【移転前の記事】銀座「梅林本店」 元祖ひと口ヒレカツで90年。銀座の老舗で星と鶴

【移転前の記事】銀座「梅林本店」 元祖ひと口ヒレカツで90年。銀座の老舗で星と鶴

2017年12月11日

銀座は日本の洋食を開花させた街。この街に生まれ全国に広まった数多の料理のなかから、今回は「ひと口ひれかつ」をつくった老舗「銀座梅林」をご紹介します。何店舗か支店があり、最近は海外へも進出していますが本店は銀座7丁目にあります。きれいな店内で、出勤前の銀座に生きる人や芸能関係者のファンも多いお店。

 

重厚感ある建物の一階にあり敷居がやや高く見えますが、実は通しで営業している銀座の昼飲み処としてノンベエの常連さんに親しまれています。

 

ランチのピークを外せば、ここはとんかつ酒場。銀座で創業した日本麦酒・現在のサッポロビールの瓶を傾けながら、伝統のとんかつが心地よく進みます。とんかつの他、豚肉出汁でつくったカツ丼やヒレカツサンドもここの名物です。

 

カウンターとテーブルが並ぶ店内。せわしなく感じるのは最初だけ。カウンターで瓶ビールやお銚子をもらったら、不思議とその席に根っこがはえてきます。

 

生ビールは黒ラベル。瓶ビールは長く赤星と決まっています。日本酒はサッポロと同じく銀座に縁のある酒造・白鶴です。おつまみは単品のヒレカツが定番。

 

飲む人にはお通しのお漬物がでてきます。中びん赤星(650円)をトトトと傾けて乾杯。

 

カウンターの目の前は板場で、手際よくパン粉をつけて無駄な動き皆無で働かれるコックさんたちを眺めるのがもう肴。職人さんの技を目の前で見るのは楽しいです。

 

おまちどうさま。10分ほどで登場、ヒレカツの定食(2,800円税込)です。綿実油の食欲そそる香りがふわっと広がります。つや姫使用のご飯は〆に赤だしと一緒にいただくとして、ヒレカツとビールでよい時間。

 

パン粉がたっているサクサクの仕上がり。硬そうに見えて、口に入れた瞬間にふわっと粉のようになり、衣が邪魔をしません。

 

実は梅林がとんかつ用のとろっとしたとんかつ(中濃)ソース発祥の店と言われています。サラサラのソースではなく、衣をしなっとさせない”とろみ”がかったソースです。

柔らかく食べやすく、しっかりと濃厚な旨味の肉汁が広がり、その余韻はビールを無限に誘います。

 

ビールの次は日本酒。とんかつと日本酒の相性は悩ましい。お店によって美味しいと感じることもあれば、ビールのほうがよかったと思うこともあります。濃厚なカツに味のしっかりした日本酒なのですから。

ただ、ここの梅林で飲む白鶴の瓶(650円)とヒレカツは何度食べても抜群にいい。キレのある灘の男酒、しかも醸造アルコールを添加した普通酒上撰が合うように思います。徳利144ml瓶というなんとも中途半端なサイズの瓶ですが、老舗にはこういう瓶をそのまま燗酒にしてくれるのが似合います。

老舗のとんかつで星と鶴、昔の銀座にタイムスリップしてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

銀座 梅林 本店
03-3571-0350
東京都中央区銀座7-8-11
1:30~21:00(無休)
予算2,500円