魚が美味しい街には、いい酒蔵あり。今日は愛媛県松山市は一番町から、愛媛県酒造協同組合直営の地酒を楽しむ店、その名もずばり「蔵元屋」をご紹介します。
人口50万人を超える四国最大の都市・松山。その中心街である大街道や一番町周辺は他県の歓楽街とはまた違ったムードが漂い、そして個性豊かなお店が大変に充実しています。
そんな中心街の電車通り沿いに「蔵元屋」(愛媛の地酒と書かれた看板は、2020年になって蔵元屋の文字に書き換わりました)はあります。ロープウェイや路面電車で松山城や道後温泉観光の際にも経由する場所ですから、観光の合間にもピッタリ。しかも営業時間は14時(2020年7月1日時点)とお昼から飲むことが可能、貴重な昼酒スポットでもあります。
夏目漱石の小説「坊つちやん」において”「マッチ箱のような汽車」”と紹介された小さな蒸気機関車を模した「坊っちゃん列車」に揺られて、松山市駅から20分。日本三古湯の一つとして知られる道後温泉に到着。
入浴だけでなく、坊っちゃんカラクリ時計や、温泉街の町並みも旅の楽しさを感じられます。
ハイカラの道後温泉を散策したら、そろそろ日本酒タイム。レトロな路面電車に乗って「大街道」下車。
酒販店でもある蔵元屋は、角打ちスタイル。気に入った蔵がみつかればその場で購入することも可能です。開業は2004年。
天井が高く広々した店内。大きな窓からは街を行き交う人々を眺めつつ日本酒が楽しめます。
愛媛県内28の酒造から150種類以上のお酒が集められています。直営ですからお酒の管理も安心です。
メンバーズカードをもらって何種類も飲んでいくと、その銘柄の数に応じて酒造組合から表彰され、さらに店内に名前も掲げてもらえます。本名でなくても大丈夫なのでご安心を。
和らぎ水は現在はペットボトルで有料提供。
酒燗器があり、燗酒にして味わいを変えてみるのもまた楽しいです。
お酒は特定名称酒でも60mlで100円からととってもリーズナブル。種類が多すぎて迷ったら、お店がオススメしている「愛媛の地酒呑み比べセット」がよいかと思います。
純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒など、同じく括りで水平に飲み比べられます。
この日の純米酒飲み比べ(グラス700円)はこの3銘柄。首藤酒造(西条市)の「寿㐂心(すきごころ)」うすにぐり生酒、協和酒造(伊予郡砥部町)の初雪盃、元見屋酒店(西予市)の「開明」純米生原酒 しぼりたて たれ口。
解説をそえて丁寧に注いでくれます。それでは乾杯。それぞれの地理や歴史、食文化などを浮かべながら味わえばなお美味しいです。
お店の方のアドバイスもありますので、ご自身の好みに合った銘柄を探っていくような楽しみ方もできます。もはや資料館というレベルで、とにかく種類が多く情報量も桁違い。東予、中予、南予で異なる味の違いを探ってみませんか。
おつまみもお酒同様100円から揃います。八幡浜名物のじゃこ天(300円)やきびなご丸干し(200円)など土地の味が揃いますが、珍しいものといえばダントツ「西条市産ひめがい(あおやぎ)干し」(400円)です。瀬戸内海沿岸で昔から食べられてきたそうです。独特なひめがいのクセは干して濃厚になり、軽く炙ることでコクを増します。
ここは、西日本最高峰「石鎚山」をはじめとした愛媛の名水でつくったお酒を心ゆくまで味わえる素敵な空間です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
蔵元屋
089-934-5701
愛媛県松山市一番町1丁目11-7
14:00~20:00(最新の情報は公式サイトをご確認ください。)
http://www.yokota-sake.com/kuramotoya/
予算1,000円