赤坂(福岡)『博多魚がし』関係者が多いのも納得！長浜鮮魚市場の食堂で朝から刺身三昧

福岡の「食」を支える福岡市中央卸売市場。魚介を扱う鮮魚市場は長浜にあり、市場内の食堂では朝から新鮮な魚介類を肴にお酒を楽しむことができます。市場内に２店舗を構える『博多魚がし』は市場関係者で賑わう人気店。魚はもちろんお酒も充実しています。朝から刺身をおつまみに乾杯しませんか。

漁港直結の市営市場だから安くて新鮮

300万人が暮らす福岡都市圏は九州経済の中心地でありながら、都市の中心に漁港を抱える巨大な漁師町でもあります。

魚が集まるのが福岡市中央卸売市場鮮魚市場。なんと中心街のすぐ近くにあります。しかも、全国的にも珍しい、漁業者が直接漁船を接岸して市場内に水揚げできる「産地市場」の機能を有しています。福岡天神から徒歩圏に、水揚げされたばかりの魚や九州各地の魚介が集まる場所があるのですから、魚好きとしては行かないわけにはいきません。

同市場は東京の豊洲市場同様、公設の市場で、福岡市の食の安定供給に担う施設です。関係者以外は一部エリアを除き原則入場できません。ですが、大抵の市場がそうであるように、福岡の市場も食堂施設は誰でも利用が可能です。

海に面して東西に広い市場で、飲食店が集まるエリアも東西にわかれています。その両方に店を構え、さらに市場内に回転寿司も展開しているのが、今回ご紹介する『博多魚がし』です。上の写真は回転寿司業態の「市場ずし 魚辰」。

さらに市場会館の奥へ進むと見えてくるのが『博多魚がし』です。

市場らしい朝型の営業時間で、７時から14時過ぎまで。居酒屋づかいできる店ですが、夜は営業していません。その代わり、朝から飲みたい人には最強の一軒です。

店は奥に広く、カウンター、テーブル席の先には入れ込み座敷もあり、家族連れでも安心して利用できるつくりです。カウンター席は常連風のベテラン飲兵衛さんが朝から晩酌の真っ最中。職域内の食堂と言いつつ、雰囲気は朝からやっている居酒屋といったところ。

品書き

お酒

樽生ビールはアサヒスーパードライ：450円。瓶ビールはアサヒスーパードライとキリンラガー：各450円。焼酎：300円は芋・麦・米・蕎麦と勢一通り揃っています。日本酒は喜多屋など。

食事・おつまみ

定番料理は手元にあるメニューで、ぶり荒炊：650円、海鮮丼：650円など。お酒も料理も一回り安く感じる価格設定です。

そして、注目は壁に掲げられた今日の魚料理。

取材時は、ごまさば：1,200円、金目だい煮：1,700円、カレイの唐揚げ：980円、赤むつ煮：1,800円など。どれも定食の値段ですが、単品で注文も可能です。

単品では、タイごま：600円、ホタルイカ：350円、辛子明太子：500円、もずく：100円、おきゅうと：200円など。

おもしろいのが、1,000円ほどで大ヒラス（ヒラマサ）刺身が食べ放題というもの。刺身食べ放題なんて、どれだけ豊漁だったのでしょうか。

魚が美味しいって素晴らしい

キリンラガー（450円）とごまさば（700円）

美味しい魚を前にして、お酒を飲まないなんてもったいない！キリンラガーをもらって、では乾杯。

おつまみは、まずはごまさばから。新鮮なサバがとれる福岡ならではの郷土料理です。鯖の刺身に醤油、炒りゴマ、味醂、その他生姜などの薬味をまぜたもの。コリコリで脂がのったサバにはこれくらい甘じょっぱいほうが丁度いいです。一口目から大きくうなずいてしまう逸品です。

カワハギ姿造り（定食では1,300円）

こんなに大きなウマヅラハギはなかなかお目にかかれません。大皿いっぱいの姿盛りで、肝もたっぷり。鮮度の良さは言うまでもなく、歯ごたえ抜群、噛むほどに旨味が広がります。

肝を九州らしい甘い醤油に和えて、そこに刺身つけて食べればお酒が進まないはずがありません。福岡の市場酒は手頃な値段で贅沢気分。

清酒 喜多屋

ごまさばにハギと揃えば、ビールだけで済むはずもなく、自然と日本酒へ。焼酎1杯300円とかなりリーズナブルですが、日本酒も同様です。なぜか品書きに日本酒の記載はないものの注文すると出してくれます。銘柄は福岡県八女市の喜多屋。やわらかい口当たりで飲み飽きない美味しさです。

海鮮丼（650円）

海鮮丼のセットは味噌汁とめかぶ小鉢もついて650円と考えられない安さです。朝食がてら飲んでいるならば、〆にもぴったり。

安くても盛りがとてもよく、刺身はかなりの厚切りです。具は日々の水揚げ次第で、この日は鯛、ヒラス、ホタルイカでした。日によってはマグロやカツオ、ブリなども登場するようです。刺身を専用の甘いごま味噌醤油タレに一度くぐらせて食べるのが「博多魚がし流」の食べ方。

海鮮丼だけでも十分に満足できる内容ですが、二人以上なら刺身をつまみながら軽く飲むほうがもっと楽しめると思います。福岡の朝食は長浜の市場へぜひ。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見 なゆ）