東京の酒場の話をするときに、必ず話題になるのが「豚もつ焼き」です。ひらがなで「やきとり」と書くのも、「やきとん」と書くのも同じで、東京の酒場文化のひとつです。関西の串かつのような存在。
東京にはもつ焼きの名店と言われているお店が何軒もあり、連日大変な賑わいになっています。そんな名物もつ焼き店のひとつが浅草橋にある「西口やきとん」。1973年、浅草橋駅西口の国鉄総武線の高架下にオープンしたのが始まりです。
店名の由来はそのまんま、浅草橋駅西口のすぐ横にあるから「西口やきとん」でした。2003年、西口から少しだけ離れた路地に移転しましたが、それでも昔からの賑わいはそのままで、夜な夜な常連さんから一見さんまで老若男女が楽しく飲む酒場です。
そんな西口やきとんが2016年5月6日、なんと同じ浅草橋駅の東口近くにオープン!西口やきとんの東口店だから、西口やきとん”やや”東口店という名前。「やや」とついていますが、この不思議なネーミング、結構おもしろい。
名物はSSレモンハイボール
店内は本店よりもコンパクトで、20人くらいの大きさです。一番奥が焼台で、本店同様炭火焼き。簡単な厨房があり、本店の人気メニューはひと通り揃っています。
人気の飲み物も変わらず「ボール」の愛称で親しまれているレモンハイボールです。値段は小が300円、大で450円。それでは乾杯!
酸味はさほど強くなく、独特なすっきりとしたレモン風味とさわやかな余韻。レシピは内緒で、予め樽で作られた状態でニットクのチューハイディスペンサーから注がれます。ガス圧のニットク、強炭酸がいい仕事しています。
ちなみに氷なしにすることもできますが、今回は冷えを重視して今回は氷ありをチョイス。
値段の安さも西口やきとんの魅力
ビールはアサヒスーパードライ、生ビールのメガは嬉しい1Lジョッキです。
瓶ビール大びん(500円)も置いています。日本酒、焼酎、ワインにどありますが、冬場のお燗酒・お湯割りのニーズ以外は基本チューハイが定番ドリンクです。ボールのほか、バイスやトマトハイをリピートする常連さんもいらっしゃいます。
名物おつまみ・皿なんこつ
フードは100円・200円が基本。ハツ、ガツ、カシラ、ナンコツ、豚バラ、ネギ間、タンなど定番串はどれも100円です。注文を受けてから焼き始めるので少し時間がかかりますが、ほくほく焼きたて鮮度も良いのでつい食べ過ぎてしまいます。
そしてなんといっても皿なんこつ(200円・通称コツ皿)は絶対食べておきたい逸品です。高圧の鍋でとろけるまで煮込んだ豚のなんこつで、甘辛く煮こまれていて、とろとろのナンコツと合わせてクセになる味です。
これにバケット串をあわせて、パンの上に載せてオシャンティに食べるのもイイ。
ボールから次は生ビールへ。西口やきとんにきたら、やっぱりスーパードライをぐいっと飲まなくちゃ。西口やきとんの濃い味豚もつ料理にキレのあるスーパードライ。鉄板の組み合わせです。
きゅうりなど小鉢は100円。箸休めにちょうどいい、しっかり漬かったてろてろな漬ものです。
甘さしっかりのタレが美味しい
通な味を選ぶこともできますが、私はやっぱりここのタレが好き。さらっとしたもので、絡みつくそれとは違うのですが、十分に味がついているので、このくらいのバランスがお肉本来の肉汁の旨味などが感じられてちょうどいい。
18時ごろには満員御礼状態になってきました。混んでくると常連さんが場所を空けるかのようにお会計をして立ち去るのですが、その姿がとても素晴らしい。お店の方とファンの間の関係がこんなにしっかりしているお店はなかなかありません。店主さんの雰囲気にあわせてお客さんがつく。社長の人柄がこの空間を作っているんだと思います。
名酒場の新店、きっと末永く続くご繁盛店でしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)