高知のお酒の飲み方は独特です。とにかくよく飲む。あらゆるシーンにお酒があり、日常に日本酒やビールが浸透しています。それを表すかのように、統計局・家計調査で世帯あたりの飲酒費用が東京や秋田を抜いて一位に君臨しています。
飲む人も多いし、飲む量も多い。清流に包まれる高知は水も良い。そんなこともあって、高知は銘酒揃いです。
高知の美味しいお酒を味わうならば角打ちを目指したい。市内を走る路面電車とさでんの菜園場町電停から少しの場所にある安岡酒店は、高知のお酒を知りたいならば絶対おすすめの酒屋さん。
創業100年、3代目のご夫婦が切り盛りする老舗酒販店。古き酒屋の伝統と3代目のセンスが融合することで、いい具合に抜け感がありながらも飲みたくなるムードになっています。
お酒は総合酒類ではなく、地酒がほぼ専門。とはいってもナショナル3社の缶ビールもありますからご安心を。
高知のお酒を愛し、個性豊かな表情を伝えたいと熱心に語るご主人。酒販店だからとあぐらをかかず、日々丹念に土佐の蔵を巡り歩き作り手の思いを聞き集めているそう。その姿は、酒販店というより酒の情報発信者。
角打ちをメインとされていませんが、テーブル席があり一杯飲みの体制が整っています。どんなお酒がはいっているかはお楽しみ。
日々変化する大地の恵みを原料に、一日として同じ天候が存在しない中で自然の力を借りて生み出すお酒。
ひやおろしだ、新酒だ、という括りだけではなく、変りゆく味を静かに味わうのが地酒の魅力です。ここには、そんなひとときがあります。
お酒をつくる水と同じものが注ぎ込んだ海でとれた魚をつまみに。
鏡川に流れ込む高知城の外堀に面していて、浦戸湾まで1キロの場所。繁華街からは少し離れていますが、それもまた静かに土地と酒に向き合える空間を作り出しています。
松とヤシの木が入り交じる南国・高知。飲めや歌えのおきゃく文化とからっとした風土が、お酒をより一層美味しくしてくれます。
毎年3月に開かれる”おきゃく”祭りが酒国高知を象徴するような催し。べろべろの神様に見守られ、飲食店だけでなく路上でご座を敷いてまで昼間から飲酒三昧。話を聞くだけで酔っ払いそうな内容ですが、それだけみんなお酒を愛しています。
寒くなってきましたし、ふらっと高知へ旅してみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
安岡酒店BLUES
088-882-2286
高知県高知市九反田8-6
9:00~21:00(日定休)
※角打ちはメインではありません。購入目的の試飲でご利用ください。