【保留】入谷「三富」1930年創業、桜肉を楽しむ大衆割烹。世代を超えて人気の一軒。

【保留】入谷「三富」1930年創業、桜肉を楽しむ大衆割烹。世代を超えて人気の一軒。

2020年2月22日

入谷の「三富」という大衆割烹がおすすめです。看板料理は桜肉。

台東区には桜肉を提供する老舗がいくつかありますが、最も交通アクセスがよいのが「三富」でしょう。入谷駅1番出口から徒歩30秒です。

格式高く予算もやや高めになりがちな桜肉専門店において、三富は日常的に使える、まさに「大衆割烹」といえるお店です。

創業は1930年(昭和5年)。2020年で90周年を迎えました。創業時は、和洋料理酒場食堂「三富バー食堂」という店名です。この当時、お酒を飲ませるお店は業態を問わず「バー」をつけていた傾向が見られます。店頭には、東京うまれのナショナルビール「ヱビスビール」(旧大日本麦酒、現在のサッポロビール)の文字がみえます。

世代を超えて通われるお客さんと、二代目、三代目へと暖簾を受け継いできたご主人や支えた女将さん、ヱビスのたすきをつないできたサッポロ。90年目のいま、三富で飲むビールは特別に感じます。

昔、まだサッポロの星が赤かった時代のジョッキが並ぶのが老舗らしい。三富ならば、「桜」に見えてくるかも?

今日は、以前「三富」の担当だったサッポロビールの上野さんと同社で業務用企画をされている大元さん、そして私の三人で訪ねています。

樽生ビールはサッポロ黒ラベル。中ジョッキ(500円)のワンサイズ上、大ジョッキ(750円)を持ち上げて、では乾杯!

L字カウンターに4~6人用のテーブル席、小上がり、宴会用の座敷など用途に応じて使い分けられる席が合計80。なかなかの大箱です。

生ビールに加え、樽詰の麦とホッブ(中370円)があるのが珍しい。変わらぬヱビスとサッポロラガー、アサヒスーパードライがビンで用意されています。

日本酒、焼酎の品揃えが豊富で、老舗らしいバランスのとれた内容です。

『一寸一杯、軽く飲んでいこう』、そんなときにはワンコインのセットが丁度いいです。麦とホップと馬肉料理1品を選んで500円。結構お得なので、最初にセットを頼んで、あとから追加という利用も良さそうです。周年企画ながら、好評のため継続中とのこと。

専門色のつよい大衆酒場や割烹のメニューはみているだけでお酒が飲めてしまいます。馬肉の品揃えはなかなかのもの。コロッケや馬ハツモト炒めなどがカッコつけてない感じで私は好き。

豊洲市場から直接いれる魚介類や季節の差し込みメニューも豊富で、あれもこれも食べたくなってきます。大人のちょっとした晩酌であれば三千円でお釣りが来るくらいの価格設定も嬉しいです。

桜の季節に食べる桜鍋が美味しい。桜鍋は一人前から注文できるので、お刺身や天ぷらを食べてから鍋を少しつまみたいというわがままもOK。これほど料理の品揃えがあるといろいろ食べたくなりますよね。

なまこ酢(510円)。盛り付けが美しく、こりこりとした食感が心地よい一品。

馬刺しユッケ(750円)。ごま油などで味を整えた馬刺しのたたきです。

馬モツをつかった桜煮込み(410円)。熱したお鍋に盛られて、ボリュームもしっかり。馬のモツは豚よりもあっさりとしていて、素直な旨味がじんわり広がるような味。甘さ控えめの味噌ベースの味付けもなかなかによく、ビールや日本酒を誘います。

かなり厚切りにしたフレッシュな馬肉と、しっかり固く味の濃い豆腐や春菊、白菜、ネギなど具だくさんの桜鍋(1,700円~)。

この馬肉がたいへん質がよくて、軽く表面の色が変わる程度(生食可能のお肉です)で頬張ると、持続性、厚み感のあるコク、そして旨味がじんわり広がります。

〆には好物の玉露割り(370円)をいただいて、大満足。

続く老舗には理由があります。料理の内容はもちろんのこと、お客さんを覚え、近すぎず遠すぎずほどよい距離感で接するご主人の接客や、温厚な人柄も素敵です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 協力/サッポロビール株式会社)

三富
03-3872-6213
東京都台東区入谷1-6-1
17:00~23:00(日祝定休)
予算3,000円