静岡の大衆酒場の定番といえば「おでん」。静岡おでんと名付けられていますが、近年の町おこしで誕生したものではなく、その歴史は大正時代までさかのぼります。駿河湾を始めとした豊富な漁場を抱える静岡らしく、魚介類を多く使うのが特長です。とくに、イワシや鯵を骨や皮ごとすりつぶしてつくる黒はんぺんが代表的です。
そんな静岡のおでんをはじめ、浜松風の餃子や富士宮風焼きそばなど、同県の郷土料理を楽しませてくれる酒場が高田馬場にあります。
その名は「ガッツ」。2012年に静岡県駿河市出身のマスターがオープン。高田馬場駅から西武線の線路沿いに少しの場所にある裏路地の一軒です。
遠い静岡へは仕事帰りに行けないけれど、馬場なら行ける!なんて人も多いのでは。山手線で飲みに行ける手軽な静岡酒場を覗いてみましょう。
静岡のランドマーク、富士山と三保海岸を描いた壁画がインパクト大。赤富士の前で静岡の味を楽しみましょう。
静岡のお酒といえば、まずはサッポロビール。実は静岡の焼津にはサッポロビールの研究部門も併設したサッポロビール静岡工場(固有記号:Y)があります。県内唯一のナショナルビールの工場です。
また、ご存知静岡緑茶をつかった静岡割り(お茶割り)も定番の一杯。地酒の開運や磯自慢もお馴染みです。
おつまみを見ていきましょう。看板のおでんは100円から。餃子やみしまコロッケ、清水のモツカレー煮込みなど、県内のご当地料理が並びます。全国区の缶詰メーカー「ホテイ」は清水からはじまった会社。缶詰のおつまみも静岡揃えです。
それでは、生ビール(サッポロ黒ラベル・420円)としぞーか割り(400円)で乾杯!
ガッツのご主人のお父さんは、静岡で30年以上続く居酒屋をやっています。その味を受け継いだおでんは、昭和のころから続くれっきとした老舗の味です。
D字形の黒はんぺんなど、盛り合わせ(470円)でいただきました。串に刺すのも静岡の特長。駄菓子屋でも食べられているようなもので、この手軽にちょいとつまむ感覚は楽しいです。
青のりの風味をしっかり効かせて頬張れば、間違いなくビールが進みます。
パリっとした焼き具合の餃子は480円。しらす入りも選べます。
餃子の消費量は日本一とも言われる浜松。浜松餃子の定義はキャベツを使うというもの。静岡県人会もここに集まるガッツは、地元の皆さんも納得の味です。
郷土料理というと割高なイメージも幾分はあるものですが、ガッツは静岡の両替町とほぼ変わらない感じが嬉しいです。
日常の中にある酒場で、いつもとちょっと違った雰囲気を楽しんでみませんか。笑顔が素敵な優しく楽しいマスターが待っています。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
※静岡のサッカーチームが試合をする日はサッカーファンで一層熱く盛り上がります。
静岡おでんガッツ
東京都新宿区高田馬場2-19-8 阿部ビル 1F
16:00~25:00(日祝は23:00まで・無休)