錦糸町駅の南側、丸井の裏手は一種独特な雰囲気が残るエリアです。なんとなくアングラな雰囲気と、ギラギラとしたネオン、新旧様々な居酒屋が混ざり、その中心に場外馬券場があります。土曜日のお昼なんかは、馬券と白い新聞を片手にラジオやテレビに夢中のお父さんたちで賑わいます。
この雰囲気、Syupoをご覧の皆さんは嫌いじゃないはず。むしろ、ちょっとなぞめいた世界を覗いてみたくなるのではないでしょうか。昔は居酒屋が店の前にテーブルをだして歩道をうめつくす勢いでしたが、さすがに行政指導が入り、よくも悪くも歩きやすい場所になりました。
そんなこの場所でお腹がすいたとき、亀戸餃子に吸い寄せられてしまいます。その名の通り、亀戸にある人気餃子屋の支店で、都内に4店舗あるうちの一軒。本店はライスすらありませんが、こちらはチャーハンやラーメンもあります。
長いカウンター、どこからでも入れますが、暖簾のある場所をくぐるとお店の人にすぐ見つけてもらえます。「はい、いらっしゃい。」という威勢のよい声が飛んできたら、すかさず「大びんね」と答えます。
数十秒でどんとでてくるスーパードライの大びん。出てきたタイミングに合わせて、餃子2マイとオーダー。この行って帰ってのリズムが、注文するこちらも気持ちよくなります。
では乾杯。
L字の角に焼き板があるので、私はそのあたりがお気に入り。目の前で注文した餃子が片手でひょいと摘まれ投入され、ささっときつね色に焼きあげて皿に持ってポンとでてくるまで、その様子を見つつ飲むビールが好き。あっという間にビアタンは空になります。
本店は2マイからですが、錦糸町店は1マイ(250円)からOK。それでも癖でつい2マイと頼むのだけど。
キャベツたっぷりでしゃきしゃきした食感、皮は薄くぱりっとしています。醤油皿には予めカラシが塗られてでてきますので、これを醤油ではなく酢で溶いて食べる常連が多いです。もちろんラー油や醤油もありますので、お好きなように。
だいたい餃子皿一枚で大びん1本というペースでちょうどいい。二枚目にあわせるお酒は老酒と決めています。紹興酒と頼んでも、「ラオチュー」とオーダーが飛びます。受け皿つきの脚付きになみなみに注がれて180円。餃子と老酒をわんこそばのように、お代わりしていけば、お腹も一杯、酔もいい具合。
こちらのお店のおもしろいところは、夜よりも昼のほうが飲兵衛率が高いということ。夜になるとチャーハンやラーメンで食事として済ませていく人が多く、明るい時間ほど、老酒をきゅっと口に流し込む先輩たちの世界になっています。
亀戸の本店よりも落ち着いて飲めますので、餃子で飲むのがお好きな方はどうぞ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
亀戸餃子 錦糸町店
03-3634-9080
東京都墨田区江東橋3-9-1
11:30~20:30(土日9:00~18:00 )
予算1,050円