東寺道沿いにある人気のお好み焼き店『あらた』。京都各地に点在する昔ながらのお好み焼き店のひとつです。京都駅に近く、観光客や出張者の利用が多いですが、昔からの地元の常連さんの姿も多数。アギ肉をつかったベタ焼きに、看板ドリンクの赤(ばくだん)がよく合います。
粉もん・鉄板焼店が多い八条口周辺
京都のローカルフードで、大阪や広島とも異なるスタイルをもつお好み焼き。中心街や駅近くは遅くまでやっている店も多いので、「飲み歩きの〆はお好み焼き」という人もいます。
今日はお好み焼き店やホルモン焼き店が立ち並ぶJR京都駅八条口側から、人気のお好み焼き店『あらた』をご紹介します。
駅からは徒歩5分ほど。列車へ乗車する前の夕飯・晩酌処としても立ち寄れます。そうした立地もあってか、店は京都のお好み焼き店のなかでも特に有名な一軒となり、ピーク時は連日満席となっています。利用される際は、他の居酒屋で飲んだあとの遅い時間がオススメです。
外観
2010年、店のすぐ近くに「イオンモールKYOTO」ができて界隈の人の流れが大きく変わりましたが、『あらた』は昔からの個店の佇まいを残しています。
内観
店は二階建まであります。一階は鉄板を埋め込んだL字のカウンターがあり、その内側では3人の店員さんが忙しく仕事をされています。そんなカウンターには6席ほどのイスが並んでおり、ここが特等席でしょう。
壁側は小上がりで、4人用の鉄板内蔵テーブルが数卓並んでいます。二階はボックス席で家族連れも利用できる雰囲気です。
品書き
お酒
樽生ビールはキリン一番搾り生ビール:638円、瓶ビールは、キリンラガービール大瓶:759円、ヱビスプレミアムブラック小瓶:605円。
定番のお酒は、赤(バクダン):616円、ハイボールはフォアローゼス:572円など、チューハイはキリン樽詰サワー(ウォッカベース):528円など。
料理
名物はあらたお好み:1,518円、べた焼:1,012円、マンボ焼:1,298円、すじ玉:1,254円。おつまみは、なんこつ塩焼:594円、とん平焼:913円、すじ焼:902円、ウルテ焼:869円など。
「ベタ焼きと赤」、これも京都の味
赤(616円)
甘味果実酒やサイダー、甲類焼酎などをあわせてつくる京都のローカルカクテル「赤」は、京都の大衆的なお好み焼き店ではおなじみのドリンクです。種類のことなるお酒を合わせることから別名、ばくだんと呼ばれています。不思議と居酒屋に置いていることは非常に少なく、お好み焼き店ならでは一杯です。なんと70年以上の歴史があります。
店ごとに使用するレシピが異なり、甘さ、アルコール度数などは異なりますが、共通点はソース味との相性が猛烈に良いということ。甘酸っぱくパチパチとした炭酸の刺激が、濃厚なホソをつかったお好み焼きにも負けないのです。
ということで、一杯目は大樽のキリン一番搾りと悩みつつ、赤でスタート。乾杯!
『あらた』の赤はキリっとした味わい。度数はそれほど高くはないので、安心しておかわりができます。
目の間で手際よく焼かれていくお好み焼きを眺めているだけで、一杯目の赤は飲みきってしまいそう。クレープ状にした生地にキャベツを載せて…、あれが私の分かなと、待っていると出来上がりました。
あらたお好み(1,518円)
京都のお好み焼きは、お隣の大阪とも異なります。その最たる特徴は九条ねぎをトッピングすることですが、ほかにも、牛肉のホルモンであるホソやスジなどを使うことも個性のひとつです。
また、広島型に近いうどん・そばを載せたベタ焼きと、大阪型の練り込み、その両方を提供している店が多く、バリエーションの豊富さに毎回ワクワクします。
『あらた』の看板メニューはベタ焼きで、店名を冠し「あらたお好み」と呼ばれています。コリコリとした食感が楽しいアギ肉(牛のあご肉)がふんだんに使われており、そこに特製の辛いソースがたっぷりと塗られています。
中華の五目焼きそばを彷彿とさせる、一部が焦げてゴワっとしている中華麺と、アギ肉のフニっとした食感のコントラストが秀逸。シャキシャキとした九条ねぎも相まって、居酒屋から梯子してきたのに、面白いほど箸が進みます。箸ではなく、コテですが。
はじのパリハリになった部分まで、隅々がお酒をつまみになります。
時刻は夜9時過ぎ。〆の一品を食べに来るお客さんが途切れませんが、皆さんお好み焼きをつまみにぐんぐんとお酒を飲まれています。このベタ焼を食べたら、飲まずにはいられないのです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | あらた |
住所 | 京都府京都市南区西九条院町24-4 |
営業時間 | 17:00~23:00(日定休) |