高円寺で焼き鳥といえば「大将」。総業から40年を越え、ますます味わい深くなってきました。今回は北口の3号店から、山盛りのマカロニサラダや定番の焼き鳥串の魅力をお伝えします。
一日千本も焼き上げる
杉並区を一直線に横断するJR中央線。各駅の駅前には必ず1軒、老舗の大箱焼鳥店が存在し、どのお店も杉並酒場文化の一翼を担っています。
高円寺ならば、1977年にオープンした「大将」が有名です。中央線の車窓からも見え、しかも早い時間から飲んでいる人が多いため、酒場好きでなくとも「あぁ、あの大将ね」というくらい、地元では知られています。
南口に2店、北口に1店あり、今回お邪魔するのは北口の3号店です。建物は10数年前に立て替えているのに、なぜか店内は雑多な昭和の酒場ムード全開。無造作に置かれたパイプ椅子とベニヤのテーブルで飲むことになります。それもまた、楽しみのひとつ。
店先に焼台を出し、そこでもうもうと狼煙を上げるように串を焼く大将。大量の串が用意されています。大将全体で一日に1000本は売れるという街の味。
学校の教室2つ分ほどの大きさに、冷蔵庫やビールサーバーが雑多に並べられ、若い店員さんがテキパキと動き回っています。装飾に統一感はないし、料理のこだわりなどを謳う掲示物もゼロ。ものすごくニュートロラルな場所だから、なにも考えず「のんびり飲んじゃおう」感じさせてくれます。
大将は昔からサッポロビール。樽生はサッポロ黒ラベルで、瓶は赤星(サッポロラガー)。ラベルの色合いは、大将の内装と”お揃い”ですね(笑)
それでは乾杯!
品書きはシンプル
大瓶がいまどき、税込みで490円と大変リーズナブル。高級住宅街もある高円寺ですが、駅前の酒場は昔から下町のようなテイストがほとんどです。
酎ハイ類は390円から。焼酎は界隈でも濃いほうです。並ぶおルコール類は基本的にサッポロ系ですが、日本酒は大将のオリジナルを置き、これが安いだけのお酒ではなく、なかなかどうして、よく飲める味です。
串は1本130円で、2本単位での注文となります。手頃な価格で焼鳥・やきとんが並びます。若い人の間ではつくねチーズ(180円)が大人気です。
高円寺駅周辺に3店舗。実は各店で微妙に内容が違います。ここ三号店でしか食べられない料理は「上海火鍋」で、一人前980円(一人前から注文可能)。ちゃんと火鍋用の二食鍋で用意されます。
焼鳥店の緩~い感じがイイ
背筋を伸ばして、お店の方の細かな指示に従い、さっと平らげて店をあとにする。そんな規律のある酒場とは真逆のような大将。
のんびり飲んでいいよ、ゆったりと飲んでいってね、というスタイルが実に心地いい。前者をオンの酒場とするならば、ここはオフの酒場です。銭湯につかるように、酒場につかる時間を楽しみます。
コンビーフの魔法、マカロニサラダ(400円)
サラダとは名ばかりの、炭水化物とコンビーフオンリーのマカロニサラダ。
黒胡椒とコンビーフそのものの脂がいい味をだしています。硬めのマカロニの食感も楽しく、ビールが実によく合う一品です。
通常盛り(400円)でもサラダボウルに山盛りでやってきます。Wにすると小ぶりのカレー皿サイズに盛られ、さらに山盛りです。
焼鳥盛り合わせ(3本370円)
中央線沿線はやきとり天国。高円寺の大将は豚モツよりも鶏の焼鳥がオススメ。丁寧に串打ちされた、柔らかめの鶏肉。とっても脂が載っています。これに甘さが強いみりん風味が効いたタレが好相性。カワのもちもち食感もいいものです。
「かしら」(1本・120円)。鶏と比べると少しこぶりです。それでも、酒場の標準的なやきとんってこうだよね、という安心感があります。
玉露割りが大将の焼鳥に合う
大将の焼鳥・やきとんには、玉露割り(420円)をあわせるのが筆者のいつもの飲み方。飲食店専用の、焼酎で割ることを前提に濃い味につくったお茶を使用しています。
近年、緑茶割りがブームとなり各社が様々な商品を登場させましたが、飲食的専用として最も長く続いている業務用お茶割りがこの「サッポロ 玉露入りお茶 業務用パック 」。老舗の酒場でみかける、発色のよい緑色のお茶がこれです。実は着色料入り。
毎晩、阿波おどり祭りのようでした
だんだん人が増えてくると、大将も銭湯からお祭りムードにかわってきます。にぎやかな大将は、毎晩が東京・高円寺阿波おどりのようで、この熱気も好きでした。
心の緊張がほぐれる焼鳥酒場へ、のんびり飲みに行きませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 大将 三号店 (北口店) |
住所 | 東京都杉並区高円寺北2-9-6 |
営業時間 | 営業時間 17:00~翌1:30(L.O) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 1977年(※南口の本店の開業年) |