溝の口で創業し、二子新地に移転して25年。老舗焼鳥『㐂月(キ月)』をご紹介します。店を守るのは二代目と三代目。看板料理の焼鳥を筆頭に、刺身、創作料理と豊富な品ぞろえです。価格もリーズナブルで、仕事帰りの会社員が夕食を兼ねた一杯を楽しむ日常のオアシスのような店です。
目次
二子玉川を対岸に見る、川崎のベッドタウン
多摩川からの眺めは絶景です。再開発が進み、次々とオフィスビルやマンションが建設された二子玉川を対岸に見て、昔ながらの商店街が賑わう二子新地。今回訪ねるお店は、二子新地では貴重な家族経営の大衆酒場です。
東急田園都市線の二子新地駅は、各停しかとまらないローカルな駅です。駅前には小さな商店街が広がっており、落ち着きあるベッドタウンといった雰囲気です。
外観
居酒屋『㐂月』はそんな駅前商店街を徒歩2分ほど歩いた場所にあります。この界隈は赤ちょうちんの店が少なく、貴重な一軒です。店の入り口が奥まっているため、ちょっぴり敷居の高さを感じるかもしれません。
入れば、物腰の柔らかな大将が迎えてくれる優しい雰囲気なので、ぜひ覗いてみていただきたいです。L字カウンターの内側では、二代目と三代目がもくもくと調理中。もとは溝の口で営業していた焼鳥店ですが、二子新地に移転して25年、なかなか味わい深い雰囲気になっています。
壁面には地元の常連さん縁の品や写真が並びます。
乾杯はサントリー・ザ・モルツで
店の看板にモルツのロゴがあり、昔からビールはサントリーを扱ってきたようです。樽生はサントリー ザ・プレミアム・モルツで、瓶は首都圏では珍しいサントリー ザ・モルツ。
モルツの瓶って、久しぶり。ちょっぴりテンションが上がりつつ、乾杯。
品書き
お酒
生ビール(サントリー ザ・プレミアム・モルツ):605円、瓶ビール(サントリー ザ・モルツ):605円。ほかには、川崎フロンターレサワー:440円、ハイ辛サワー:440円、バイスサワー:440円、極上吉野川特別純米:880円など。
黒板メニュー
鮪中トロ刺身:880円、鮪赤身刺身:770円、たこ刺身:550円。鯖焼き:550円、親子丼:550円、明太イモサラダ:440円など。
焼鳥メニュー
肉だんご、若とり、かしら、すなぎも、なんこつ、鳥皮、しろなど各132円。
トマト肉巻き:220円、うずら肉巻き:220円、チーピー肉巻き:220円、手羽焼:165円。
短冊メニュー
しおから:330円、冷やしトマト:330円、焼きなす:440円、あげチーズ:550円など。
調理風景をすべて見せる、正直な料理
たこ刺身(550円)
奥に長い店で、その長さの分だけ奥にカウンターが一直線に続いています。そこに並べにれた冷蔵ケースには、串や刺身のサクなどが所狭しと詰まっています。あれもこれも食べたくなるワクワクする雰囲気の中で、太いタコ足に目がいき、焼鳥がやけるまではタコ刺しをつまむことにしました。
大衆酒場で、550円と手頃な価格ながら、小波切りの技が光る丁寧なお刺身。タコ足そのものもものがよく、ごまかしのない料理がとても嬉しいです。
若とり(123円)
串は1本から注文可能です。肉の鮮度がよく弾力がありつつジューシー。金串で焼くのは昔からのスタイルのようです。
肉だんご(123円)
串ものメニューの筆頭につくねがあるのは珍しいです。自家製のようで、いろんな部位がみっちりとつまっています。焼鳥で約70年になる同店、継ぎ足してきたであろうタレはかなりコク深いです。
緑茶ハイ(440円)
常連さんがかけつけ一杯に飲んでいたお茶ハイ。店にはそれぞれ人気の飲み物がありますが、ここはお茶ハイが人気の様子。自家製の濃厚なお茶の甘さは、刺身から焼鳥、チーズ料理まで幅広く合いそうです。
油揚げねぎ味噌焼き(330円)
栃尾揚げのような分厚い油揚げに、特製味噌を塗りネギを挟んだもの。おろしショウガをアクセントに。お醤油は不要で、これで完結した美味しさです。
辛ハイサワー(440円)
ハイ辛サワーとは、中野区新井の清涼飲料水メーカー「トーイン」こと、東京飲料からでている、唐辛子の辛さ・ジンジャーの旨みを楽しむ独特な割材をつかったサワーです。川崎市では初めて見かけました。
アットホームで雰囲気のいい大衆酒場です。田園都市線沿線の方は二子新地で寄り道されてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 㐂月(喜月/きげつ) |
住所 | 神奈川県川崎市高津区二子2-1-8 |
営業時間 | 17:00~23:00(第三日曜日定休) |
開業年 | 1955年頃(二子新地では1997年から) |