北千住『まじ満』鰻丼と焼き鳥、昭和31年創業の老舗で昼下がりに至福の一杯

北千住『まじ満』鰻丼と焼き鳥、昭和31年創業の老舗で昼下がりに至福の一杯

北千住のミリオン通り、足立区の千住庁舎の向かいに佇む『まじ満』。昭和31年(1956年)創業の老舗鰻屋です。鰻だけでなく、絶品の焼き鳥や刺身など30種類以上もあるおつまみでお昼から飲める、地元に愛される名店。継ぎ足されてきた秘伝のタレの味を肴に、日常のちょっとした贅沢を楽しんできました。

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北千住の日常に溶け込む、昼から賑わう老舗の顔

千住の魚河岸・足立市場で用事を済ませた私。たまには場内の食堂ではなく、商店街を散策しようとミリオン通りへやってきました。目指すは『まじ満』。

平日は中休みがありますが、土日は通し営業。昼過ぎから客が来るのかと思うかもしれませんが、ここはお酒好きが集まる北千住。いわゆるアイドルタイムでもびっくりするくらいお客さんがやってきます。

私が訪れた13時過ぎでも、店内は満席に近い賑わい。もちろん皆さんの手元には麒麟の瓶やお銚子が並んでいます。

1階はカウンターとテーブル席で、昼から一杯を楽しむ日常の「居酒屋」空間。2階には座敷があり、宴会や会食の食事にも対応する、ケの日・ハレの日、どちらにも対応したどっしりとした鰻屋さんです。

まずはキリンクラシックラガーと、鰻屋ならではの絶品焼き鳥

キリンクラシックラガー大瓶:900円
お通しの卯の花も味がいい

まずはキリンラガービールをもらい、喉を潤します。それでは、乾杯!

焼き鳥:1本140円

肴は、焼き鳥。とり(正肉)ともつを2本ずつタレでお願いしました。

当WEBマガジンや Youtubeチャンネル でも繰り返し話していますが、鰻屋の焼き鳥は美味しい。鰻も焼き鳥も、串打ちして焼いて甘いタレをあわせるから、技術は同一の延長線にあるのでしょう。

とくに『まじ満』のタレは絶品です。それもそのはず、このタレは昭和31年の創業以来、注ぎ足しで使われてきた「秘伝のタレ」。鰻に使われるタレと、この焼き鳥のタレはベースが同じ。鰻の脂の旨味と、鶏の旨味の両方を受け止め続けてきた、深いコクがたまりません。

焼き鳥はこぶりながら、肉がきゅっと引き締まっていて噛むほどに旨味が広がり、そこに凝縮されたタレが混ざり合い、その余韻は強烈にお酒を誘います。となみに、鶏の仕入は足立市場らしい。

こうした商店街の鰻屋は、すでに蒸し焼きを終えていて、注文すると軽く温める程度で出てくることも多いですが、こちらは注文を受けてから都度焼くので時間はかかります。だからこそ、焼き鳥を肴にゆっくりビールを飲む時間が最高なのです。

〆か、肴か。「うな丼」と合わせる贅沢な時間

2代目店主の間嶋さんは、早朝から仕事を始めているそう。朝から千住の川魚問屋「鮒与」へ出向き、店の味にあう鰻を仕入れているといいます。これを、柔らかくなるまでじっくり蒸し上げる関東風で調理します。

まだお昼なので、ここでお重を食べるのは少々予算オーバー。ということで、うな丼(2,100円)を注文しました。

うな丼:2,100円

やってきたうな丼は、蓋を開けた瞬間にタレの香ばしい香りが立ち上ります。

表面はパリパリ、中はトロトロ、皮もフワっと仕上げられていて、箸をいれるとすっと身離れします。脂はのっているのですが、プリッとしたものではなく、じゅわっと肉汁がタレに溶け出し、それがご飯を茶色く染める。

ごはんものでお酒を合わせるのはなかなか難しいですが、うな丼・うな重は別格。タレが染みたご飯だけで、お酒が進んでしまいます。

歴史ある千住宿らしい情緒ある一軒

黒板メニューに書かれた魚介類はもちろん足立市場仕入れ

もう一本キリンビールをもらっちゃおうかな。

鰻屋の格を保ちながら、大衆居酒屋としての懐の深さも併せ持つ。家族経営の安定感もすばらしく、その味と雰囲気はこれからも北千住の地で受け継がれていきそうです。しっかり鰻重を食べたい日も、昼から軽く飲みたい日も、どちらも温かく迎えてくれる名店です。

川に囲まれた北千住は川魚文化が育まれてきた街。それを実感した取材になりました。

店舗詳細

メニュー
店名まじ満
住所東京都足立区千住仲町40−1
営業時間平日
11時00分~14時00分
17時00分~21時00分
土日
11時00分~21時00分(通し営業)
月曜日定休
創業1956年