【閉業】武蔵小山『大衆酒蔵 日の出』ハイサワーの町、風格ある酒場の心地よさ

【閉業】武蔵小山『大衆酒蔵 日の出』ハイサワーの町、風格ある酒場の心地よさ

2014年2月2日
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あまり知られていませんが、武蔵小山に50年続く銘居酒屋があります。

どこの駅前にも一軒や二軒ありそうな平凡なお店なのですが、酒場は本来平凡であるべきなんだと思います。
メディアに載ったり、特長的な料理やお酒が合ったり、全国各地からそのお店を求めてやってくるような酒場。もちろん大好きです。私もそんな酒場を文章にしている一人ですし。

でも、酒場って本当は観光名所ではないんですよね。いつもそこにあり、いつもの顔がいて、いつものお酒を飲む。平凡な場所だから落ち着ける。だから同じ酒場に通う。酒場には「平凡」という言葉が一番しっくり来るような気がします。

そんな、いつもの酒場はどこの街にもありますが、居心地の良さで上げるなら武蔵小山の「日の出」です。どんな酒場よりも、ここは穏やかでいいです。

武蔵小山駅から徒歩2分。細い商店街にある一軒です。

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いらっしゃい。
奥へどうぞ。

大将は照れ屋さん。

常連さんが「今日は女性が多いねー、大将やったじゃない」と笑いかけます。

サワー系割りモノの代表的企業「博水社」の本社があるこの街は、やはり当然サワーが定番です。
レモンサワー(300円)をお願いします。

ささっと手際よく、「はいお待ちどう」。
乾杯です。

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お通しは揚げに納豆をつめてカラっと焼いたもの。納豆にはだしが効いていてお醤油なく絶妙な旨味が嬉しい。
さーて、何にしようかな。

特別なものはないのですが、平均的に料理のレベルが高いここ、何を頼んでもハズレません。

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「ブリあら大根(300円)が美味しいー」とカウンターで隣に座る奥様お二人が会話していました。

んん、じゃあ私もそれ行こうかな。
「ぶり大根をお願いします」

すると、お隣の女性も「あ、私たちもぶり大根おかわりほしいです」と。

しっかりと灰汁をとって丁寧に煮こまれたブリ、大根は箸がすっと入ります。ちょっと甘めの煮物ってレモンサワーとよく合うんですよね。

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お隣の方が頼んだ「焼きそば」。
取材ならぜひこれを紹介して!私の前にやってきました。すみませんー、ありがとうございます。

こんなに野菜たっぷりで注文を受けてからつくる焼きそばが300円。味付けは大将のオリジナル、優しい味で香ばしいソースの香りが食欲をそそります。

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このお店、かつを節を自分のところで削ったり、ひとつひとつしっかりされているんです。
大将は飲み屋さん歴50年。腕の良さは焼きそばからお鍋まで、見ていてわかります。

ちゃんちゃん焼きや焼き鳥、お刺身各種、炒めものも色々あります。私が頼んだ豚肉長ネギ炒め。ネギは高崎の質のいいものを馴染みの八百屋から入れてもらっているとのこと。

甘くて、豚肉との相性も非常によいです。チューハイ(焼酎は金宮)、ビール、日本酒、お酒のラインナップはそんなものですが、これで十分じゃないですか♪

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この品書きをみて「この酒場はいい」と共感してくださると嬉しいのですが。

下町の酒場にだって負けていません。武蔵小山には人気店がやまほどあってどうしても普通な酒場は印象が薄くなってしまいますが、平凡な酒場だってスゴイんです。

創業からもうすぐ半世紀。このお店の雰囲気、客層、料理などすべては大将の性格が現れていると思います。優しくて実直で、ちょっと人見知りなところがチャーミング。
平凡な名店へ、飲みに行ってみませんか?

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見なゆ)

大衆酒蔵 日の出
03-3710-1986
東京都品川区小山3-2-6
17:00~24:00くらい(日曜定休)
予算2,000円