上野から有楽町にかけては全国の郷土料理のお店が多く、毎夜その地方出身の人たちを中心に盛り上がっています。飛び交う方言に浸りながらご当地食材に地酒をあせていると、ちょっとした旅行気分。
今回はそんな郷土飲み屋の中から長崎をご紹介したいと思います。神田の「ゴタル」は2013年10月オープンしたまだ新しいお店。老舗じゃないなら…なんて引き返さないでください。たしかにまだ風格という言葉は使えませんが、逆に新しいからこその輝きがあるお店です。
長崎ご出身の市瀬氏がシェフを務めるお店で、定番の和食だけでなくパスタやアクアパッツァなども置く進化系郷土料理です。お店の大きさは程よい感じで、カウンター7席とテーブル席が8卓16席。お店の方が全体を見渡せるサイズだからこそのきめ細やかな接客が嬉しい。
長崎の日本酒と焼酎がずらりと並びますが、まずはビール(500円)で乾杯しましょう!480ml入る大きなタンブラーにはキリっと冷えて見るからに美しい黒ラベル。それでは、乾杯です。
ビールは黒ラベルの他にヱビスもあります。どちらも500円とこのサイズなら十分なお得感があります。ちなみに、シェフはヱビスのファンなのだそう。好きな銘柄を置く、あたりまえだけどだからこその品質管理ですね。
お通しは長崎のフルーツ魚「ハーブ鯖」を使ったハーブチーズ焼き。ビールとの相性が抜群。
さて、お酒はどうしましょう。一合800円程度から。半分の60ccでも楽しめます。種類がなにせ多く何を飲もうか迷ってしまいます。酒屋にないお酒はシェフ自らかけあって酒造から直接送ってもらっているとのこと。対馬の酒造「白嶽」などもあり、長崎のアンテナショップも顔負けの品揃えにうっとり。
おつまみも長崎松浦港で水揚げされる食材を活かしたものばかり。このあたり、ご当地系飲み屋特有のワクワク感がありますよね!とくに長崎のブランド魚の「ハーブ鯖」はお店の看板メニューで、これを使った料理は絶対食べてみて欲しいです。
日本酒は潜龍酒造の「本陣」と「みずの光彩」をチョイス。シェフが佐世保ご出身ということで、佐世保を代表する酒蔵の一つ潜龍酒造は一押しとのことです。
正直、長崎の日本酒はねー…なんて思っていたら大間違い!洗練された最近流行りの味になっていて、思わず笑顔になってしまいます。
さて、おまちかねの刺身盛り合わせができたようです。魚介類はすべて松浦から直送ということで、東京にいながら気分はすっかり佐世保・長崎です。毎回同じ魚がはいるわけではないそうで、届いた魚を見ながら献立を決めているというシェフ。鯛にイカにイトヨリ、そしてなによりハーブ鯖のお刺身も。お醤油は九州らしい甘めの旨口醤油。
月水金の曜日限定で鯖の刺し身が食べられます。しめ鯖は常においているそうですが、足の早い鯖の刺し身は曜日限定。臭みがなく脂がとろんとのったハーブ鯖はこれまでの鯖のイメージを覆します。最新の養殖漁業研究の成果、存分に味わいましょう♪
お酒は対馬に唯一の酒蔵・河内酒造の白嶽です。焼酎では有名ですが、日本酒もしっかりした味でおすすめ。
カワハギとウドのゆずポン酢和え。もうみるからに日本酒と相性良さそうでしょ。
本醸造から大吟醸まで揃いますが、ご当地系の食材ってせっかくだからと贅沢な吟醸にするより、あえて地元の人達が日常酒にしているような本醸造や純米くらいが合う気がします。
平戸藩主に元禄時代からお酒を献上してきた潜龍酒造の看板酒。無濾過・火入れなし・加水なしの本当の生原酒で、どっしりした味がたまりません。
さすがと思えるお酒のラインナップといえば、豊年で知られる平戸の酒造「森酒造場」のしぼりたて原酒なんてものも。いやー、長崎市街の酒場で飲んだのが懐かしいです。まさか神田で飲めるなんて、素敵。
アクアパッツァやリゾット、ブイヤベースなどメインディッシュにはぜひ欧州料理にしてほしい、そんなシェフの気持ちが十二分に伝わってくる品書きなのですが、いやー、ごま鯖食べないで九州は語れませんから、今日はこっちで!
ハーブ鯖でつくったごま鯖。鯖の品種としてのゴマサバでなくて、九州の福岡を中心とした広域で愛されている郷土料理「ごま鯖」。炙りごまと九州の甘口醤油を混ぜたもので、これが焼酎とよーく合うんです。
生鯖を使うので足の早い鯖を鮮度が落ちる前に食すことができた九州沿岸部の地域料理。地元の人には日常食かもしれませんが、東京からしたら贅沢品。ありがたやー。
鯖を中心に日本酒とあわせてきましたが、ワインの品揃えもしっかりしていてバル料理も揃いますからおしゃれ系バルとして使うのもOK。生鯖の入る月水金に目指させれてみてはいかがでしょう。お店がこじんまりとしていますから金曜は要予約で。
鯖好きの方、九州の地酒を勉強中の方は絶対行くべきお店です。ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
神田ゴタル
03-3525-4163
東京都千代田区神田紺屋町6 松本ビル 1F
17:00〜24:00(日定休)
予算3,800円