唐揚げとビールは切っても切れない関係です。皆さんはどこのお店の唐揚げがお好きですか。
全国各地には鶏の唐揚げや素揚げを看板料理に掲げる名酒場があります。例えば千葉ならば駅から徒歩10分ほどの「花澤三友」でしょう。千葉で一番巨大な唐揚げと言われる超ジャンボサイズの”半身”が名物です。
巨大な歓楽街・栄町の中心付近にあり、付近は水っぽさ全開でなかなかハードルの高さを感じる町並みですが、花澤三友だけはザ・大衆酒場の佇まい。もちろん店内も含めて典型的な飲み屋なので入ってしまえば安心です。
昔からの常連さんの家族連れや噂を聞きつけた飲み歩き好き、長年通うご隠居さんなどで満席。フロア担当はベテランのお姉さんたち。丁寧な接客ですいすいと通してくれます。
カウンター、テーブル、奥には小上がりもあり、なかなかの大箱。個人経営の大衆酒場のほんわかとしたムードが漂い、時間を気にせず飲みたくなる雰囲気です。
ビールは生がアサヒスーパードライ、瓶でキリンラガー。大瓶で750円とちょいと高めですが酎ハイが320円なので安く飲みたいときはそちらでしょう。だいぶ濃いので効きますし。
ブームの前からキンミヤを置いており、ボトル1800円で二ヶ月キープと良心的です。ホッピーの単品は280円。セットならば410円です。
飲酒運転NGの強い主張がカッコイイ。「お車ではないですよね」と確認される徹底ぶりでハンドルキーパーにはウーロン茶が1杯サービスです。
アサヒとキリンのせめぎあいが随所に感じられますが、つまりは、大手二社が取り合うほどの人気店というわけ。取材時はお客さんのオーダー率はキリンが6割ほど。
では、瓶ビールをもらって乾杯を。大きめタンブラーでぐいぐいと進みます。
スピードメニューで冷やしトマトをチョイス。唐揚げの油に勝てる箸休めはトマトでしょう。いつぞや、「なゆさんは冷やしトマトばかり食べている」と指摘されましたが好物なんです。
メニューは唐揚げが主力。品数はかなり絞られていて17品しかありません。それでも満席の賑わいなのですからいかに唐揚げが人気か。串、もも、手羽なども焼きではなく揚げです。ここの肉は全部揚げもの。厨房の巨大鍋で大将が次々飛んでくる注文に応え揚げ続けています。
まず先にお皿だけでてきて、しばらくすると厨房から「揚がったよ」の声が聞こえてきて、お姉さんがステンレスの角バット(四角い業務用の受け皿)に山盛りになった唐揚げを持ってきます。オーダーに合わせて各テーブルのお皿へと配り歩く姿はおもしろい。まさに揚げたてほやほや。
湯気がでていなくても熱いから気をつけて。
みてください、このサイズ。瓶ビールは小瓶ではなく大瓶です。手のひら2つ分以上のジャンボサイズ。これを一人ひとつがあたりまえ。数人ならば、一人は「ぶつ」にしてみるのも面白いかと。そちらもボリュームは同じくらい。
ビール瓶並に重たい巨大な半身はこれで840円。唐揚げと酎ハイ3杯で二千円程度のリーズナブルさ。コスパというキーワードならば千葉で最高クラスでしょう。
オリジナルの香辛料で薄く味つけされていますが、味の主役は鶏の旨味。味を変えるならばガーリックパウターが定番です。
手で食べやすく開けばお馴染みの部位になります。写真はドラムスティック。とてもじゃないけど食べきれないと思うでしょう。それがぺろりといけちゃうからすごい。
後ろから「ここの唐揚げは胸焼けしないのが不思議」と話すカップルの声。うんうん、全くその通りです。
お店のお姉さんは男性客には全員「社長」と呼ぶのが花澤三友。ちなみに女性客は「お姉さん」。ここは誰もが社長になって、贅沢に巨大唐揚げを独り占めできる千葉の庶民派社長ラウンジです。
満腹になったお腹をさすりながら、駅へと帰りましょう。もうハシゴできません(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
花澤三友
043-222-7278
千葉県千葉市中央区栄町9-6
16:00~22:00(第二第三水定休)
予算2,000円