飲兵衛の味方、三州屋。神田本店や銀座、蒲田などにあることでも知られています。暖簾分けのお店ですが、お酒は蒲田を除いてサッポロと白鶴で、おつまみには鳥豆腐やまぐろをメインとした海鮮を中心としたメニュー構成で、いくらかの共通点は見られます。
鳥豆腐発祥の店「三州屋神田本店」や、10月から提供が開始された銀座三州屋のカキフライなど、ぜひ皆さまには各店を巡っていただきたい東京を代表する大衆割烹です。
あまり知られていませんが、実は六本木にもあります。2016年で創業40年を向かえた界隈きっての老舗で、おしゃれなバーやビストロが立ち並ぶ中にあって、ほっとする酒場です。2006年、一度はビルの建て替えで休業したものの、いまの場所にうつってからも変わらぬご夫婦の息の合ったた接客が楽しめます。
不定休ですがだいたいやっている六本木三州屋。しかも日曜日を除いてお昼11:30からやっていますので、大変ありがたい。六本木ヒルズやミッドタウンで仕事をした帰りや、美術館前のちょいと一杯の利用で重宝しています。
ランチタイムは定食が1,000円ほどで並び、飲兵衛だけでなく近隣のきらびやかなビルで仕事をこなすキャリアウーマンや魚好きの年配男性が多く集います。
そんななかでも、夜のつまみが普通に頼めるのが三州屋流。定番のサッポロ黒ラベルの大瓶を一本もらって、では乾杯。
お昼時はあえて定食とビールという組み合わせをおすすめしたい。リーズナブルでちょっとした小鉢もついてきます。ごはんを抜きにするか後でちょっとよそってもらうなど融通もききます。いえ、そういう使い方をする先輩方が多いようで、女将さんから「ごはんあとにする?」なんて聞いてくれるのが嬉しい。
まぐろを煮たものをつまみに、これだけで大瓶は余裕かもしれません。
刺盛りは日によって内容が変わりますが、だいたいはまぐろ食べ比べといった感じ。老舗ならではの魚河岸卸との関係で、いいまぐろをたっぷりお財布に優しく食べさせてくれます。
そろそろ寒くなってきますし、このタイミングで白鶴の大徳利をぬる燗で一本もらいたくなります。「お姉さん、お銚子大きいの一本、燗つけて。」
移転したとはいえ、三州屋といえば「白木の机」がいまも使われているのが素敵でしょ。ぶりやカレイ煮などをつまみに六本木とは思えない癒やしの空間をお楽しみください。
もちろん名物の鳥豆腐はお腹に余裕があればお試しあれ。
ランチタイムはサービスでつく卵が結構美味しくて、ごはんをちょびっともらって、卵と1対1の量でおつまみ感覚でずるずるとすするのは、私のひそかな六本木ランチの定番です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
大衆割烹 三州屋 六本木店
03-3478-3796
東京都港区六本木4-4-6
11:30~23:30(日は16:00から・不定休/だいたいやっている)
予算2,800円