まる大は庄やでおなじみ、大手飲食チェーンの株式会社大庄の新業態です。食事もできるしお酒も飲める、通し営業で昼飲みにも対応した万能業態。しかも料理はとことん店内調理にこだわり、平凡ながら誰もが食べたいメニューを適正価格で提供しています。チェーンがはじめた食堂飲み、クオリティはとても高い!
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老舗の庄や、ますます使いやすく力強く
飯田橋の庄やは1979年開店と長い歴史がある店舗。いまでこそ運営元の株式会社大庄は東証一部上場の企業ですが、まだ個人経営だったころの話です。そんなお店も時代の流れで業態変更することに。それが今回ご紹介する「まる大」です。テーマは食堂飲み。もともと街にあった通し営業の大衆割烹のように、食事も、ランチ飲みも、アイドルタイムの一人酒も、もちろん夜の宴会にも使ってほしいというのがお店のコンセプトです。
開店は令和3年10月4日。今後、5店舗以上を年内に同業態に変更していく予定と担当者は話します。一号店となった飯田橋店へ早速取材に向かいました。
初日は、キャンペーン価格の料理もあって、ランチタイムから近隣のオフィスワーカーや学生で大賑わい。
もともと庄やだった店舗を内装の一部を張り替えるなど多少手を加えているものの、雰囲気は40年クラスの居酒屋のあったかい雰囲気そのもの。大衆食堂を看板に掲げていますが、酒場らしいカウンター席も完備しています。
二階は従来からの個室を残しつつ、入れ込み座敷のようにして4人グループの利用に対応。宴会から少人数飲みへのシフト対応はここでも見られます。
料理はとにかく豊富。品書きは写真がなく、淡々と料理が並びます。それも、海鮮丼、アジフライ、唐揚げなど、昨今開業する新ブランドとは思えないくらいに平坦な内容です。エモさ、ネオ大衆酒場の気配はゼロ。
その理由について、担当者は「誰もがほっとできる場所を作りたかった。オフィス街でベテランのオフィスワーカーは多いですが、大学生や20代の若い人も、あえてどっしり構えた食堂や酒場を求めているのではないかと思います」と話します。
まずは一杯目。大庄はビールを店舗ごとに各社導入しています。こちらは、もともと庄やでアサヒを扱っていたことから、樽生はアサヒスーパードライ、瓶もドライを導入しています。それでは乾杯。写真は大ジョッキ。
提供品質は抜群。初日だからではなく、同社の新業態は、定番の生ビールをはじめドリンクのクオリティ維持に力を入れています。
品書き
ドリンクメニュー
まずは飲み物メニューをチェック。樽生(中500円、大700円)、瓶(中びん600円)ともにアサヒスーパードライ。
大庄は最近渋谷に「つくね・唐揚げ・レモンサワー てごね屋」という、エモい系の店をだしましたが、それ以来、アレンジ系の酎ハイが得意になったのでしょうか。こちらでは昭和の縁日を連想させる「縁日サワー」(各390円)が品導入されています。
冷凍みかん、冷凍パイン、ラムネなど、お祭りの屋台を連想させるものや、駄菓子屋のすもも漬を出すおもしろアイテムも登場。
もっともリーズナブルなのは、ニッカウヰスキーのハイボール(350円)。飲む人にとって、税込みでこの価格は決して高いとは言えないでしょう。
差し込みメニュー
オープン直後ということで唐揚げ定食や海鮮丼がワンコインに値引きされています。唐揚げはこの価格ながら500g以上ある、ボリューム満点のスタイル。たとえ定価だったとしても生ビールとあわせて大満足の内容です。
定番メニュー
2021年に開発された業態とは思えないほどシンプルなメニュー。担当者は当初写真入りを検討したそうですが、店のコンセプト、みんなが使える懐かしいの食堂兼酒場ということで、あえて文字だけのものにしたと言います。
(写真提供:株式会社大庄)
低価格な焼飯・チャーハン(650円)や、屋台ラーメン(650円)があると思いきや、牛サイコロステーキ(790円)、とんかつ(790円)など洋食系まで幅広い品ぞろえ。なんとそば・うどんまであり、ざるは450円と立ち食いそば価格。酒場の定番・焼鳥(3本450円)やに小鉢系料理を含めると70品以上あり、品数は非常に豊富です。何が食べたいか決まらなくても、とりあえずまる大にくれば見つかりそう。
