
日本各地に個性的な食文化があり、訪ねる度に新たな発見と美味しさに出会うものですが、宮崎県はとくに個性的。南洋の都市のような暖かいムードが街、人、食から感じられます。
ニシタチは、宮崎県で最大の歓楽街。宮崎市は人口10万人あたりのスナックの数が日本一というスナック街で、スナックは地元のお酒好きにとって日常的な存在なのだそう。だいたいセット料金3,000円で楽しめると、市の観光部門の方が話してくれました。
そんな宮崎・ニシタチで老舗の大箱の大定番といえば「たかさご」。創業は1957年(昭和32年)です。席数は150以上、一人飲みから宴会まで幅広く対応しています。

宮崎料理と焼酎を楽しむべく、やってきました宮崎ブーゲンビリア空港。羽田空港からは約1時間40分の空の旅。


九州・福岡空港同様に、中心市街地までは鉄道で簡単アクセス。JR宮崎空港線に乗車し約10分で宮崎駅です。

市内には4階建てのビルを越えるほどの背丈がある「ワシントニアパーム」が中央分離帯に植えられていて、南国ムードを演出しています。その数、なんと840本近くあるのだそう。

大通りの国道から1本入ったところが、「ニシタチ」。昭和30年代まで旧国鉄の官舎だった場所が払い下げられ、そこに飲食店やバーができたのがニシタチの始まりと言われています。
1000軒以上の飲食店が密集し、2020年はじめ頃まで、週末の夜はお祭り状態の賑わいになっていたそうです。

目指すお店は、大変よく目立つ「たかさごビル」。


1階は昔ながらの大衆酒場の雰囲気そのままで、夕方4時の暖簾がでる瞬間から、地域のご隠居さんたちが集います。
人気は、生ビール(もしくは焼酎2合!)とハムカツ、ざる豆腐がついた得々セット(1,100円以下税込み)。海幸・山幸いろいろ揃い、どれも手頃な価格で楽しませてくれます。

こちらは、創業まもない頃の「たかさご」。屋上ではビヤガーデンが開かれていた様子。



いまの店舗も、どっしりとしたいい塩梅の酒場感がただょって居ます。変形L字型のカウンターは、常連さんがいつものお酒を味わっています。

カウンターの内側は帳場と飲み物をつくる場所。厨房は壁の向こう側です。大きく設けられた窓から、夕暮れの穏やかな光が差し込みます。

最初はやっぱりビールから。キンキンにひえた生ビール(キリン一番搾り・中500円)を受け取り、では乾杯!

瓶ビールでは、アサヒスーパードライ、キリンクラシックラガー、サッポロヱビス、サッポロ赤星の4種類も用意されています。ハイボールはキリン系のキリンオークマスター 樽薫る、酎ハイは樽詰めです。
宮崎は本格焼酎の出荷量全国一(2019年)、ここはやはり木挽や霧島など、県内の焼酎を飲まなくては。日本酒は県内のお酒、高千穂の「初御代」をはじめ、灘の大手藏から白鶴、剣菱、高知の土佐鶴、新潟の菊水、店名と同じ高砂(静岡)という顔ぶれ。

なんと、東京・武蔵小山の割材メーカー博水社のハイサワーを発見。3杯分で850円と嬉しい値段、そして九州らしくナカ用の焼酎は徳利で提供されるようです。

さて、おつまみは何をいただきましょう。こちらが今日の差し込み。


定番メニューは約100品。何を食べようか悩むこの時間が楽しいです。都萬牛のスジ煮込み(520円)は長く愛される名物料理。うずら照り焼き、佐土原ナスの辛子漬け、めひかり唐揚げ、しいたけ南蛮など、土地の味が随所に散りばめられています。

釣り鯵刺し(600円)は、新鮮さをはっきり感じるぷりっぷりの歯ごたえ。この食感に、九州らしい甘いヤマエ醤油(宮崎県都城市)がぴったりはまります。

白木挽(1合350円)のお湯割りと、店員さんのおすすめ「塩ホルモン」(520円)を。九州は本格焼酎が安くてついたくさん飲んでしまいます。お湯はひとり1本ポットが渡されます。


宮崎といえばチキン南蛮が全国区ですが、塩ホルモンも人気の郷土料理。辛味噌とキャベツをいっしょに食べれば、これで焼酎が進まないはずがありません。

つづいて霧島をロックで。白でも黒でもない、「霧島《宮崎限定》」。度数は宮崎で好まれている20度です。さつまいものどっしりとしたコク、香りが楽しめます。


もうひと品、常連さんに評判の「冷やしピーマン」肉味噌つき(380円)。シャキシャキピーマンと、甘じょっぱく煮込まれた肉味噌のコクが非常にマッチし、いくらでも食べられてしまいそうです。

おおらかな雰囲気で、楽しく飲んでいってね!というムードが店を包んでいる「たかさご」。酒場で感じる風土の魅力。心地よい1時間でした。つぎはどこへいくの?なんて話をしつつ、お会計。店員さんもフレンドリーです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
たかさご
0985-22-2363
宮崎県宮崎市橘通西3-1-10
16:00~23:00(日定休)
予算2,000円
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