、長年常連さんに親しまれてきたのだとわかります。

ごちそうさま

一周回ってと言わず、何周まわっても墨東地域の老舗酒場はおもしろい!駅から離れていますが、散歩がてらぜひ訪ねてほしい名店です。

店名愛知屋
住所東京都墨田区墨田3-41-17
営業時間月・火・木・金
17:00 – 21:00
土・日・祝日
16:00 – 21:00

定休日
創業1976年