神奈川県を代表する飲み屋街、野毛。今回は居酒屋ではなく、洋食の店「センターグリル」を訪ねます。1946年創業、ケチャップナポリタン発祥の店としてあまりに有名ですが、Syupo読者には最高の「洋食酒場」としておすすめしたいのです。歴史が息づく洋食を肴に、ビールで乾杯!
外国文化が融合する横浜ならではの洋食店

創業は終戦翌年の1946年。創業者の石橋豊吉氏は、横浜の名門ホテルなどで腕を磨いた一流のシェフでした。
その後、独立する際に高級店を開くのではなく、あえて大衆店を目指したのがセンターグリルのはじまり。終戦直後ということもあり、「安くて栄養のある美味しいものを、沢山の人に気軽に食べてもらおう」という想いで開いたそうです。
看板に掲げられた「米国風洋食レストラン」の文字には、戦後、豊かさの象徴であったアメリカへの憧れを、日本の大衆が楽しめる形にしようという思いが込められています。
こうして、看板料理「ナポリタン」が生まれます。

現在の一般的なケチャップ味のナポリタンを開発したお店ということで、少しだけナポリタン物語を。ナポリタン発祥の地は、ここ横浜。2つの原点があり、一つは、ホテルニューグランドで生まれた、生トマトなどをイタリアンスタイル(ナポリターナ風)の本格派。これをより大衆的に提供するために、アメリカ料理の象徴とも言えるケチャップを使った最初の店が、ここセンターグリルなんです。
ケチャップをフライパンで丹念に炒めて酸味を飛ばし、甘みと深いコクを引き出す。麺は国産スパゲッティの草分け「ボルカノ」の2.2mm極太麺を使い続け、一晩寝かせて「もちもち」の食感に仕上げるというのが変わらぬスタイル。
このセンターグリルで生まれた創意工夫のレシピこそが、全国の喫茶店に広まり、国民食ナポリタンの原型となりました。
食材の食感があるからスパゲッティは柔らかくていい

混み合うぴおシティを抜け、日中は静かな野毛の路地を歩くこと数分。老舗洋食店らしい落ち着いた店構えにほっとします。

二階に通してもらい、もちろん頼むのは「スパゲッティ ナポリタン」。そして、最高の相棒生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル)です。

ほどなくして、銀の皿に乗ったナポリタンが運ばれてきました。ケチャップの香ばしい匂いが立ち上り、食欲を強烈に刺激します。

ふとくてもちもちの麺に、濃厚なケチャップソースがたっぷりと絡み、粉チーズも惜しげなくかかっている。

具材はハム、玉ねぎ、マッシュルームにピーマンと極めて正統派。

満足感ある余韻に、キリッと冷えた黒ラベルをぐっとあわせる。家庭から喫茶店からときには酒場の〆まで、ナポリタンは日常的に食べていますが、これは記憶に残る味。 ナポリタンの甘みとコク、ビールの爽やかな苦味とキレが口の中で一体となり、互いの旨味を何倍にも高め合います。

生ビールはグラスは380円、ジョッキでも650円という良心的な価格が、また一杯とお酒を進ませます。
ごちそうさま

元祖とか名物というストーリー以上に、ここのナポリタンは本当に美味しいです。そのほかにもランチプレートがいろいろありますので、それで飲むのもオススメ。洋食屋さんですからぜひフライも楽しみたい。

オムライスとチキンカツが乗った「浜ランチ」や、ナポリタン系のパスタとチキンカツ、ライスまで一皿になったボリューム満点の「スパランチ」(880円~)など様々。ランチプレートにはナポリタンがありませんので、常連さんは「ナポリタン」と「浜ランチ」を一つずつ頼まれていました。
店内は二階席まであり、窓が多くて明るく、開放的な雰囲気。歴史ある店ながら、隅々まで清潔に保たれた空間は非常に居心地が良いです。
野毛での昼飲み。ぴおシティは最近すっかり観光地化していますし、ここは歴史散策も兼ねて「センターグリルで洋食飲み」という選択肢を選んでみてはいかがでしょう。

店舗詳細
品書き
- サッポロ生ビール黒ラベル:グラス380円 ジョッキ650円
- サッポロラガービール赤星:700円
- ワイン:グラス600円 デキャンタ1,700円 ボトル3,300円
- スパゲッティーナポリタン:900円
- ランチ(チキンカツ・ハムステーキ・サラダ・ライス):880円
- 浜ランチ(オムライス(白いご飯)・チキンカツ・サラダ):1,150円
- ビーフシチュー:1,300円
- ハンバーグステーキ:1,000円
- 特製オムライス:980円
夜は本格的なコースがあり、老舗洋食店らしいエビフライやハンバーグなども楽しめるほか、飲み放題コースまで用意されています。
店名 | 米国風洋食レストラン センターグリル |
住所 | 神奈川県横浜市中区花咲町1-9 |
営業時間 | 11:00 – 20:00 月定休 |
創業 | 1946年 |