近鉄奈良駅に着いたなら、ワンコインから飲める立ち飲みへ!駅構内、改札前にある「蔵元豊祝(ほうしゅく)」は、奈良で最も電車から近い店。店名の通り、奈良の地酒「豊祝」の蔵元の直営店です。
暖簾の向こうは素敵な立ち飲み
修学旅行などで誰もが一度は訪れたことがある、奈良市中心部の玄関口・近鉄奈良駅。駅周辺は御存知の通り、お土産物を扱う商店街が中心で、あまりお酒を楽しむ町並みには感じられません。ですが、灯台下暗し。実は駅の改札階の券売機のすぐ横で、毎日午後2時から飲める、本格的な昼酒可能な立ち飲みがあります。
大仏殿や寺社仏閣にまっすぐ向かいがちですが、奈良に来たらまずは地酒で体を清めてからにしませんか。電車からまっすぐお店を目指せば30秒ほどで店につきます。それはもう、ICOCAを仕舞う暇もないほどに場所に。
ここは明治元年創業の酒蔵、奈良市の帯解にある奈良豊澤酒造の直営店。よくある駅ナカの酒蔵直営店と違い、アンテナショップ感はさほど強くなく、ストレートに立ち飲み店としてのクオリティが高いのが素晴らしいです。観光地値段でもありませんのでご安心を。
暖簾一枚で駅構内から酒場へ場面転換。不思議な空間です。
ハッピーアワーで1杯270円に
店はうなぎの寝床のように奥へ伸びており、長いL字のカウンターと立ち飲みテーブルが並びます。早い時間から通勤客や地元客の姿がみられます。また、近鉄特急が着くたびに一人二人と観光客も加わり、夕暮れ前というのになかなかの賑わいです。
直営店ならではの自社ブランドの充実ぶりだけではなく、ここの魅力は20品ほどの気の利いたおつまみにもありそうです。
平日毎日、口開けから17時まではハッピーアワー。サントリーの角ハイボールが380円が270円(濃いめ350円)に値引きされます。
せっかくなので、一杯目はハイボールで乾杯。
品書き
飲み物
ビールは樽生アサヒスーパードライ(中380円)。チューハイ類はなく、そのかわりに同社のリキュール・日本酒を使ったゆずトニック(400円)などのカクテルが並びます。
メインはやはり日本酒です。本醸造は2種類(各280円)あり、辛口の貴仙寿辛口と旨口の豊祝旨口。純米(300円)、大吟醸(750円)と、同じ蔵のお酒を垂直方向で飲み比べができます。ほかにも、季節銘柄の純米吟醸おりがらみ生(430円)などが一杯売りの手頃な価格です。
あまり飲めないお酒は、蔵元直営ならではとも言える「蔵出し生酒タンク純米原酒」(300円)です。生酒&加水なし、酒蔵見学などで飲むと感動するあのお酒です。
黒板メニュー
続いておつまみをチェック。日替わりメニューからは、この日はあぶりマグロ(420円)や豚やわらか煮(360円)、紅生姜天(170円)など。
定番メニュー
手元の定番メニューは手頃な価格帯で、ちょっした酒の肴という料理が並びます。このほか、おでんが120円から。
ハッピーアワーに関係なく、いつでも利用可能なワンコイン(税含む)の豊祝セットがあり、500円でおつまみ3品と、生ビール、ハイボール、本醸造や純米原酒などが楽しめます。
酒粕土手煮
定番料理ではないものの、酒を搾る時期から初夏にかけては酒粕料理が登場します。粕汁もよいですが、この土手煮がなかなかどうして、いい味でした。
深いコクは甘さは酒粕ならでは。濃厚な味がハイボールだけでなく、日本酒も誘います。
蔵出し生酒タンク純米原酒(300円)
ぐーっと口から鼻へぬける華やかな香り、ストレートな甘さと、それでいてどっしりしたお酒の強さを感じる純米生原酒。味の濃いおつまみにあわせても、全然負ける気配がありません。
せっかくだから飲み比べたい、豊祝本醸造辛口
日本酒専門の居酒屋といってもスタイルは様々。酒蔵直営の魅力はといえば、手頃な価格で楽しませてくれることが多いですが、それだけではありません。同じ蔵で作り方の違いを飲み比べるのも楽しいです。
どこか大阪の立ち飲みっぽい客層と接客で、明るい雰囲気です。
難しく考えず、電車の時間やこのあとのスケジュールに合わせて、ちょっと立ち寄り、いくつか飲んで見る。そんなライトな使い方ができる一軒。
奈良公園周辺に立ち飲みは少なく、貴重な存在です。
ごちそうさま。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 蔵元 豊祝 奈良店 |
住所 | 奈良県奈良市東向28 奈良近鉄ビルB1 (切符売り場横) |
営業時間 | 14:00~22:00(基本無休) |
開業年 | 1868年(造り酒屋としての創業年) |