佐賀「立ち呑み屋のん」 街唯一の立ち飲みは、素敵な女将さんの素敵なお店です

佐賀「立ち呑み屋のん」 街唯一の立ち飲みは、素敵な女将さんの素敵なお店です

佐賀の夜。よき酒場を巡ったあとも、なにかやり残したような気がしてもう一軒を目指しました。佐賀ではちょっとした有名店である「立ち呑み屋 のん」へ。

店名のとおり立ち飲みの居酒屋ですが、実は佐賀駅周辺で立ち飲みはここ一軒しかありません。佐賀はじっくり腰を据えて飲む人が多く、飲み屋をはしごする人は少ないようです。ゼロ軒目や〆の一軒に使うような立ち飲みは向かなかったのでしょう。

そんななかに登場した「のん」はしっかりとファンを増やし、私のように出張で訪れている人だけでなく、着実に地元の人たちにも受け入れられる酒場となりました。

 

のんは駅の北側、バスターミナルやJR佐賀駅にも近く、仕事帰りの一杯にちょうどいい立地です。メインの飲み屋街「白山」は県庁寄りの場所にあり、駅からはやや離れています。

 

さて、佐賀といえば鍋島藩。とくに第十代藩主・鍋島直正は時代を動かした若きリーダーとして知られています。とくに明治維新150年となる2018年は、鍋島直正にまつわる資料館や史跡の再整備や、県をあげてのイベント「幕末維新博覧会」(2019年1月14日まで)など、佐賀は一色に染まっています。

 

西洋の技術を次々ととりいれ、やがて日本初の実用反射炉の開発にも成功。鉄製大砲の導入により強い戦力を手にするも、薩長土肥連合の中でも新政府軍と一定の距離をとり、改革後のその先を見ていたと言われています。写真は再整備された佐賀城本丸にて。

 

幕末維新で盛り上がる佐賀。観光のあとはやっぱり飲み屋を目指したい。そして、佐賀の人気銘柄「鍋島」を飲まなくては!いざ「のん」へ。

 

大阪出身の女将さんが切り盛りされています。コの字カウンターとキャッシュオンの立ち飲み基本形が嬉しいポイント。女性のお客さんも入りやすい雰囲気で、老若男女が集ういい雰囲気です。

 

九州は焼酎の国ですが、佐賀は日本酒も豊富です。全国的に知られる銘柄をつぎつぎと登場させ、日本酒好きの注目を集めています。「のん」でも、ずらりと一升瓶が並びます。

 

日本酒、焼酎はのちほど頼むとして、一杯目はチューハイで。標準的なチューハイに加え、キリンビターズも用意されています。珍しいので、「ほろにがレモンライム」(500円)を頼んで、乾杯!

 

お酒のラインナップはキリン系で、ビールは一番搾り(500円)、焼酎は350円からと嬉しい値段です。

 

日本酒は専用メニューが別にあり、天山酒造・岩の蔵や万齢、東鶴に鍋島と地酒が豊富です。

 

一番人気は九州でよくみかけるご当地料理「魚ロッケ」(350円)。おでんは100円からとお手頃価格揃いです。もちろんお通しはありません。

 

魚ミンチを揚げた「揚げかまぼこ」のような魚ロッケ。佐賀県の港町・唐津うまれの料理で、その歴史は100年近い。これと焼酎や日本酒のペアリングは佐賀の日常です。

 

ぽくぽくとしあがっています。醤油の風味とちょっぴりのマヨネーズ、七味をふって頬張ればお酒を誘います。

眼の前にジャラっとだした小銭をつかって、都度払いでダラダラ飲む。楽しい時間です。

 

日本酒はあとで飲むとして、まずは屋久島の三岳をお湯割りで。

大阪弁をしゃべる元気な女将さん。事情があって佐賀にでてきて、孤軍奮闘立ち飲みを始められたパワフルな女性です。「いまはすっかり街になくてはならない一軒です」と、佐賀で長く飲む常連さん。

このあとは、一期一会の楽しい会話で盛り上がり、鍋島の写真を撮るのも忘れて、閉店近くまで楽しい時間となりました。

佐賀でちょい飲みならば、ここで間違いありません。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社・佐賀県)

 

立ち呑み屋のん
0952-33-3374
佐賀県佐賀市駅前中央1-13-8