ランチ飲み、夕食利用に軽く一杯お酒をつけて…という利用もおすすめです、と担当者。
(写真提供:株式会社大庄)
カツ丼(980円)、特上天丼(1000円)、海老カツ丼(950円)。
飲食チェーン特有の原価計算を電卓を叩いたような料理を出さず、「ケチケチしない」が方針とのこと。それほどメニューの見え方的には安くないけど、ボリュームと内容でコストパフォーマンスが高い、そう思ってもらいたい…という方針がみえてきます。
食品卸で影響力を持つ大庄らしい品揃え。店内調理に徹底こだわり。
味自慢・モツ煮込み(300円)
大庄は他の飲食チェーンに食材を卸す、食品問屋としての一面もあります。それでいて、セントラルキッチンでの集中調理、店内での即席提供は会社のアイデンティティとして一切行っていません。
あまり知られていないですが、店に料理人を置き、魚はまるのものを捌きますし、サイドメニューの煮込みも前日から煮込んでいます。業務用半調理品は使わず、とんかつも店内で都度パン粉をつけて揚げています。
食堂を看板にしており、主役感のない煮込みもしっかり美味しい。このあたり、大庄をチェーン店と侮れないポイントだと思います。
新鮮刺身5点盛り(790円)
定食にお酒をつけて、1,500円くらいでちょい呑みする。それが最もポピュラーな利用スタイルだと思いますが、都心にありながら中休みなく通し営業している同店は、昼飲みのニーズにも応えてくれます。ブリ、ホタテ、まぐろ、タコ、鯛の盛り合わせ、これで790円は納得の価格でしょう。
なお、定食にした場合は990円です。
肉野菜炒め(550円)
店の看板料理になりそうな一品はなんだろう。そう考えたときに、この肉野菜炒めの美味しさにやられました。昭和の中華食堂の濃い味野菜炒めそのもの。肉もたっぷり入り食べごたえは十分です。
鬼盛肉野菜炒め(1,000円)は、そんな野菜炒めを山盛りにした腹ペコさん向け料理。肉野菜炒めの3倍ほどのボリュームがあります。(写真提供:株式会社大庄)
ボリューム重視、都心の空腹を満たす店・アジフライ(550円)
全体的に量が多いです。お客さんは会社員や近隣の学生が多く、都心で手頃な値段でお腹いっぱい食べたい人が集まる印象。一人飲みでは千円台にならなくても、2人以上でシェアすればかなり手頃な価格で楽しめるはずです。
LINEでお友達登録すると、一杯ドリンクや小鉢のサービスもあり、使い方次第でかなりお得になります。個人店好きの私ですが、こんなお店が近くにあれば、通ってしまいそうです。
オリジナル縁日サワーラムネ瓶
ベースの焼酎は宝。割材はバイスなど。瓶入りのラムネで割れば、最近すっかり機会がなくなってしまったお祭り屋台気分です。
ソフトクリーム無料
昔からある通し営業の大将割烹や大衆食堂をイメージしている中、不思議なアイテムがこちら。店内にニッセイのソフトクリームがあります。これ、なんと店舗利用者は無料です。しかもおかわりも自由。開店初日の取材時は抹茶とバニラですが、今後ストロベリーやチョコレートなど、味は変えていく予定とのこと。
なぜソフトクリームを導入したのか。という質問には「子供の頃、いっぱい食べたかったソフトクリーム。おとなになってもみんな好きですよね」とのこと。
常識の範囲内で楽しみたいですが、バイスサワーなどに入れてフロートとして楽しむなども可能とのこと。
大庄の新業態は、新しくてもレトロなムード。お店を立ち上げるとき、社内でこういう業態をやりたいね、という話から無理な挑戦はなかったとのこと。映え・エモい等を狙わず、等身大の大庄が本気をだした「まる大」。気になる方は、ぜひ。年内に数店舗拡大予定、いずれも庄や等からの業態変更とのこと。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社大庄)
店名 | 大衆食堂「定食のまる大」飯田橋西口店 |
住所 | 東京都千代田区富士見2丁目3-7 山田ビル1・2階 |
営業時間 | 営業時間 11:30〜23:00 ※ 当分の間は 11:30〜21:00 日曜営業 定休日 年中無休 |
開業年 | 2021年 |